未来のためにホテルにできること。SDGsを「自分のこと」として捉え、環境保全や脱プラスチック、社会貢献に取り組む「阪急阪神ホテルズ」

東京ウォーカー(全国版)

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環境保護や資源の有効活用など、ますますサステナブルな取り組みが進む昨今、ホテルにおいてもさまざまな取り組みが行われている。今回はラグジュアリーホテルからビジネス、シティホテルまで幅広いタイプのホテルを首都圏・近畿圏で運営する「阪急阪神ホテルズ」のSDGs推進施策についてSDGs推進部のマネージャー新田正人さん、アシスタントマネージャー庄司亜矢さんに話を聞いた。

阪急阪神ホテルズ直営ホテルのひとつ、宝塚ホテルの外観


阪急阪神ホテルズでは、同社のSDGs基本方針に沿った6つの重要テーマを掲げ、2020年から活動を続けている。その中のひとつ、“環境保全の推進”について、CO2の削減や脱プラスチックに向けた取り組みに力を注ぐ。「プラスチック資源循環促進法における対象製品12品目に、独自で選定した8品目を加えた、20品目について脱プラスチックの取り組みを行っています」と話す新田さん。歯ブラシやヘアブラシ、スリッパなどがその対象だ。

一部ホテルの客室に設置していた一部使い捨てアメニティーについては、フロント・ロビーで提供することでゴミの削減を目指す。また環境に影響を及ぼす可能性のある物質をなるべく削減するために、2019年からストローや使い捨てスプーンなどプラスチック素材のアイテムの軽量化や、環境に配慮した製品への切り替えも行っている。

またスリッパは、従来の使い捨てのものから、消毒して再び使用する常設のルームスリッパに切り替えてゴミの削減に取り組んでいる。

ロビーに設置された使い捨てアメニティー

スリッパは履き心地を追求し、パンジー社のものを採用

ストローも必要な人にのみ提供


これらに対して、お客様の中には「とてもいい取り組みだと思う」と奨励する人がいる一方で「以前のようにアメニティーは部屋に常設がいい」「スリッパは使い捨てがいい」と話す人もいるという。「当社がこの取り組みを行っている意義を、お客様にもきちんとお伝えしていくことが重要だと考えています」と新田さんは話し、取り組みに対する意義を示したPOPを客室に掲示し、理解を求めている。しかし多国籍化する海外からの利用者の増加に対応し、多言語で書いたPOPは文字が小さくなってしまって、あまり読んでもらえないなどの課題も残る。「こうした問題点を一つひとつ解決するために、従業員にもこの取り組みを周知徹底し、話し合いながら改善を進めています」と新田さんは語る。

使い捨てアメニティーの配布についてPOPを掲示


これら環境に配慮した製品への切り替えは、「品質を維持または向上させ、かつお客様にとって使い心地のよいものを」とスタッフの意見も聞きながら選定。スリッパは1年以上かけて何足も履き比べ、快適な履き心地を追求した。こうしたきめ細やかな配慮は今後も継続していく。

阪急阪神ホテルズは、阪急阪神ホールディングスグループ全体で推進する社会貢献活動「阪急阪神 未来のゆめ・まちプロジェクト」への参画や、独自の取り組みを行いながら次世代の育成につながる社会貢献活動も行っている。「ホテルという業種上、私たちは“ひと対ひと”を大切にしています。子どもたちに対する活動は、お客様にも、従業員にも身近であり、共感を呼びやすく、「自分のこと」として捉えてもらえやすいという観点から、「次世代の育成」に関する活動として、多く行っています」と話す庄司さん。

具体的には、クリスマス期間の宿泊、またはレストランの対象メニューの利用人数×20円、およびそれと同額を阪急阪神ホールディングスから上乗せした金額を「NPO法人日本子ども支援協会」に寄付している。「日本子ども支援協会からは、『阪急阪神ホールディングス様からいただきましたご寄付で、家族と暮らせない子どもたちのために里親制度の普及啓発と里親家庭を支えています。みなさまのお力添えが私たちの活動を支える大きな力になっています』といううれしいメッセージをいただきました」と庄司さんは活動の意義の深さを実感する。

また食堂や休憩スペースへの寄付付きの自動販売機の導入や、ペットボトルのキャップ回収運動の実施により、定期的に回収されたキャップの代金は、それぞれ子どもの支援をする団体へ寄付をする活動を行っている。「各取り組みの実施にあたっては、社内報や社内の教育プログラムなどで周知し、従業員にこの施策の意義が伝わるように心がけています。これからも従業員が参加しやすい形で、社会貢献活動を続けていきたい」と庄司さんは言う。

クリスマスチャリティーポスターで活動を周知している

寄付付き自動販売機

ペットボトルキャップの回収も定着しつつある

食品ロスが問題視される中、一部のホテルでは食品廃棄物の実態を把握することから着手し、食品廃棄物計量システムのテスト導入を開始、対策を検討している


今後についても「6つの重要テーマに基づき、より改善した形で具体的な活動を行っていきます」と新田さんと庄司さんは話す。「脱プラスチックへの取り組みについては、スリッパの切り替えのように、時間がかかるものもありますが、お客様の理解を得ながら一歩ずつ取り組んでいきたいと思っています」。また、SDGs全体の課題としては「『自分のこと』として考えることが大切です」とも。「現場の従業員も協力的ですので、引き続き従業員全員がこの取り組みを『自分のこと』として考え、お客様にもその意義をお伝えすることで、相乗効果を高めていきたいと思っています」。

【写真】SDGs活動を推進する新田さん(写真左)と庄司さん(同右)


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