「最悪妻を…」「危なくなったら愛していても…」秘密を抱えた夫婦の心理戦。視点トリックが光る疑惑サスペンス【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
一見どこにでもいそうな仲のよい夫婦。しかし、その日常には小さな違和感が潜んでいる——。桜月(
@k_sakurazuki
)さんが描く『完璧な夫 完璧な妻』は、互いに秘密を抱えた夫婦が静かに疑念を重ねていくミステリアスドラマだ。ある日、夫はシャツの袖に血をつけたまま帰宅し、「鼻血が出た」と平然と言い訳をする。妻はそれ以上追及しないが、その沈黙が逆に不穏な空気を生む。穏やかな会話の裏に潜む駆け引きが、読者をじわりと不安へ引きずり込む作品である。
夫視点と妻視点で浮かび上がる“完璧夫婦の裏側”
第1話では夫の視点から物語が始まる。「妻は気づいていると思う」と内心でつぶやきながらも、平然と日常を続ける夫。その胸中には「最悪妻を…」という不穏な考えまでよぎる。
一方、第2話では同じ出来事が妻の視点で描かれ、血のついた袖を見た妻は「まったく…やるならもっとうまくやってほしい」と冷静に心の中でぼやく。「まさか妻に手を出すことはしないと思うけど…危なくなったらどんなに愛していても…」という独白が、夫婦の関係をより不気味に彩る。視点が変わるだけで印象が大きく反転する構成は、まるで鏡合わせのような心理サスペンスだ。
モデルは実在の夫?“仲良し夫婦”が生まれたきっかけ
制作のきっかけについて桜月さんは、「スーツ姿で腕時計をしてハンドルを握る夫を見て、『スーツ姿がかっこいいキャラをつくりたい』と思ったのがきっかけでした」と語る。さらにキャラクターのモデルについても「はい。夫をモデルにキャラクターをつくったので、夫婦モノにしてみようと思ってお話をつくりました」と明かした。
当初はやさしい妻という設定だったが、「妻にも秘密があったほうがバランスがいいなと思った結果、似たもの夫婦になりました」というエピソードには、思わずクスッとする人もいるだろう。リアルな夫婦像から生まれた“疑惑系ラブサスペンス”なのである。
視点トリックとページ構成に隠されたこだわり
本作の見どころについては、「1話は夫視点、2話は妻視点…と2つの異なる視点から同じ物語を描いていますが、ページ数も合わせて裏表のようにしているんです!」と作者。たとえば夫視点の3ページ目では着替えに向かう場面が描かれ、妻視点の3ページ目ではリビングでコーヒーを淹れている。そして4ページ目ではどちらも同じコーヒーシーンに合流するという仕掛けがあるという。
「同じお話の展開でも視点が違うことで楽しんでいただけたらと思います」という言葉通り、細部まで計算された構成が作品の緊張感を底上げしている。
“このケータイは…”沈黙の心理戦はまだ続く
表向きは幸せそうな夫婦。携帯電話を見られても問題ないと言い合いながら、心の中では「…このケータイは」と互いに警戒する姿が描かれる。読者からは「おもしろい!!」「ゾクゾクした…」「似た者同士だった…」といった感想が寄せられ、展開への期待は高まるばかりだ。
完璧に見える2人は本当に完璧なのか、それとも互いに仮面をかぶったままなのか——。読後、思わず“推理脳”が目覚めるミステリー夫婦劇である。
取材協力:桜月(@k_sakurazuki)
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