第54回 “早い、うまい、安い”を守り続ける三重・四日市の「あさひ食堂」
東海ウォーカー

昼間は大衆食堂、夜は大衆盛り場という2つの顔を持つ三重県四日市市の「あさひ食堂」。四日市名物のトンテキなど豊富なメニューをそろえ、昼からほろ酔いの人など常にたくさんの客でにぎわっている。
四日市一番街商店街でも屈指の老舗
たくさんの店が軒を連ねる四日市一番街商店街。「あさひ食堂」が店を構えるのは、そんな活気にあふれた商店街の南西あたり。近鉄四日市駅の北口から徒歩2分という好立地にある。

「あさひ食堂」の創業は1956(昭和31)年。ちょうど近畿日本四日市駅(現在の近鉄四日市駅)が現在地に移転した年である。「もともと青果店を営んでいた先代が、駅の移転に合わせてこの店を開業したんです」と話すのは、2代目店主の夫人である村田里子さん。「今ではこんな立派な商店街ができていますけど、創業したころは周りになんにもなかったんですよ」と教えてくれた。

そして創業から数年後に四日市コンビナートが誕生。客足が一気に伸びたことで最盛期を迎えた。ちなみに当時は早朝6:00から23:00までの通し営業。夜勤明けの客が朝から酒を飲んで盛り上がるなど、毎日が目の回るような忙しさだったという。

四日市の名物料理トンテキがオススメ
四日市が発祥の名物料理といえば、なんといってもトンテキが有名だ。トンテキとは、厚切りの豚肉をソテーにしてウスターソースをかけた料理。もちろん「あさひ食堂」でも「肩ロースとんてき」(1100円)が人気メニューの1つになっている。

「あさひ食堂」のトンテキは肉のやわらかさが自慢。「でも、厚切りの肉にきちんと火を通そうと思ったら、普通は焼きすぎて固くなってしまうんです」と里子さん。試行錯誤を重ね、独自の調理法を編み出した。「最初にニンニクを炒めてから、お酒をヒタヒタになるまで注いで蒸し焼きにするんです。そして最後にウスターソースや調味料を加える。そうすると、外側はカリカリで中がやわらかい、理想的な焼き上がりになるんです」。

昼時は日替りのランチメニュー(700円)のほか、定食類も人気。特にオススメなのが「ホルモン焼定食」(980円)だ。ホルモンと合わせてタマネギやネギなど野菜もたっぷりと使い、味噌ダレで味を付ける。なお、汁物は味噌汁ではなく豚汁。ボリュームも満点である。

「あさひ食堂」は夜になると大衆酒場に変身する。店の奥には酒のつまみ用の一品メニューを豊富にそろえた大きな総菜ケースがあり、客は自分で好きなものを選んで席に持っていく。昭和時代の飲み屋を思い起こさせるような、なんともノスタルジックな光景だ。

“早い、うまい、安い”を大切に

もちろん酒類もビール、チューハイ、日本酒、焼酎、ワインなど、よりどりみどり。特に土曜や日曜などは、まだ明るい時間帯から酒を嗜む人が多く、遅い昼食を食べる人と陽気な酔客が混在し、「あさひ食堂」ならではのにぎやかで活気ある雰囲気を作り出している。

「あさひ食堂」のモットーは“早い、うまい、安い”。この3つが創業当時からの変わらないこだわりだ。「注文を受けたらなるべく早く、きちんとおいしい料理をお出しして、最後のおあいそで『安いね!』と喜んでいただく。それが私共の一番のやりがいです」と里子さん。商店街の活気がそのまま流れ込んだような店内を見渡しながら、最高の笑顔で語ってくれた。
エディマート
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