本牧にあった!「日本 吹奏楽発祥の地」と、コアな文化「お馬流し」とは?
横浜ウォーカー
横浜の中でも、本牧というエリアはとりわけ独特の文化がある地域だ。今回は、地元の住民ならおなじみの伝統的な文化を感じさせる店を紹介しよう。
国歌「君が代」が生まれた「日本 吹奏楽発祥の地」のスタジオ
本牧エリアの「妙香寺(みょうこうじ)」という寺には、境内に2つの歴史的な碑が建っている。一つは、「国歌 君が代発祥の地」、もう一つは「日本 吹奏楽発祥の地」という碑だ。
1869(明治2)年、薩摩藩の楽隊が、ジョン・ウィリアム・フェントン氏(英国陸軍常備歩兵隊第十番大隊付軍楽隊長)から、この妙香寺で指導を受けた。このことから妙香寺が「日本 吹奏楽発祥の地」と呼ばれるようになった。フェントン氏は、さらに、この妙香寺で「君が代」を作曲。「国歌 君が代発祥の地」とも呼ばれるようになった。ただし、フェントン氏作曲の「君が代」は、当時の日本人には馴染みにくい洋風の曲だったため、1876(明治9)年に改訂され、現在の「君が代」とは異なる。
そんな歴史と文化にちなみ、一風変わった業態のカフェ「吹奏楽Cafe minamisso & studio」が、2018年1月までこの地で営まれていた。オーナーは、吹奏楽を行っていた兄の影響もあり、社会人1年目の24才から吹奏楽にハマってしまい、カフェまでオープン。1階はカフェ、地下はスタジオ「Ampersand Studio」だ。1階のカフェは、18年2月中にリニューアルし、再オープンする。地下のスタジオは、引き続き営業しており、約60名程度が使える大規模なもの。大規模なスタジオは業界でも不足しており、奏者は練習場所にも困るものなのだとか。楽器もレンタルしているという。


1階のカフェは、元々は楽器のオブジェや吹奏楽にちなんで開発されたメニューが特徴だったが、リニューアル後は吹奏楽だけでなく、幅広く利用しやすいカフェになるとのことで、再オープンが楽しみだ。営業中の「Ampersand Studio」もオーケストラやダンスグループなどの団体も受け入れられるように展開予定だ。
本牧神社に伝わる神事「お馬流し」がグルメになった
1566(永禄9)年から400年以上も受け継がれている、本牧の神事「お馬流し」。「お馬さま」とは、首から上は馬、胴体は亀の形に茅で作られた供物。頭部からの羽や、長い尾を含めると体長約1メートルにもなる。馬の口には稲穂をくわえ、亀の体の中央には大豆と小麦、きな粉をまぶしたお供えと、御神酒を入れて、厄災を託して海に流す。本牧の夏の伝統行事で、地域の住民からはなじみ深いものだ。
そんな本牧の文化を残そうと、間門(まかど)小学校4年1組と、地元のそば店「味奈登庵(みなとあん)」がタッグを組んだ。児童が「お馬流し」を学び、その文化を広めようと考えたのがきっかけだ。2017年9月からメニューの開発を始め、小学生の案と、調理チームとともに試行錯誤を繰り返した。17年12月に完成し、「味奈登庵」の本牧店を含む、フルサービスが可能な4店舗で販売中だ。

でき上がった「お馬流しそば」(1,200円)は、ボリューム満点の一品。お馬様はえび天で表現し、6つに小さく丸めたそばは海の波をイメージだ。かまぼこ(板わさ)には練り梅を入れて紅白に仕上げている。揚げたそばに揚げ玉を散らして稲穂に見立て、タマネギ天でお馬様の胴体、大葉天で尾を表現するなど、非常に手間がかかったもの。さらに、いなり寿司が2個付き、食べごたえのある仕上がりになった。
間門小学校は、味奈登庵社長の母校ということもあり、コラボが実現したこのメニュー。2018年8月の「お馬流し」が終わるまで、味奈登庵で味わえるとのこと。

このように、地元でなじみのある文化は、いろいろな場所でさまざまな形で、残されている。そんなコアな文化に出合えるのも、また街巡りの楽しみ方ではないだろうか。
【取材・文/濱口真由美 撮影/奥西淳二】
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