コーヒーで旅する日本/関西編|始まりは山の頂上で飲んだコーヒー。予期せぬ感動から小さな街のオアシスができるまで。「THE HOOD COFFEE」
東京ウォーカー(全国版)
全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも、エリアごとに独自の喫茶文化が根付く関西は、個性的なロースターやバリスタが新たなコーヒーカルチャーを生み出している。そんな関西で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。
関西編の第106回は、奈良市の「THE HOOD COFFEE」。奈良市の中心部にあって、趣ある木造の家並みが残るならまちエリアに、2年前にオープン。観光客も多い界隈から南に外れて、住宅街へと変わるあたりにある店は、外から素通しとあってどこか開放的な雰囲気。店は小さいながらも、心地よい大らかさが感じられる。近年、ならまちのにぎわいが広がり、新しい店が増えつつあるエリアを盛り上げようと、地元にフィットした店作りを目指している。
Profile|中村匡志(なかむら・まさし)
1993年(平成5年)、奈良県生まれ。リハビリ言語聴覚士として勤務していたころ、登山中に飲んだコーヒーに感動し、コーヒーの世界に傾倒。仕事の傍ら、独学で焙煎、抽出の技術を磨き、豆の販売やイベント出店をスタート。その後、1年間、地元橿原市での間借り営業を経て、2024年に奈良市内に「THE HOOD COFFEE」をオープン。
初期衝動に従って開いたコーヒーの世界の扉
「最初にこの場所を見たとき、サイズ感がちょうどいいなと思って。全面ガラス張りで、表通りが見える空間もイメージ通りだったので、即決しました」。にこやかに答える店主の中村さんは、言葉や聴力、嚥下に関わる障害を支援するリハビリ言語聴覚士から転身した、ユニークな経歴の持ち主。社会人になるまで、コーヒーとはほぼ縁がなかった。それが今ではすっかりコーヒーの虜になったのは、働き始めて2年が経つころのことだ。「当時、アウトドアを趣味にし始めて、山登りに行って、山頂でドリップバッグのコーヒーを飲んだときに“なんておいしいんだ!”と感動して。そこからグっとハマっていったんです」
以来、仕事の傍ら、コーヒー関連の書籍や動画などを片っ端から見て、独学で抽出や焙煎にチャレンジ。手網で始めた焙煎は、やがて手回しのサンプルロースターへとステップアップ。さらに深みに入って、ラテアートにも関心を持ち、ボーナスをはたいて自宅にエスプレッソマシンまで設置した。「当時は、すべて初期衝動のままに進んできました」という通り、好奇心の赴くまま、週末はほとんどコーヒーのことに没頭。いつしか、コーヒーが生活の中心を占めるようになっていた。
その後も、中村さんの探求心は止むことなく、2年ほど経つころには豆のオンライン販売もスタート。友人の協力を得て、ガレージを改装して自身の焼いたコーヒーをふるまう場を設けるなど、活動の場を広げていった。そこへ飛び込んできたのが、和歌山で開催されるコーヒーイベントへの出店の誘いだった。「それまで知人にコーヒーをふるまうくらいで、屋号を掲げて参加することになったのは、このときが初めて。まだ実店舗もないときに、主催者がSNSで見つけてくれて、“自分でいいの?”と半信半疑でしたが、逆にこんなチャンスはないぞと思い直して。有名なお店も参加しているなかで、出るからには、その場に見合ったものを出すと気合が入りましたね」と中村さん、この幸運な出会いが、本格的に自店を開業するための足掛かりとなった。
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