「おいしく食べて」獣人王に懇願する1人の生贄少女→「生贄は廃止」「マズそう」から始まる3食昼寝の幸せなデブ活【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
貧困の村から生贄として、残忍な王のもとに1人の少女が差し出された。覚悟を決めていた彼女だったが、王の一言に唖然としてしまう。「生贄(いけにえ)制度は廃止になっているぞ」――なんと獣人と人間が共存するこの世界でも、社会変革が起きていた。
おいしい生贄のはずが、まさかの「お断り」
「おいしい生贄のはずだった」は、生贄の代わりに村の発展を約束するという古いしきたりに則り、イーナカ村から身寄りのないニナが差し出されたところから物語が始まる。
無慈悲な王の前に突き出されたニナだったが、「無駄足だったな」とあっさり追い返されてしまう。イーナカ村は今後援助の対象になるから安心しろと言われるものの、戻る場所などないニナは「食べるか殺すかしてください」と懇願する。しかし、王はニナをじっと見つめ、「マズそうだな」と一蹴するのだった。
王宮での“デブ活”と、作者が作品に込めた思い
生贄の役割を押しつけられ、つらい気持ちを殺して「村のため」と言い聞かせてきたニナ。帰る場所のない彼女は、痩せすぎていてマズそうだからと拒否されたことをきっかけに、王宮に住み込んでの「デブ活(体重を増やす生活)」を始めることになる。
当初、獣人の王は「腹が満たされれば生きたいと願い、逃げ帰るだろう」と踏んでいた。しかしニナは「王様においしく食べられたいので」と、三食昼寝・おやつタイム付きの食っちゃ寝生活に励む。次第に王や王宮の人々の優しさに触れ、生きる気力を取り戻していく。
作者の國里さんは、本作を描いたきっかけについて「とにかく自分自身が癒やされたくて描きました」と明かす。
「しんどいときや、もう何もしたくない、何もできないという精神状態のときは、感情が上下しすぎる漫画は読む気になれません。なのでストレスなく読めて、感情が安定する物語を自分で描いてみようと思いました。私自身、大きなモフモフしたものが大好きなのでそういう動物をたくさん登場させ、すべてが報われて愛される主人公を描こう!と思ったんです」(國里さん)
魅力的なキャラクターたちが織りなす「やさしい世界」
登場人物が思いやりにあふれており、読者からも「やさしい世界」「最高です」と反響を呼んでいる本作。國里さんが最も気に入って描いたのは、隣国の王子・エヴァネルだという。
「一番描いていて楽しかったのはエヴァネルです。本当はもっと嫌な人間に描こうと思っていたのですが、“少し抜けてるおバカな王子”という設定にしたら、頑張って嫌味を言おうとしてる姿もかわいいと思いながら描いていました(笑)」(國里さん)
今後の活動については不定期での発表になるという。
「今の私はアウトプットしたい衝動が出てきたときに、一気に描く方が合っている気がしています。pixiv内にある『スペースファミリー』という宇宙人漫画も、自分の想像などが1つに固まったときに描けたものです。フォローしてくださっている方々には不定期すぎて申し訳なく心苦しいのですが、読んでくださる人がいることにいつも感謝でいっぱいです」(國里さん)
獣人の王は、ニナの処遇をどうするのだろうか。疲れた夜は、登場人物全員がやさしい絵本のような世界に癒やされることだろう。
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