【家族の見えない鎖】「殺したいほど憎いのに期待を捨てられなかった」36年虐待され続けた依頼者の夜逃げ【作者に聞く】

東京ウォーカー(全国版)

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家から逃げ出す日、最後の最後まで母から暴言を浴びせられる依頼者。画像提供:宮野シンイチさん

DV被害などに苦しむ人を支援する実話をもとにした漫画「夜逃げ屋日記」。宮野シンイチ( @Chameleon_0219 )さんが描く本作には、家族という関係の中で苦しみ続けた人々の現実が描かれている。

言葉も心も通じない…悲惨な親子の距離

「夜逃げ屋日記」5-1画像提供:宮野シンイチさん

5-2画像提供:宮野シンイチさん

5-3画像提供:宮野シンイチさん

依頼者の村田さんは、これまで夜逃げを何度も延期し、心身ともに追い詰められていた。ようやく決行の日を迎え、スタッフとともに自宅へ向かうが、母親とのやり取りはかみ合わない。

「廃品回収の人が来てて…」と説明しても、「気持ち悪い。今すぐ全員手を洗え」と突き放される。荷物の搬出は終わったものの、これが最後の会話になるかもしれないと思うと、静かな重さが残る場面である。

離れたいのに離れられない"家族"という鎖

新居は実家から車で20分ほどの距離。それでも村田さんにとっては大きな一歩だった。36年間続いた生活は本人にとって“当たり前”であり、離れること自体に強い不安がある。家族を憎む気持ちと、「いつか普通に食卓を囲めるのではないか」というわずかな期待。その間で揺れる姿が印象的だ。

それでも依頼者は一歩を踏み出した

涙を流す村田さんに対し、社長は「離れた家族に囚われるのは、人生がもったいない」と声をかける。その言葉に背中を押されるように、村田さんは新しい環境で働き始める。すぐにすべてが変わるわけではないが、確実に前へ進み始めている様子が描かれている。

「かなり老けていた」外見から滲み出る過酷な生い立ち

宮野さんは村田さんについて「年齢に対してかなり老けて見えたため、最初は本人だと気づかなかった」と振り返る。それほどまでに過酷な環境が与えていた影響の大きさがうかがえる。現在は新しい生活を送りながら、少しずつ日常を取り戻しているという。

家族という関係の中で生まれる見えない縛り。それを断ち切ることの難しさと、その先にある再出発を静かに描いたエピソードである。

取材協力:宮野シンイチ(@Chameleon_0219)

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