「日本一の汗かき」は秋田県民だった!?“秋田美人”のイメージにもつながる意外なルーツ

東京ウォーカー(全国版)

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早くも夏日が続き、じわりと汗ばむ季節がやってきた。通勤中、買い物中、少し歩いただけで汗が出ると、「自分は汗っかきなのかも」と気になる人も多いのではないだろうか。では、全国で見ると、汗をかきやすい傾向があるのはどの地域なのか。

普通に考えれば、南国・沖縄のような暑い地域を思い浮かべる人が多いかもしれない。ところが、株式会社ユーグレナ(以下、ユーグレナ)が発表した遺伝子解析データを用いた調査では、東北地方の“ある地域”で「汗をかきやすい遺伝子タイプ」とされる人の割合が最も高いという結果が出ていた(※1)。

涼しそうな東北地方で、なぜ「汗をかきやすい傾向」が見られるのか。その背景をたどっていくと、気候だけではなく、日本人のルーツや地域ごとの暮らし方にも関係している可能性があるようだ。

そこで今回は、ヒロクリニックで出生前診断をはじめとした遺伝子解析に携わる医師の岡博史さんに、「汗」と「地域性」の意外な関係について聞いた。

雪国のイメージが強い秋田だが、「汗をかきやすい遺伝子タイプ」の割合では全国上位に入るという【画像提供=写真AC】


雪国なのに汗かきである意外なワケ

前述のユーグレナが発表した遺伝子解析データを用いた調査によると、秋田県では「汗をかきやすい遺伝子タイプ」とされる人の割合が24.83%で全国1位。次いで沖縄県が24.49%、山形県が23.17%と続く(※1)。

沖縄が上位に来るのは、気候のイメージからも納得しやすい。だが、秋田や山形など、雪国の印象が強い地域が上位に入っているのは少し意外だと感じた人もいるかもしれない。この結果について、岡さんは「日本人のルーツの違いも、ひとつの見方として考えられます」と話す。

「現代の日本人は、ざっくり言えば、縄文系(もともと日本列島で暮らしており、狩猟・採集・漁労を中心に暮らしていた人々に由来)と弥生系(大陸から日本列島にやってきて、水田稲作などの農耕文化をもつ人々に由来)のルーツが混ざり合っていると考えられています。縄文系のルーツについては諸説ありますが、南の暑い地域にルーツを持つ南方系の人々の移動と関係しているという見方もあります。そうした背景が、汗のかきやすさと何らかの関係を持っている可能性も考えられます」(岡さん、以下同)(※2)

もちろん、すべての秋田県民が汗をかきやすいという話ではない。体質には個人差が大きく、生活環境や年齢、運動習慣などによっても変わる。

ただ、秋田を含む日本海側の地域には、縄文文化に関わる遺跡も多く残っている。たとえば、青森県の三内丸山遺跡や秋田県の大湯環状列石などは、縄文時代の暮らしを伝える重要な遺跡として知られている。(※3、※4)

そのため、汗をかきやすい傾向についても、単に「暑い地域だから」というだけではなく、古くからの人の移動や地域の歴史と重ねて見ると、少し違ったおもしろさが見えてくる。

秋田県鹿角市にある大湯環状列石(おおゆかんじょうれっせき)。約4000年前につくられたとされる国内最大級の縄文遺跡だ【画像提供=写真AC】


北海道はなぜ上位ではない?ヒントは“子どものころの環境”

ここで気になるのが、同じく縄文系のルーツが多いとされる北海道だ。もしもルーツだけが関係しているなら、北海道も上位に入っていそうだが、今回のランキングでは目立つ位置には出てこない。この違いについて、岡さんは「幼少期の環境」が関係している可能性を語る。

「人の体には、汗を出す汗腺があります。汗をかく力は遺伝的な要素だけで決まるわけではなく、子どものころにどのような環境で過ごしたかも影響すると考えられています。一般的に、幼少期に暑い環境で過ごすと、汗をかく機能が発達しやすいと言われています」(※5)

北海道は夏でも比較的涼しい地域が多い一方、秋田県の内陸部などでは、夏になるとフェーン現象の影響で気温が高くなる日もある。雪国のイメージとは裏腹に、実は夏の暑さが厳しい地域もあるとか。(※6)

つまり秋田県は、古くから受け継がれてきたルーツと、夏の暑さという地域ならではの環境が重なった結果、汗をかきやすい傾向が見られるのかもしれない。

“秋田美人”のイメージにも、意外なつながりが?

汗の話から少しそれるが、秋田といえば「秋田美人」という言葉を思い浮かべる人もいるだろう。この昔からあるイメージについても、岡さんは「いくつかの要素が重なって生まれた印象ではないか」と話す。

「『秋田美人』という言葉には、色白の肌やはっきりした顔立ちといったイメージが重ねられてきました。もちろん、見た目には個人差がありますが、日照時間の短さや地域に伝わるイメージ、歴史的な背景などが重なって、こうした言葉が広まったのかもしれません」(※7)

汗には体温を調整するだけでなく、肌のうるおいを保つうえで一定の役割があるとも言われている。(※8)ただし、汗をかけば肌がうるおうわけではない。放置すれば、ベタつきや刺激につながり、肌荒れを招くこともある。

「それでも、汗をかくことは体温調節に欠かせない大切な機能です。夏場はどうしても厄介者のように感じてしまいますが、体が暑さに反応している証拠とも言えます。秋田県民の方にとっては、『汗をかきやすい遺伝子タイプが多い』という結果は少し意外かもしれません。ただ、その背景をたどると、気候や幼少期の環境、さらに遠い昔から続く日本人のルーツまで見えてくるのです」

【図解】「汗をかきやすい遺伝子タイプ」の割合で秋田県が全国1位に。雪国の意外な結果には、気候やルーツが関係している可能性も【画像提供=岡医師】


汗のかきやすさには、現在暮らしている地域の気候だけでなく、体質や育った環境など、さまざまな要因が関係している。汗を不快に感じることも多い季節だが、体温を調節するために欠かせない身体の働きでもある。適切にケアしながら、汗とうまく付き合っていきたい。

【本記事で参照したおもな出典】
※1(汗をかきやすい遺伝子タイプの都道府県ランキング)株式会社ユーグレナ「汗っかき体質は遺伝!?汗をかきやすい遺伝子タイプが多い都道府県ランキング」(2024)
※2(日本人の縄文・弥生ルーツに関する参考情報)国立科学博物館「DNAで探る私たちの起源」
※3(東北地方の縄文遺跡に関する参考情報)世界遺産 北海道・北東北の縄文遺跡群公式サイト「三内丸山遺跡」
※4(秋田県の縄文遺跡に関する参考情報)世界遺産 北海道・北東北の縄文遺跡群公式サイト「大湯環状列石」
※5(子どもの発汗機能に関する参考情報)ウェザーニュース「『汗っかき』は3歳までに決まる? 子どもの汗、3つの秘密」
※6(東北地方の夏の気候・フェーン現象に関する参考情報)
気象庁「東北地方の夏の天候の特徴」
※7(秋田市の日照時間に関する参考情報)秋田地方気象台「秋田市の年間日照時間が全国で一番少ないと言うのは本当ですか?」
※8(汗の役割とスキンケアに関する参考情報)持田ヘルスケア 「発汗とスキンケア」

※本記事内のイメージ画像(図解)は、生成AIで作成しています。
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