【連載/ウワサの映画 Vol.10】名バディに別れの予感!?笑いも拷問もシリーズ最高の第3弾!
東海ウォーカー
”笑えるハードボイルド”という唯一無二の世界観がウケて、原作・映画ともに人気シリーズとなった「探偵はBARにいる」。映画化は実に4年ぶり、シリーズ随一の完成度でファンの心をくすぐる最新作が登場します。バーを根城にどんな依頼も引き受ける”探偵”と、彼の相棒兼運転手の”高田”。大泉 洋と松田龍平の奇跡的な親和性が生んだナイスなバディも、3作目にして夫婦漫才を思わせる円熟の域に達しています!

”別れの予感”を匂わせながら描く探偵&高田の男同志の友情をはじめ、恋愛、謎解き、アクション、人間ドラマをメリハリを効かせてギュギュギュっと凝縮。今回もた~っぷりと笑わせ、泣かせ、ハラハラさせてくれます。ひと通りのエンタメ要素を詰め込んいるのに取っ散らからないのは、”大人を満足させる”という明確なストライクゾーンの絞り込みのおかげ。1作目から”シブさ”が貫かれていて、いっさいブレないんですよねぇ。

気になる今回のお話は…。アジア最北の歓楽街、札幌・ススキノの”プライベートアイ”こと探偵(大泉 )のもとに、高田(松田)の後輩から「失踪した恋人・麗子(前田敦子)を探して」との依頼が舞い込みます。麗子が”ピュアハート”というモデル事務所を装った風俗店でアルバイトをしていたことを突き止めた探偵は、店を嗅ぎ回っていたことがバレて、オーナーのマリ(北川景子)が率いる男たちに高田もろともボコられるハメに。それにも懲りず、昔なじみのヤクザ・相田(松重 豊)らから、札幌経済界で頭角を現している北城(リリー・フランキー)がマリの黒幕で、2人は愛人関係だと聞き出す探偵。そして彼は、以前にマリと会っていたことを思い出し…。

今回もやっぱり引きずり込まれてしまいましたねぇ、ゆるゆるな”龍平ワールド”に。毎度毎度、ツボなんですよねぇ。今作では、自ら依頼を持って来るなど高田の存在感が増しているわけですが、そんな彼と探偵の天然合戦も底上げされ、ものすごい破壊力!ボソッボソッと最小限のエネルギーで吐き出す短くて脱力したセリフ回しや、アドリブで投入した北海道弁、ひょうひょうとした風情…、間とテンポが天才的です。空手の師範代でもある高田VS志尊 淳演じる新キャラの肉弾戦も圧巻で、龍平くんはワイヤーで飛んでみたり、ジャンピングキックしたら志尊くんが後頭部を強打しちゃったりで、迫真の見せ場が満載!

シリーズに不可欠なファム・ファタールに扮した北川景子の、謎多き悪女ぶりも新鮮でした。リリー・フランキーにどつかれたり、ピストルを手に怒鳴ったりと、体を張って”ヨゴれ”な新境地を拓いていて好感度アップです。はかなさと哀しさを押し出す後半の、”どうしようもないの、私…。”というギリギリ感が美貌を際立せてます。そんなヒロインに惑いに惑わされる、美女にめっぽう弱い探偵のバカさ加減に呆れつつも、2人のプラトニックな関係にホロリ…。

そして、これが一番のお楽しみなんです、フフフ…。お約束となった探偵の”泣きの拷問シーン”!雪が降りしきる2月の小樽、船にくくり付けられたパンツ一丁の大泉さんが、極寒の海風を突っ切りながら沖へ向かってレッツゴ~!さすが、リアル拷問は見応えが違いますね~。彼は脚本にもガッツリ参加しているので、ある程度は自己責任みたいです。ほかにもアイスピックでお尻をブスっとやられる(こっちはさずがに演技です)など、大泉さんの情けない半泣き姿が、サディスティックなあなたを満足させてくれることでしょう。フフフ…。

”最後の事件”とか、”「またいつか、どこかでな」”とかいう字面をポスターやらで目にしますけど…。第3弾というキリのいいところで終わっちゃうつもりでしょうか…、心配。”現代の寅さん”との呼び声も高い探偵だけに、寅さんの2割の第10弾までは続いてほしいものです。Sな私は”じじぃ探偵の拷問シーン”がどうしても観たいんです、大泉さん!【東海ウォーカー】

【映画ライター/おおまえ】年間200本以上の映画を鑑賞。ジャンル問わず鑑賞するが、駄作にはクソっ!っとポップコーンを投げつける、という辛口な部分も。そんなライターが、良いも悪いも、最新映画をレビューします! 最近のお気に入りは「スリー・ビルボード」(2月1日公開)のサム・ロックウェル!
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