歩いて、見て、自然の中で現代アートに出会う「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」
東京ウォーカー(全国版)
緑あふれる神戸・六甲山が、今年もアートの冒険フィールドに変わる!
「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」
が、
2025年8月23日~11月30日(日)まで
開催中。
毎年多彩な感性が集う現代アートの祭典「神戸六甲ミーツ・アート」は、2025年で16回目を迎えた。今年のテーマは「環境への視座と思考」。自然と人間の関係をアートで再発見する、新たな視点が満載だ。

かつて天然資源の乱用で荒廃し、先人たちの努力で緑豊かな姿を取り戻したという歴史を持つ六甲山で、国内外から集結したアーティストたちが、自然と対話するかのような作品を展開する。
11組の招待・特別展示アーティストのほか、公募で選ばれた15組のフレッシュな才能による力作も見逃せない!アートを通じ、自然と未来について、ちょっと立ち止まって考えてみたくなる……そんな体験が六甲山で待っている。

柵なし・距離なし!自然の中でアートと出会う
会場は神戸市内から車で約40分の六甲山一帯。六甲ケーブルの駅や旧六甲山ホテルなど、全部で9カ所のエリアに分かれている。まずは、公式サイトまたは各所で配布している、オフィシャルガイドマップを手に入れてエリアを確認しよう。
六甲山の自然とアートを一緒に楽しめるところが「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」の魅力のひとつ。柵や仕切りがほぼないため、作品との距離も近く、間近で鑑賞することができる。有料会場と無料会場があり、無料会場では、アート目的でない観光客も作品と出会うことができる。

有料会場へ入場可能な鑑賞パスポート(昼パス 大人3000円、小人1200円など)は、総合インフォメーションや、有料エリア(トレイルエリアをのぞく)で当日購入できるほか、イープラスやチケットぴあなどでも販売されている。
世界に5体!奈良美智作品が自然の中に設置された理由
2025年のパンフレットのメインビジュアルは、日本を代表する美術家・奈良美智さんの
「Peace Head」
。阪神淡路大震災から30年となる今年、常設展示に登場し、作家本人の「自然の中で展示したい」という希望もあり、この場所に設置された。


この作品は世界に5体存在し、国内では角川武蔵野ミュージアム(埼玉)にも収蔵されているが、自然の中に展示しているのはここだけ。この
「Peace Head」
があるのは、有料会場の「ROKKO森の音ミュージアム」。作品の前面にはベンチがあり、ゆったりと座って心ゆくまで作品を鑑賞できる。
歩いて感じるアート体験!野外劇「大姥百合」にも注目
同じくミュージアムエリアにある「新池」には、自然と呼応する、巨大インスタレーションが出現!パリに活動拠点を持つ現代美術家・川俣正さんによる
「六甲の浮橋とテラス Extend 沈下橋2025」
は、木造の浮橋とテラスに、昨年追加し、さらに今年延長された沈下橋を大胆に配置し、訪れる人を作品の一部へと誘う。
会期中に行われる体験イベントでは、橋を渡ることも可能。橋を渡る行為そのものがアート体験となり、見る者の身体感覚と思考にじんわりと問いかけてくる。唯一無二の空間体験がここにある。

9月27日(土)、28日(日)の両日には、美術作家で舞台演出家のやなぎみわさんの野外劇
「大姥百合(オオウバユリ)」
を上演。キュレーターを森山未來さんが務める。

踊躍念仏や音楽、舞踊が融合した幻想的な物語。六甲山の空の下で繰り広げられる、やなぎみわさんならではの壮麗でドラマチックな空間表現は必見。チケットは「アソビュー!」にて発売中。公演の映像は、10月下旬頃からROKKO森の音ミュージアムにて、作品として展示予定だ。
開花まで7年から10年かかり、たった一度きりの開花で静かに一生を終えるという大姥百合。新池の一角には、この大姥百合の鋳造作品が、ひっそりとたたずんでいるので探してみてほしい。
安藤忠雄の「風の教会」にもアートが登場!
世界的建築家の安藤忠雄さんが設計した「教会三部作」の一つ、「風の教会」にもアート作品が出現。岩崎貴宏さんの
「Floating Lanterns」
は、今年が阪神・淡路大震災から30年、戦後80年であることから制作されたもので、建物内部に浮かぶ無数の建築模型の断片は、震災や戦争で失われた無数の建物を表している。

このほかにも、魅力的な作品がたくさん。高山植物や四季折々の六甲山の花がそろう「六甲高山植物園」は、アートも自然もどちらも満喫できるエリアで、癒やしの時間を過ごしたい人にもぴったりだ。歩きやすい靴で、のんびりゆったり、森の中のアート散策を楽しもう。

ハイキング気分で楽しめるトレイルエリアは、木漏れ日が差し込む森の中、まるで自然と一体になるように点在するアート作品が迎えてくれる。一部が有料エリアとなっていて、有料エリアには、林廻(rinne)の
「BED」
や小谷元彦さんの
「孤島の光(仮設のモニュメント7)」
を展示。アートと自然が織りなす特別な時間を、ぜひ体感してみてほしい。


まずは、無料エリアから気軽に楽しもう
有料会場の作品も見応えはたっぷりだが「最初から有料はハードルが高い」という人は、まず無料会場を巡ってみるのもいいだろう。
無料会場のおすすめは「六甲ガーデンテラスエリア」。標高約880メートルに位置する眺望スポットからの眺めは抜群!うつくしく手入れされたイングリッシュ・コッテージガーデンの中にはカフェやショップもあり、景色と作品をゆったりと楽しむ事ができる。

オフィシャルアートショップ「ホルティ」の店内には、お笑いコンビ天竺鼠のボケ担当、川原克己さんの作品も展示されている。

同展のオフィシャルグッズや図録なども販売しているので、お気に入りのグッズを手に入れよう。

アートを感じる、参加型の楽しみ方も
アートとの出合いを創出するため、ワークショップも開催されている。トレイルエリアにある六甲山地域福祉センターでは、乾久子さんによる
「ことばが開くことばで開く くじびきドローイング」
が常設で開催されている。
こちらはくじに書かれたお題を絵にし、その後は自分も新たなお題をくじにしたため、次の参加者につなげる。過去に開催した1万点の作品アーカイブを見るのも楽しく、参加無料で予約も不要なので、思い立ったら気軽に参加できる。

有料会場の「天覧台」には、作品
「神戸ワーラー」
にちなんで、「あなたのワーラーの旗を作ろう」というプチワークショップコーナーもある。ワーラーとは「○○屋さん」や「○○な人々」という意味を持つ言葉。ここでは自分のワーラーを描いて、外の柵に結ぶことができる。
「神戸ワーラー」
は、インドにルーツを持つタイ人の作者が、神戸市内の北野エリアでの取材を元に自身のルーツを織り交ぜつつ描いた、地域や人、歴史を織り交ぜた物語性のある作品。描かれた人々の生き生きした表情を眺めるのも楽しい。

同じく「天覧台」にある
「自動れきしはんばいき」
では、誰かが収集した神戸の歴史を購入することができる。鑑賞するだけでなく購入することで、観覧者自体もゆるく作品の一部に組み込まれるという取り組み。同販売機は、みよし観音エリアにも設置されている。

鑑賞者参加型としておもしろいものに、六甲山芸術センターの
「未来郵便局in六甲」
もある。こちらでは、手紙を書いて投函すると1年後に届けてくれる。1通250円で、届け先は自分や友人、家族、恋人などさまざま。

不確実な未来を1年かけて検証するという作品。手紙を投函してしばらく後に「恋人と別れたから返してくれ」というような人もたまにいるというのは、嘘のような本当の話だ。
六甲ミーツ・アートと一緒に楽しめる山頂グルメ
山頂には、アート巡りの休憩にピッタリなカフェやレストラン、土産物店もあり、同展のコラボメニューも提供されている。
「六甲ビューパレス」
は、神戸や大阪の街並みを見晴らす絶景フードコート。見晴らしのよい日は、大阪・関西万博の会場や和歌山県あたりまで見渡せる。席数も約120席と広々でグループやファミリー層に人気だ。「厚切り三田ポークかつ重(みそ汁・漬物付)」(2500円)は、兵庫のブランド豚「三田ポーク」の分厚いカツにビックリ。

六甲高山植物園の東入口脇にある
「山小屋カフェ エーデルワイス」
は、植物園側にせり出したテラス席から、夏は緑、秋は紅葉が楽しめる。
季節メニューの「百日鶏のてりやきのっけごはん スープ付」(1800円)は、100日間肥育した百日鶏を使った照り焼きチキンののっけごはんで、ふっくらとした鶏肉とごはんの相性がピッタリ。11月30日(日)までの季節限定メニューだ。

山上唯一のジンギスカン専門店
「ジンギスカンパレス」
では、新鮮なラム肉を1976年の創業以来受け継がれてきた秘伝のタレでいただく。
「ラム&三田ポーク食べ放題」(90分 4500円~)などの食べ放題メニューのほか、リーズナブルなランチメニュー(2700円~)、骨付きラム(ロース)やラムタンなどの単品メニューも提供。料理の味はもちろん、窓越しに見える夜景のうつくしさも評判だ。

アクセスと会場間の移動に!お得な切符も販売
六甲山へは、大阪や神戸市内から電車・ケーブルカー・車でアクセス可能。山上の交通を1枚のきっぷで利用できる「六甲・まやレジャーきっぷ」(阪神版2350円 阪急版2500円 ※大人のみ販売)や、ケーブルと六甲山上バスの乗車券がセットになった「東六甲周遊乗車券」(大人 2300円/小児 1150円)、六甲山上バスが乗り放題となる「六甲山上バス1DAYチケット」(大人 800円/小児 400円)など、お得な切符もあるので、公式サイトをチェックしてみよう。

会場間を結ぶバスは1時間に約3本運行。駐車場も整備されており、来場者のバスと自家用車の利用は半々くらい。車で行く場合は「ROKKO森の音ミュージアム」か「六甲ガーデンテラス」をナビの目的地に設定すると便利だ。

また、六甲山は自然の中を走るトレイルランニングのコースとしても有名で、中には朝イチに出発して、徒歩ですべてのコースを回るツワモノもいるのだとか。高原の風と鳥のさえずりを感じる非日常の空間で、さまざまなアートとの出合いを楽しもう。
(C)KOBE Mt.Rokko ART & TOURISM Co.,Ltd.
取材・文=二木繁美
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