「望んだ未来?」150%ノルマの30代→親友の死で10数年封じた漫画の夢へ挑む姿に「号泣」【漫画家に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
150パーセントの生産性を求められる過酷な職場。降りかかるノルマをこなし、気づけば30代。安定した生活を手に入れたはずの主人公の元に届いたのは、かつての親友の訃報だった。SNSで流れてきたその知らせが、十数年前に封印した「漫画家」という夢の記憶を、鮮烈に呼び起こしていく。
町田ねねこ(@ne_machida)さんが描く創作漫画『このマンガが、なっちゃんへ届きますように』。社会に出て誰もが直面する「理想と現実の乖離」と、そこからの救済を丁寧に綴った本作の制作秘話と、作品に込めた祈りについて話を聞いた。
「自分が知っている感情」を。32ページの読み切りに込めた葛藤
本作は、町田さんが参加したオンラインスクール「コルクラボマンガ専科」の卒業制作として誕生した。初めての32ページという大作に挑むにあたり、テーマに選んだのは自分自身の内側にあった「迷い」だった。
「社会人として必死に生きる中で、『本当にこれでよかったのか?』と自問自答してきた私の実感をベースにしています。キャラクターの心情が、読者にとっても『自分ごと』として感じられるよう、嘘のない感情を描くことに全力を注ぎました」
「表情のない表情」が語る空虚。シンプルな絵柄だからこそのこだわり
町田さんの描くキャラクターは、頭身が低くどこか愛らしい。しかし、作中の描写は驚くほどリアルで、読者の胸を締め付ける。特にこだわったのは、主人公が自らの心の空っぽさに気づく瞬間の描き方だ。
「目線のわずかな動きや口元の変化で感情を表現しました。特に『私の望んだ未来はこれでよかったんだっけ?』という場面では、あえて表情を消すことで、彼女の中に広がる空虚さを強調したんです」
かつて「傷つきたくない」という理由でペンを置いた過去。形に残らない「生産性」ばかりを求められる現在。その対比が、静かな筆致で浮き彫りにされる。
「傷つく勇気」こそが人生。作品を描き終えて見えた光
物語の終盤、主人公は疎遠になった友との約束を果たすべく、再び歩き出す。町田さん自身も、この作品を描き上げる過程で大きな心境の変化があったという。
「以前は、本気で向き合って失敗するのが怖くて、挑戦する前に諦めてばかりでした。でも、この作品を通して『好きなことから距離を置くのではなく、真正面から向き合うことこそが、本当の人生を生きることだ』と気づけたんです。たとえ傷ついても、その先に得られるものがあると思えるようになりました」
本作は、作者自身の「小さな一歩」でもあり、同じように立ち止まっている大人たちの背中を優しく押す、再生の讃歌となっている。
取材協力:町田ねねこ(@ne_machida)
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