【妻の復讐】バレてないとでも?餃子に包まれた“復讐”を召し上がれ!心霊より怖い人間の狂気…夫の裏切りが招いた“恐怖の食卓”【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
「今夜は会社に泊まりになる」という夫からの連絡。その言葉を受け取った妻は、何も言わない。だが、すべてを理解している――。鳩ヶ森(
@hatogamori
)さんによるホラー漫画「夫の髭剃り」は、そんな静かな導入から始まる。日常のすぐ隣に潜む狂気を描く本作は、“気付いている側”の恐怖をじわじわと読者に突きつけてくる。
何も言わない妻の内側で膨らみ続ける“狂気”
夫が浮気をしていることを、妻は知っている。それでも問い詰めることはせず、日常を崩さないまま受け入れているかのように振る舞う。
しかし、その沈黙の奥では、確実に何かが育っている。怒りでも悲しみでもない、もっと湿った感情が、静かに形を変えていく。逃げ場のない家庭という空間のなかで、夫婦が向き合ったときに生まれる“見えない恐怖”が、本作の核となっている。
餃子に包まれた復讐――家庭料理が凶器に変わる瞬間
本作で象徴的に使われるのが、どの家庭にもある料理“餃子”だ。鳩ヶ森さんは「餃子という平凡な家庭料理の中に潜んでいるかもしれない『刃』」と語る。誰もが口にする日常の一皿だからこそ、その中に仕込まれた異物はより強烈な違和感を生む。
妻は狂気を包み込み、何食わぬ顔で食卓に並べる。それは、家庭という密室だからこそ成立する、最も身近で逃れられない復讐の形でもある。
「気付かない男多いわよね」最後に突きつけられる一言
物語の終盤、妻は静かに言い放つ。「カミソリが中に隠れているって、気付かない男多いわよね」。その一言は、すでに手遅れであることを示唆するように響く。
笑っているのに、まったく笑っていない――そんな不気味な表情とともに、読者の想像を一気に引きずり込む。すぐ隣にあるはずの安心が、いつの間にか恐怖へと変わっている。その感覚こそが、本作最大の恐ろしさだ。
「一番怖いのは人間」作者が描く日常に潜む恐怖
鳩ヶ森さんは「人間の悪意は日常に存在し、あなたのすぐ隣にいます」と語る。怪異ではなく、生きている人間の中にこそ潜む狂気。それは特別な場所ではなく、朝玄関を開けたときのような、ごく普通の瞬間に現れるかもしれない。本作はその恐怖を、家庭という最も身近な舞台で描き出している。静かに進行する狂気と、逃げ場のない結末。その一部始終を、ぜひ自身の目で確かめてほしい。
ちなみにホラー漫画家である鳩ヶ森さんは、自身初のミステリー漫画『仮門(かりもん) 消えた少女―10年目の真実』を電子書籍として出版、現在好評発売中である。『仮門 消えた少女―10年目の真実』は、10年前の幼女失踪事件の真相を追うミステリー漫画で、前半に散りばめられた数々の伏線を後半で見事に回収していく全192ページの本格派作品だ。真実が明らかとなる最後の最後まで気を抜けない読み応えある一作となっているので、こちらもあわせて読んでみて!
取材協力:鳩ヶ森(@hatogamori)
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