アーティスト・Bibi Lei、日本のアートの印象は「こだわりがあり、非常に計算されていて正確」
東京ウォーカー(全国版)
2025年7月29日から10月15日(水)まで、サンズ・チャイナは「Art Macao 2025」に向けて、2つの活気あふれる展覧会を開催。ひとつは特別展「Dopamine:Fountain of Happiness」そして関連展「“Beyond the Frame:国際現代名作展」だ。この特別展では、アジア・ヨーロッパ・アメリカの著名な現代アーティストたちが集結し、古代ローマ神話の永遠の美をそれぞれの創造的なスタイルで再解釈。
さらに、世界で愛されている「セサミストリート」と融合させ、魅力的な展示を行っている。そんな「Art Macao2025」に、ファッションデザイナーでもあり、画家でもあるアーティスト・Bibi Leiさんが参加。
地元がマカオでもあるBibi Leiさんが、展示が決まった際の心境や、幼少期の思い出、テーマである“幸せ”について語った。
カラフルな作品に、地元への愛を込めた
――今回「Art Macao 2025」へ、参加のお話をいただいたときの率直なお気持ちは?
【Bibi Lei】今回呼んでいただいて、最初に心の中で「ただいま」と報告しました。そんな私をマカオは「おかえり」と返してくれたような気がしましたね。
――Bibi Leiさんはマカオご出身ですが、地元のよさを教えてください。
【Bibi Lei】私の故郷であるマカオは、とてもユニークな街です。古い街並みと新しい街、そして中国文化とポルトガル文化が混ざり合っている小さな都市です。私はどちらかというと古いエリアで育ったので、子どもの頃は地域の温かさや人との繋がりを感じながら過ごしていました。
――今回「Art Macao 2025」に出展するアートのポイントを教えてください。
【Bibi Lei】今回の作品は「マカオへの愛と思い」を表現していて、特に子どもの頃から好きだったおとぎ話や、空想の世界をイメージしています。私の作品は今回に限らず女性の力強さや、子ども心というものをポイントに描いています。
――おとぎ話を好きになったきっかけは何だったのでしょうか?
【Bibi Lei】両親から中国文化や東アジアのおとぎ話を聞いて育ってきました。思い出深いのは、マカオにはマズ(媽祖)という神様がいて、街には銅像も建っているのですが、そこの近くに建っている古いお寺で火事があったんです。お寺自体は焼けてしまったけれど、奇跡的にドアだけは残っていて。その時に「あ、おとぎ話ってすごい」と子どもながらにファンタジーの力をものすごく感じましたね。
創作する時間は「私にとって自然なこと」
――出展したアートは、どのくらいの時間をかけて作成しましたか?
【Bibi Lei】今回は二つの展示会があって、一つは「Beyond the Frame: 国際現代名作展」で、関連展として「サンズ・ギャラリー」(フォーシーズンズ・グランド・スイート内)でやっているグループでの展示、もう一つは「ドーパミン:ファウンテン・オブ・ハピネス」(ザ・ヴェネツィアン・マカオ)で行われている展示会を並行していて、全部の作品を描くのに約6カ月かかりました。
――展示会を並行するのは、時間的にもメンタル的にも大変ではないのでしょうか?
【Bibi Lei】全然大変ではなくて、プレッシャーもありません。アート作品を創作するっていう行動は、私にとって日常と何も変わらない、とても自然なことなんです。
【Bibi Lei】今回「ドーパミン:ファウンテン・オブ・ハピネス」のほうは、テーマが「喜びと幸せ」で自分らしさを体現するものでもありますし、もう一つの「Beyond the Frame: 国際現代名作展」のほうでは、ブレイクスルーがテーマでもあったので、制限はありました。セサミストリートとコラボした彫刻作品を作る時は、少し時間がかかってしまったのですが、チームのみんなと共に頑張っていたので大変というよりかは、楽しかったですね。
――普段の作品はどのくらいの時間で完成させるのでしょう?
【Bibi Lei】サイズによりますが、基本的には二日から三日くらいで完成しますね。展示会などいろいろな作品を完成させなければいけない時は、キャンバスを一度にズラッと並べて描いていくので、この作品にどのくらい時間がかかったと断定するのはちょっと難しいんです。
――なるほど。では、今回コラボしたセサミストリートの印象や思い出があれば教えてください。
【Bibi Lei】子どもの頃、アニメでセサミストリートを見ていました。エルモ、ビッグバード、クッキーモンスターといったメインキャラクターはもちろんかわいいのですが、特に好きなキャラクターはいなかったんです。でも、魔法の妖精・アビーが初めて登場した時はすごく魅力的に映って、そこから大好きなキャラクターになりました。
祖母と過ごした幼少期「観察することを大切にしていた」
――Bibi Lei さんの作品は、スーパーヒーローの少女たちが絵のモチーフになっていますが、あえて女の子しか描かない理由はありますか?
【Bibi Lei】たしかに、私の絵に描かれているあのヒーローは女の子にも見えるけれど、私の中で性別は特に決めていないんです。見る人によってそれが男の子だったり、女の子だったり、自由に解釈してほしい意図があります。
――フィンガーペインティングも魅力的ですが、あえて指でしか描かない理由は?
【Bibi Lei】理由は二つあって。一つは、子どもの頃にポルトガル・リスボンで、数年間祖母と暮らしていました。彼女はタイルや陶器に絵を描く職人をしていたので、壁や床に「自由に絵具で絵を描いていいよ」と言ってくれて。それで遊ぶのが本当に楽しかったんですよね。でもポルトガル語を話す祖母に対して、私は中国語しか話せなかった。コミュニケーションがなかなか取れない中で、私たちはお互いの仕草や触れ合い、目で観察することを大切にしていたので、その時の影響が今につながっているのだと思います。
【Bibi Lei】もう一つは私には娘がいて、学校に送っていったりお弁当を作ったり、一緒に過ごす時間を大切にしているので、作品に費やせる時間は朝の9時から、昼の3時までと決めていて指の方が効率的に早く描けるんです。なので筆は使っていません。
日本のアートとは真逆…「アトリエに黒い絵の具なない」
――Bibi Lei さんのカラフルな絵を見るとエネルギーを感じ、幸せな気持ちになれます。現在東京に拠点を置いていると伺いましたが、日本のアートはどのように感じますか?
【Bibi Lei】私は幼い頃からディスレクシアを持っていて、日本語を一生懸命勉強しているけれど、なかなか上達しなくて。でも逆に日本語がわからないからこそ、静かだなと思うんです。日本はもともと静かな国ではありますが、自分のカラフルな世界に没頭できて集中できるところがいいなと思って今東京にいます。街としてもすごく好きです。
【Bibi Lei】日本のアートはたしかに暗い色が多いですよね。でも、私のアトリエに黒い絵の具なないんです。黒は影、光がない色なので、私の作品のテーマ「光」に使うことがなくて、真反対ですね。
【Bibi Lei】また、日本のアーティストはこだわりが強いイメージもあって「この色をこの場所に使いたい」と非常に計算されていて、正確なアートだと感じています。
――今回のテーマでもある「ドーパミン:ファウンテン・オブ・ハピネス」にちなみ、Bibi Lei さんにとって、「幸せ」とは何ですか?
【Bibi Lei】まず毎日アトリエで絵を描けること、そして娘の成長を日々感じられている瞬間、そして天気がいい日です。普通の日常にも思えますが、私にとってはこれが幸せです。
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