ショーアウフグースってなんだ?世界レベルのアウフグースを体験しに「御殿場温泉・サウナ天国めぐり」開催中の「木の花の湯」に行ってきた
東京ウォーカー(全国版)
数年前からのサウナブーム以降、さまざまな施設で聞くようになった「アウフグース」。サウナ室で行われるプログラムでありながら、不定期で行われ、特に女性は遭遇する機会が男性に比べて少ない印象。なので、何となく知っているけど、実際には体験したことがないという人もいるのでは。今回、そんなアウフグースの世界大会で5位に入賞した「しゃけのこ」のアウフグースが受けられると聞き、御殿場の「木の花の湯」に行ってきた。
ロウリュとアウフグースは何が、どう違うのか?
昭和のころからあったサウナだが、数年前のサウナブームからいろいろと変化が見られるようになった。まず、フィンランドのサウナでは定番の「ロウリュ」が広まってきたこと。フィンランド語では「löyly」、「サウナの蒸気」という意味だが、日本のサウナでは「サウナストーブに水またはアロマ水をかけて蒸気を発生させる行為」を意味することが多い。
施設にもよるが、「ロウリュ」はサウナ利用者が自分で行う「セルフロウリュ」、施設の設備として一定の時間間隔で、自動で水をかける「オートロウリュ」、施設スタッフが定期的にサウナ室に入って水をかける「スタッフロウリュ」など、やり方はいろいろ。サウナ専門施設でなくても、スーパー銭湯や街なかの銭湯でも見られるようになった。
一方の「アウフグース」はドイツ発祥。ドイツ語の「Aufguss」は「注ぐ」という意味で、サウナではロウリュをして発生した蒸気を、タオルなどを使ってサウナ室内に拡散させることを指す。「アウフグース」にもいろいろあって、タオルを振って蒸気を循環させ、一人ずつに熱風を送るシンプルなスタイルのほか、タオルを使ってさまざまな“技”を披露したり、音楽や照明を駆使したり、ミュージカルのようなストーリーを展開するなどエンタメ要素の強いスタイルもある。また、タオル以外に大きなうちわや扇子を使うアウフグースや、ブロワー(送風機)を使うイベントもある。
裸で入る通常のサウナで行う場合もあるが、水着着用で男女一緒に受けたり、岩盤浴の室内で行ったりするケースもある。女性の水着着用イベントで男性スタッフがアウフグースを行うこともある。また、施設のスタッフが行う場合と、熱波師・アウフギーサーと呼ばれる専門スタッフが行う場合があり、後者では事前予約や整理券が必要になることも。有料イベントとして行われたり、参加者が抽選になったりすることもある。さらに男性サウナに比べると女性サウナでの実施は少ないため、参加のハードルが高くなると初心者は尻込みしてしまう一面もある。
「御殿場温泉・サウナ天国めぐり第5弾」対象施設の「木の花の湯」
そんな「アウフグース」だが、今回、御殿場にある「木の花の湯」で世界大会5位入賞の「しゃけのこ」さんのパフォーマンスが目の前で見られるというスペシャルなイベントが行われることに。
「木の花の湯」は御殿場プレミアム・アウトレットにある温浴施設。男女別のお風呂には温泉や炭酸泉などがあり、露天風呂から富士山が見える眺望も素晴らしい。施設内には昼、夜ブッフェが楽しめるレストラン、気軽に利用できるカフェ、休憩にぴったりの「うたたね房」や漫画や雑誌が自由に読める「休息房」があり、1日中ゆっくり過ごすことができる。
アメニティもそろっていて、入浴料にはタオルとフェイスタオルが含まれているため、手ぶらで立ち寄るのもOK。1日過ごしたい人には館内着のレンタル(300円)もある。また、2025年12月14日(日)まで、御殿場エリアでは「御殿場温泉・サウナ天国めぐり」というスタンプラリーを開催中。デジタルスタンプラリーアプリの「furari」をダウンロードすれば誰でも参加できる。フロントに置かれたQRコードを読み込むとスタンプが貯まり、スタンプの数に応じて景品がもらえる。せっかくなので受付時にスタンプをゲット。
脱衣所で準備をしたらウォーターサーバーで水分補給して浴室へ。浴室の窓から見える景色も気になるが、まずはサウナのために、髪と体を洗ってお風呂で体を温める。ほどよく温まったら体をよく拭いてサウナ室へ。女性サウナ室は入口から奥に向けて横長の造りになっていて、一番奥に窓がある。サウナストーブは奥にあるので、熱さが苦手な人は入口側の下段に座るのがいい。天井も高めでサウナ室の窓から外の景色が見えるので、なんとなく開放感を感じる。
じわじわと温まってきたらサウナを出て、汗を流して水風呂へ。御殿場の温浴施設は、水風呂の水が富士山の伏流水なのだそう。というのも、御殿場市内の水道水はミネラル豊富な100%伏流水。なんと贅沢な!そう聞くと水風呂にトライしてみたくなるというもの。無理は禁物だが、富士山の水に全身浸かってみたいという好奇心をぜひ満たしてほしい。
アウフグースでサウナ室内に生まれる一体感
この日は「御殿場温泉・サウナ天国めぐり」のイベントとして、女性サウナでは、“日本一予約が取れない”熱波師とも言われる鮭山未菜美さん、男性サウナではのこのこ窪田さんがアウフグースを行った。参加するには、ロビーで申し込みが必要。抽選で選ばれたら、開始時間の少し前に浴室のサウナ室前に集合という流れ。アウフグースの前にはサウナ室のドアを開放して空気の入れ替えが行われるので、それが始まるとソワソワする人があちこちに見られるように。しっかりと水分補給をしたらサウナマットを持って番号順に中に入り、好きな場所に座っていく。
アウフグースの演目はその時々で変わる。同じ人でも、同じ内容を毎回やるわけではない。今回の鮭山さんのアウフグースは3部構成で、それぞれ音楽もロウリュのアロマ水の香りも、タオルの振り方も違う。アウフグースの最初に「アウフグースが初めての人はいますか」、「無理をしないで途中退室OKです」と言われる。これはどんなお客さんがいるのか確認するためなので、初めてでも尻込みする必要はない。アウフグースで体感温度が上がるのと、途中退室する可能性も考えて、初心者は出入りしやすい下段に座ることをおすすめする。もし、上段しか空いていなかったら、「初めてなので」と言って席を替わってもらうのもアリ。ほとんどの人がアウフグースに慣れているので、初心者には優しく接してくれるはずだ。
鮭山さんのアウフグースは音楽に合わせて、“タオルを振る”というよりは、タオルを使って舞う!という感じ。要所要所で華麗にタオルを回したり、投げたり、さまざまなタオルテクニックを織り込み、個々に風を送ってくれる。こうした”技”に対しては拍手で応える。タオルパフォーマンスのすごさにはリアルに感動。鮭山さんも汗だくで仰ぎ続け、音楽やアロマの香りも手伝って、サウナ室内が一体化し盛り上がる。もちろん、体感温度も上がってドッと汗が流れる。
約15分でプログラムが終了。拍手で締めくくったあとは、それぞれにサウナ室を出て、大量にかいた汗を流す。水風呂に向かう人、露天エリアに向かう人、水分補給をする人、さまざま。個人的にはせっかく熱くなったのだから水風呂必須。そして外気浴へ。順番はどうあれ、水分補給と休憩は必ず取るべし。水風呂が苦手な人も、これだけアウフグースを受けたら入りたくなるかも。
目的だったアウフグースを体験できて大満足。このあとは、温泉を楽しんだり、炭酸泉でのんびりしたり、気ままにお風呂を楽しむ。なかでもおすすめは露天風呂。「木の花の湯」の露天エリアは棚田のようになっていて、上段には立ったまま入る「立ち湯」があり、そこから富士山が望める。天気がいい日には目の前にそびえ立ち、その美しい姿を温泉に入りながら見られるという、何とも贅沢な入浴タイムが楽しめる。この絶景はぜひとも体験してほしい。
地元グルメや地産食材を使ったランチブッフェ
サウナのあとは、腹ごしらえ。「木の花の湯」には、気軽に軽食やドリンクが楽しめる「木の花カフェ」と、ブッフェスタイルで食事が楽しめる「ダイニング花衣」がある。「木の花カフェ」では、オリジナルビールをはじめとする地元のクラフトビール、静岡らしいジュースやアイスなども楽しめる。同じフロアに休憩スペースも充実していて、心身ともにのんびりリラックスできる。
「ダイニング花衣」はランチとディナーをブッフェスタイルで楽しめる。天井が高く、大きなガラス窓からの眺望も素晴らしい開放的な空間。ブッフェでは「静岡おでん」や「みしまコロッケ」など、ご当地グルメも含め和洋中の種類豊富な料理を好きなだけ食べられる。地元の野菜を使っているせいか、野菜のみずみずしさが印象的だ。
今年の「御殿場温泉・サウナ天国めぐり」では、温泉・お風呂を楽しむだけでなく、各施設のサ飯にも着目し、それぞれの「富士山カレー」を推している。各施設自慢のカレーを富士山風に盛り付けたもので、サウナのあとにもぴったりのメニュー。飲食施設にもQRコードが置かれており「富士山カレー」でなくても利用すればスタンプを貯められるようになっている。
「ダイニング花衣」はブッフェレストランなので、自分で盛りつけて「富士山カレー」を作る。とりあえず、見本の写真を見ながら盛り付けに挑戦。ご飯は雑穀米を選択し、野菜をトッピングして何となく我流の「富士山カレー」を作ってみた。カレーは欧風系でコクがあり、スパイス感もしっかりある。「富士山カレー」のように盛り付けなくても、ぜひ食べてほしい。
デザートも充実していて、おなかいっぱいになるのは避けられない。大満足でレストランをあとにして、休憩エリアへ。食後、満腹状態での入浴はよくない。再度、お風呂やサウナを楽しみたい人は雑誌や漫画などもあるので、十分に休憩しよう。
アウフグースの世界大会5位入賞の「しゃけのこ」
この日のメインはここから。特別に「しゃけのこ」さんのパフォーマンスが見られるのだ。「しゃけのこ」はユニット名で、女性の鮭山未菜美さんと、男性ののこのこ窪田さんのペア。それぞれ個人でも活躍されていて、多くのサウナ好きに支持されている。また、今年「しゃけのこ」として参加した世界大会団体の部では、5位入賞という快挙。「アウフグース」をよく知らないと、世界大会があることにも、そこで日本人が活躍していることにも驚く。日本がアウフグースの大会に参加し始めたのは2022年、にもかかわらず2023年には世界大会団体の部で日本代表が優勝。そして、今回も世界5位に入賞と、日本のアウフグースの目覚ましい発展ぶりにもびっくり。
さて、この世界大会で競われるアウフグースは、「ショーアウフグース」と言われるもので、音楽や照明、香りを駆使して、ストーリー性があり、衣装や小道具なども使い、文字通りショーとしてのクオリティが求められるエンターテインメント。タオルを使って仰ぐのも、ただタオルを振っているのではなく、さまざまなタオルテクニックを取り入れて、魅せる“技”で観客の心をつかんでいく。
「しゃけのこ」さんは男女のユニットなので、裸で入るサウナでは女性はアウフグースを受けることはできない。ちなみに男性サウナで女性がアウフグースを行うことはごくごく普通にある。今回は世界大会のパフォーマンスを披露する無料イベントで、洋服を着た状態でアウフグースを見る。老若男女問わず、多くの人が集まった中でパフォーマンススタート。ロビーという普段とは違う制約のある場所ながら、見ている人を魅了していった。
パフォーマンスの詳しい内容は伏せておくが、音楽や照明などを使って、ストーリーが展開し、ひとつの演劇を見ているようで、タオルパフォーマンスはもちろん、2人の表情や台詞も含めてグッと引き込まれ、ラストシーンはちょっと泣きそうになったぐらい。サウナ室の中ではなかったが、たくさん風も送ってもらい、それもまたうれしい気持ちにさせてくれた。ここがサウナ室だったら…という気持ちも正直あったが、世界大会のプログラムを間近で見ることができ、感動した。たくさんの人にアウフグースの楽しさを体感してほしいとあらためて思えた瞬間でもあった。
「木の花の湯」での鮭山さんのアウフグースや「しゃけのこ」さんパフォーマンスは、残念ながらこの日だけのイベントだが、「木の花の湯」では通常スタッフが行うアウフグースもあるので、それもぜひ楽しみたい。せっかくなら「御殿場温泉・サウナ天国めぐり」期間中に訪れ、近隣の施設もめぐってサウナや温泉、「富士山カレー」を満喫してスタンプを貯めるのも楽しい。
鮭山さんや「しゃけのこ」さんのアウフグースを受けてみたいと思ったら、全国のざまざまな施設でパフォーマンスをしているので、調べて参加するのもおすすめだ。サウナの楽しみ方をまた一つ深めてくれる「アウフグース」。これまで躊躇していた人も、ぜひこの新たな扉を開けていつもと違うサウナの楽しみ方を知ってほしい。
取材・文=岡部礼子
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