コーヒーで旅する日本/九州編|コーヒーをあまり飲まない街をあえて選んで。地道に伝え、楽しさを生む「日向珈琲」
東京ウォーカー(全国版)
全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州・山口はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州・山口で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

九州編の第121回は宮崎県日向市ある「日向珈琲」。屋号に地名を冠しており、公式サイトに掲載されている商品パッケージも南国感を醸し出していることから、てっきり店主は宮崎生まれかと思いきや、中国地方出身だというから驚いた。なぜ宮崎県日向市でロースタリーを開き、しかもベスト・オブ・パナマを筆頭に、珍しいコーヒーを多くラインナップしているのか。「日向珈琲」の店主・SHUさんにその理由を聞いてみた。

Profile|SHU
中国地方出身。地元の中小企業に勤めていたときに関わったことからコーヒーに興味を抱く。自分なりにコーヒーの魅力を広めたいと一念発起し、2022年6月、宮崎県日向市に移住。同年9月に「日向珈琲」をオープン。
街に惹かれて

「日向珈琲」があるのはJR日向市駅の目の前。駅前を歩いていると、すぐに目に入ってくるいい場所だ。ただ、日向市自体、人口は5万6000人程度と大きな街ではないし、そもそも宮崎県はコーヒーの消費量、消費額が全国的にみても非常に少ない。ゆえに宮崎県内でロースタリーを営むのはなかなか難しいとされている。ただ、「日向珈琲」のオーナー・SHUさんは、そういう街だから、あえてこの街を選んだという。

「宮崎県はコーヒーをあまり飲まない土地。私はそんな場所にこそコーヒーを根づかせたいと考えました。もともと中国地方出身ですが、温暖な気候、暮らしやすさなどを考え、九州に移り住みたいとずっと考えていて、コーヒーショップを開くなら九州と決めていました。正直、場所は日向市じゃないといけないというわけではなかったのですが、この街に初めて訪れたときに、地域の人たちの温かさに触れ、美しい景色を目にし、日向市が大好きになりました」
サブスクにこだわりをギュッと

そうやって直感的に日向市を選んだSHUさん。ロースタリーを開業するにあたり、店舗での販売に加え、もう一つ柱を据える事業計画を温めていたのも同地を選んだ理由の一つだという。それがインターネット通販だ。
「どうしても人口が多くない街で商売をするとなると、売り上げに限界があることは前職の経験からわかっていました。ただ今の時代、インターネットで買い物するのは当たり前なので、ロースタリーを開くにあたりECに注力すると決めていました。ECである程度の売り上げを確保できれば、極論場所はどこでもよい。むしろテナント料が手ごろな地方のほうがランニングコストがかからないというメリットにもなると考えています」とSHUさん。

ただ、味はもちろん香りも伝わりづらいインターネットでコーヒーを売るのは非常に難しい。実際、全国的に名が知られた人気ロースタリーでもECサイトの売り上げがなかなか伸びないという話しもよく耳にする。そのためにSHUさんが考えたのは、サブスクリプション。

「サブスクリプションにすることで単品購入するよりもお得になるようにしたのはもちろん、4回目以降は毎月10%オフにするなど、定期的に購入いただくことでの特典も設けています。初回限定で特価にしていることもあり、お試しで一度飲んでいただき、その後も継続してくださるお客さまも少しずつですが増えています」とSHUさん。
そして、また飲みたいと思わせているのが、SHUさんが毎月こだわっている豆のラインナップだ。内容は月替わりで、ここで「日向珈琲」らしさを感じてほしいと考えている。
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