【第49回】思わず撮影したくなる!インスタ映えする極太きしめん「芳乃家」
東海ウォーカー

名古屋市昭和区の住宅街にある、創業60年を超える麺処。一見、地元で愛される昔ながらの店という印象だが、思わず写真を撮りたくなるインパクトのある麺が話題となり、遠方から訪れる人も少なくない人気店となっている。
銭湯帰りの憩いの場から手打ち麺処へ

芳乃家の創業は1953(昭和28)年。現在の店主である野嶋道雄さんの父が創業した。当時は、通りをはさんだ向かい側に銭湯があり、その行き帰りに立ち寄る人も多かったとか。麺類や丼のほか、ラムネやかき氷、手作りのアイスキャンディなども扱っており、子どもからお年寄りまで幅広い世代がくつろぐ場所として親しまれた。

2代目の道雄さんは名古屋市内の店で修業したあと、21歳の時に芳乃家へ戻る。修業先で手打ちの技術を学んだことから、道雄さんに代替りして以降、店で手打ちする麺に切り替えた。うどん、そば、きしめん、煮込み用のうどんの4種類を日替りで順番に打っている。

もはや、すすることが難しい約4cmの幅広きしめん
道雄さんが麺を打ち始めたころから、少し広めの幅に仕上げていたというきしめん。「もっと太くしてみたら?」というお客さんからの要望に応えるうちに、どんどん幅が広くなっていったという。きしめんの幅は7~8mm程度が一般的と言われるが、芳乃家では現在の幅が約4cm。「もっと幅を広くする予定は?」という問いかけに、「おいしく味わうには、これぐらいの幅が限界かな」と道雄さんは微笑む。年配のお客さんから頼まれて、食べやすく細めにカットすることもあるそうだ。

幅が広いだけでなく厚みもあるきしめんは、非常にもっちりとして弾力があり、麺というよりも薄めの餅のような印象。箸で持ち上げると、ずっしりと重みを感じるほどだ。このきしめんを1玉延ばすのには20分ほどかかり、冬は気温が低いため特に大変だという。夏と冬では人気のメニューが変わるため、夏はあっさりした味に合わせて薄めに、冬は濃いめのツユに合わせて厚めに仕上げる。ゆであげるのにも温かいメニュー用で7~8分、冷たいメニューでは15分もかかるなど、手間暇をかけてようやく仕上げることができる特別なきしめんだ。

きしめんの幅の広さに目を奪われがちだが、合わせるツユにも抜かりはない。シンプルな「きしめん」には、ムロアジ、ソウダガツオ、サバなどでとった濃いめのダシに、たまり醤油で味付けしたツユ。幅広のきしめんはツユをよく吸い、絡みやすいので、麺と共にツユのおいしさも存分に楽しめる。

個性的なきしめんを求めて、遠方からも来店

平日は近隣の住民などが中心だが、休日は遠方からの来店も多い。若いお客さんは幅の広いきしめんを注文すると、必ずと言っていいほど写真に収めていく。道雄さんも「“インスタ”にあげるんですよね?」「遠くからわざわざ来てくれて、喜んでもらえたらうれしいですよ」と笑顔で話す。

お客さんの笑顔を励みに、今日も自慢の麺を打つ「芳乃家」。幅広きしめんを目当てに訪れた人が、きしめんという食文化に出合って、そのおいしさを知り、あたたかな気持ちになってくれることを願っている。【東海ウォーカー】
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