「幼い1人の娘を遺して…」末期がん母の最期→言葉を失った母の無念を描く物語に「涙」【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
生と死が隣り合わせの医療現場で、日々患者の命と向き合う看護師たち。時に彼らは、患者の言葉や生き様から自身の価値観を大きく揺さぶられるような経験をする。2026年5月現在、SNSや医療従事者の間で「涙が止まらない」「看護の原点を考えさせられる」と深い感銘を与えているのが、漫画家・アヤ(@aokitajimaru)さんの描く看護師エピソードだ。
現在は看護師・看護学生向けの総合WEBメディア「ナース専科」で連載を担当しているアヤさん。今回は、過去に反響を呼んだ2つの忘れられない命の物語と、繊細なテーマを描くうえでの作者のこだわりを紹介する。
残される娘、見守る母。末期がんのシングルマザーが最期に抱えた、言葉にできない葛藤
一つ目のエピソードは、末期がんと闘うシングルマザーのBさんの物語だ。Bさんには一人の幼い愛娘がおり、術後も定期的な入院を繰り返していた。面会日には、Bさんの母親が孫を連れてお見舞いに訪れ、Bさんは看護師の前でも努めて明るく振る舞っていたという。
しかし、病状は残酷にも進行していく。やがて、母親や娘との面会すらも途絶えるようになってしまった。幼い娘を遺して先立つ恐怖、そして娘を代わりに育ててくれている母親への申し訳なさや言葉にできない感情を抱えたまま、Bさんは静かにこの世を去っていく。言葉を発せなくなった彼女の表情の裏にある無念さと家族への愛は、担当看護師の心に深く刻まれることとなった。
「私は病気に感謝すらしている」
二つ目は、慢性期病院に入院してきたALS(筋萎縮性側索硬化症)患者・Mさんとの出会いだ。顔と手指がわずかに動くのみで、日常生活のすべてに介助が必要なMさんに対し、看護師たちは「どうコミュニケーションを取るべきか」と頭を悩ませていた。
しかし、そんな周囲の不安をよそに、Mさんは瞳の動きで文字を入力する「視線入力装置」を巧みに操り、パソコンでインターネットショッピングまで難なくこなしてみせる。そして、驚く看護師たちの前で、画面に自らの想いを映し出した。
「私は不自由だけど不幸じゃない。むしろ、病気になって感謝すらしている」
五感を研ぎ澄まし、今ある生を全力で謳歌するMさんの姿は、それまで「全介助の患者=可哀想、不幸」と思い込んでいた看護師の価値観や看護観を、根底から優しく打ち砕いた。
「自暴自棄の裏にある本音を描く」
実際の看護師からの投稿をベースにしているからこそ、どのエピソードも綺麗事だけでは済まない生々しさと尊さがある。作者のアヤさんに、本作を執筆するうえでの苦労を聞いた。
「自暴自棄になってしまう患者さんの気持ちも、本当は娘の側に居てあげたくても、孫を守る責任があるから簡単に見舞いへ連れて行けないというお母様の気持ちも、どちらも痛いほど理解できるんです。だからこそ、双方の交錯する想いを上手く読者様に伝えることができるように、キャラクターの表情や周囲の空気感の描写には特にこだわって描きました」
幼少期から絵を描くことが大好きだったというアヤさんの丁寧な筆致は、言葉にできない登場人物たちの心の機微を、見事に1コマ1コマへと昇華させている。「ナース専科」では、このほかにも多くの医療従事者の胸を打つ実録オムニバス漫画が多数公開されている。命の尊さと、現代の医療現場で奮闘する人々のぬくもりに、ぜひ触れてみてほしい。
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取材協力:アヤ(@aokitajimaru)
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