コーヒーで旅する日本/九州編|コーヒーをあまり飲まない街をあえて選んで。地道に伝え、楽しさを生む「日向珈琲」
東京ウォーカー(全国版)
超希少な豆も落札

店頭に並ぶコーヒーのほとんどが浅煎りなのはスペシャルティコーヒーが持つフルーティーさ、果実感を伝えたいから。生豆もそういった考えで選んでおり、産地も生産処理もさまざまだ。アナエロビックナチュラルといった一風変わった生産処理の豆、さらにはゲイシャといった希少品種など、一般的に見かけるような画一的なラインナップではないのが「日向珈琲」の大きな特徴。店頭に並ぶ豆の種類を見てみると、コーヒー業界のトレンドをしっかり追いかけている印象だ。先端のコーヒーに日向市という地方で触れられるのは非常に有意義なことだと感じる。

明確なポリシーを持ってコーヒーと向き合うSHUさんの思いを体現しているのが、ベスト・オブ・パナマだ。2024年に単独落札したVarietal部門の#13で、順位に反して2番目に入札数が多かった注目の豆。エスメラルダ農園が栽培したSL34という品種で、カップクオリティの高さは言わずもがなである。

「当店のような地方の小さなロースターが落札するには大変恐れ多い品。落札額も相当でしたが、コーヒー好きの方々の目に留まる機会になれば、と思い切りました。もちろん味わいも段違いによく、スコアは89.13と高得点で、とにかくクリーン。原価が高いので、豆売りの価格も90グラム1万3800円と当然上がりますが、宮崎に暮らす方々にもぜひ、こういうコーヒーがあることを知っていただきたいんです」

それぞれのコーヒーにプロフィールカードを付け、そこにプリントされたQRコードを読み取れば、さらに詳しい解説が読めるという仕組みにしているのも、情報を伝えていくことが大切という考えがあるから。

実際、取材時に来店したお客からは、「ベスト・オブ・パナマというものを初めて知った。確かに高いけど、一度飲んでみたい」「アナエロビックナチュラルってすごい独特な味わい」といった声が聞かれるなど、知ってもらうこと、体験してもらうことの大切さを強く感じた。

コンセプトに掲げているのは「何気ない一杯が楽しくなる、街のコーヒー屋さん」。豆売りに加え、コーヒースタンドのように利用でき、ハンドドリップコーヒー(600円〜)、アイスカフェラテ(620円)などドリンクを準備。最も手ごろな本日の水出しコーヒー(500円)ではアナエロビックナチュラルといった高単価な豆を用いることもあるというから、味わう体験を大切に考えているSHUさんらしい。

フルーティーな浅煎りや希少な豆、目新しい生産処理などで日向市に新しいの風を吹き込み、少しずつコーヒーの楽しさを広めている「日向珈琲」。いろいろなコーヒーを飲んできたという人にもぜひ試してほしい一店だ。
SHUさんレコメンドのコーヒーショップは「GARAGE COFFEE」
「宮崎市に2店舗を展開する『GARAGE COFFEE』さんをおすすめします。焙煎所を兼ねた塩路店は、真っ白な空間デザインもステキで、とてもかっこいいカフェ。コーヒーはもちろん、スイーツもぜひ楽しんでいただきたいです」(SHUさん)
【日向珈琲のコーヒーデータ】
●焙煎機/フジローヤル5キロ半熱風式
●抽出/ハンドドリップ(Cafec Flower Dripper)、エスプレッソマシン(CIMBALI M21 JUNIOR)
●焙煎度合い/浅煎り〜中煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/あり
取材・文=諫山力(knot)
撮影=坂元俊満(To.Do:Photo)
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