コーヒーで旅する日本/九州編|クラシカルなサイフォンとストリートカルチャーの組み合わせ。「SHIROUZU COFFEE ROASTER」

東京ウォーカー(全国版)

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州・山口はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州・山口で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

「SHIROUZU COFFEE ROASTER」は福岡市内に2店舗を展開

九州編の第123回は福岡市中央区にある「SHIROUZU COFFEE ROASTER」。福岡市内でコーヒーショップが増え始める少し前の2012年オープン。同時期に開店し、今の福岡のコーヒーシーンを代表する店はいくつかあるが、同店はそういった店とは一線を画す形でファンを増やしてきた印象がある。その大きな理由は、サイフォンによる抽出。

【写真】スペシャルティコーヒーとサイフォンという珍しい組み合わせ

2010年代だとコーヒーの抽出といえば、フレンチプレス、ハンドドリップ、エスプレッソマシンを採用している店が多かった。それはスペシャルティコーヒー全盛の時代だったからで、サイフォンで抽出しているのは昭和のコーヒーカルチャーを色濃く残す老舗喫茶のみ、というイメージは少なからずあった。それでも「SHIROUZU COFFEE ROASTER」のオーナー、白水和寿さんはサイフォンでの抽出にこだわり、当然今もそれを続けている。その理由は白水さんが真摯に、そして無骨にコーヒーと向き合ってきたから。知識ゼロだったゆえに選んだコーヒーの入口が、今は同店のぶれないアイデンティティになっている。

オーナーロースターの白水和寿さん

Profile|白水和寿(しろうず・かずとし)
福岡県春日市出身。高校卒業後、アパレルのショップ店員に。約6年勤務した後、一念発起してコーヒーの道へ。福岡市内の老舗喫茶で就職し、約5年間知識を蓄え、接客・サービス・抽出スキルを磨く。2012年、1店舗目として中央区港に「SHIROUZU COFFEE」をオープン。2015年に警固店を出店したタイミングで「SHIROUZU COFFEE ROASTER」に改名。警固店は2025年3月にリニューアル。

ファッションからコーヒーの道へ

カップのロゴなど白水さんの感性が光る

オーナーロースターの白水さんは、もともとアパレル出身。ショップ店員として数年働き、ストリートカルチャーやアート、音楽に対して広くアンテナを張っていた。そんな白水さんがコーヒーに興味を抱いたのは、シンプルに休憩のお供に常にそばに缶コーヒーがあったから。

「ショップ店員として働いていたとき、休憩のお供には不思議と缶コーヒーが欠かせなくて。別においしいと思って飲んでいるわけでもなく、当たり前に缶コーヒーがあって、先輩や後輩に飲み物を差し入れするにも、とりあえずコーヒーにしとくか、という感じで」

そんな風に常に身近にコーヒーがあった白水さんは、一生続けていく仕事を考えたとき、アパレルショップのスタッフとして働くことに疑問を感じ、違う道を模索し始める。そこで、たくさんの人に求められるものとして選んだのがコーヒーだった。

前職の経験を活かし、オリジナルTシャツなども積極的に作っている

「果たして自分が飲んでいるコーヒーがおいしいのか、おいしくないのか。それもわからずコーヒーの世界に飛び込むことに決めたんですが、今考えるとものすごく無謀ですよね(笑)。ただ逆にそれが私にとってはよかったのかもしれません。コーヒーの知識ゼロ、コーヒー業界のトレンドも知らず、知人に教えてもらって訪れたのが『珈琲舎のだ』でした。当然ですが、普段飲んでいるコーヒーとは比べ物にならないくらいおいしいコーヒーを『珈琲舎のだ』で体験し、すぐに履歴書を用意して、求人に応募しました」と当時を振り返る白水さん。

珈琲舎のだは福岡を代表する老舗喫茶で、創業以来、変わらずサイフォンでコーヒーを淹れている。白水さんは同店に約5年勤め、イチからコーヒーの基礎を学んだ。この選択が「物事を学ぶなら厳しい環境だとしても、しっかりとしたところで」と考える白水さんの真面目な人柄をよく表している。

サイフォンが逆に目新しさに

2店舗目の警固店

もともと、どこかに雇われて仕事をするというのは自分の性には合っていないと考えていた白水さん。珈琲舎のだに入ったときから独立願望を持っていて、30歳になったのを機に2012年、福岡市中央区港に「SHIROUZU COFFEE」を開業。最初は自家焙煎は行わず、3年ほどは純粋にコーヒー主体のカフェとして営業を続けた。そこでポイントになったのが修業先で学んだサイフォンによる抽出だ。

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