【独占インタビュー】五郎丸歩の夢「僕が最終的にたどり着かなきゃいけないところ」

東京ウォーカー(全国版)

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2015年のラグビーワールドカップで、初の1大会3勝を挙げ、過去最高の成績を収めたラグビー日本代表。1次リーグ初戦でワールドカップ優勝2度の実績を誇る南アフリカから勝利を挙げるなど、日本で大きな話題を呼んだことは、まだ記憶に新しい。

同大会で中心選手として活躍した五郎丸歩選手に、これまでで最大のチャレンジ、これからの夢を聞いた。

夢を語ってくれた五郎丸選手撮影=薮内努(TAKIBI)


海外挑戦で得た「人間力」という課題


――五郎丸選手自身に取ってこれまでの一番のチャレンジはなんですか?

五郎丸「やはり海外挑戦ですね。もともと海外に行きたいという思いは全然なかったんです。日本はご飯は美味しいし、芝生はキレイだし、生活するのに何も不自由しないじゃないですか。でも、2015年のワールドカップが終わったときに自分の中でなんか目標がなくなっちゃって、いろいろ考えていたんですが、そのときにレッズとRCトゥーロンからオファーが来て、『うーん、行くか!』ぐらいの感じだったんです。目標ないし、とりあえず行って感じてまた自分のなかで目標ができたらいいなと思って」

――オファーが来たときはうれしさとか、または自信になったりというのはなかったんですか?

五郎丸「いやいや、全然そんなのはなかったですよ。うれしいなんて思いませんでした。『海外に行ってどう生活しようか?』みたいに考えることのほうが多かったです。小さいころから海外でプレーすることに憧れていたら喜んで行くんでしょうけど、海外ラグビーも全く見なかった人だから。でも海外に行っていい経験を積めたと思います」

――3月で32歳になりました。20代の頃と変わってきているところはありますか?

五郎丸「まだ自分の中では25歳くらいだと思っています。トレーニングの量も変わらないですし、身体への不安もない。自分自身への期待もまだまだあります。ただ、年齢を重ねてくると、精神論になってきますよね。自分をいかに律することができるか、とか、人にどういう影響を与えることができるか、とか。視野が広がったというか、求められるもの変わってくるし、僕は海外を経験して、とくにフランスのチームでは超一流の選手ばかりを間近で見てきたんですけど、彼らはみな人間力がすごく高い。自分が最終的にたどり着かなきゃいけないところはこういうところなんだろうな、という課題をもらいました」

五郎丸「海外から帰ってきて周りから『すごく変わったね』って言われます。チームメートともコミュニケーションを取る機会が増えました。あとは、以前は若い選手と大きい壁があったような感じだったんですが、それもなくなりました。でも、それは僕が自分で思っていることなので、若い選手からみたらどう思われているかはわかりませんけどね(笑)」

【写真を見る】最大のチャレンジは「海外挑戦」と即答する五郎丸選手。そこで得た課題を語る撮影=薮内努(TAKIBI)


五郎丸歩が抱く「これからの夢」


――リフレッシュはどのようにしていますか?

五郎丸「釣りですね。海釣りというより、ダムとかですね。昔は家の庭でミミズを捕まえてそれをストックして、ブルーギルとか食べられない魚ばっかり釣ってました。ヤマハ(発動機ジュビロ)では、監督自ら船長となって海釣りにみんなで一緒に行っていますよ。みんなで釣りにいくのはめちゃくちゃ楽しいです。東京ではできない、田舎ならではの生活、楽しみですね」

――五郎丸選手のおすすめグルメを教えてください。

五郎丸「好きな食べ物はとんかつです。学生の頃は『さぼてん』でとんかつばっかり食べてましたね(笑)。ヒレ派です。脂っこいものがダメで。ケーキも生クリームがダメで、小さいころから誕生日ケーキはアップルパイでした。あとは東京だったら自由が丘の『パームスカフェ』のオムライスが世界一好きです。大葉とエビが入っているオムライスがあって、ちょっと上品な感じです。是非、食べてみてください」

――ラグビー意外で興味のあるスポーツを教えてください。

五郎丸「昔から好きなのは柔道ですね。個人スポーツって、プレッシャーがすべて自分に跳ね返ってくるじゃないですか。僕は集団スポーツしか経験がないし、ラグビーとは全然違うので興味を持ちました。日本の国技ですし、世界で勝つことが使命になっている。井上康生さん、野村忠宏さんに刺激を受けました。日本人はこうあるべきというものが凝縮されているような人たちです。僕らがニュージーランドを見ているような感覚で、海外からは見られているわけですよね。みんなが彼らを目指してやっているという。本当にかっこいいなと思います」

――五郎丸選手は、スポーツの本来の魅力はどんなところにあると思いますか。

五郎丸「裏表がないところでしょうね。『このために犠牲になってるからこうしてくれよ』というのがないというか。たとえば普段の生活では『自分がこれだけ仕事をしたからこれだけ対価をくれ』ということもあると思いますけど、そういうものがスポーツの中にはあまりないかなと思っています。純粋にものごとをやっているというか、人として純粋に立てているというか、その純粋さが魅力だと思います」

五郎丸選手とともに撮影=薮内努(TAKIBI)


――最後にトップアスリートを目指す子どもたちにメッセージをお願いします。

五郎丸「夢はでかく持ってほしいです。僕も海外でプレーしたいと思って小さいころからやっていれば、プレーしたときにもっと大きな感動があったと思いますし、絶対に手が届かないような目標を立てて、そこまで行こうとするプロセスと、目標がすごく下にある人との歩み方、プロセスは全然違うものになります。そのときに感じるものは全然違うと、今になってこそそう思います」

――一流の選手はチャレンジ精神を持っていると思います。チャレンジ精神が育つにはどうしたらよいのでしょうか。

五郎丸「迷わずいくことですよね。とりあえずやっちゃう。子どもの頃ってあんまり迷わないじゃないですか。つまり、迷わないのが普通で、それが人間の本能なんですよ。でも歳を取れば取るほど言い訳をして、目標が下がったり、チャレンジする機会を逃したりしちゃう。だから、とりあえずやっちゃうこと。やれば失敗しても成功しても得るものはあります。考えすぎないで子どものときの心に戻ればいいんだと思います。凄くシンプルなことですよね」

――夢はでかく、ということですが、五郎丸選手の夢について教えてください。

五郎丸「僕はなんの取り柄もなかったんですけど、ラグビーという競技を続けていろいろなものを感じさせてもらったり、いろいろな経験をさせてもらいました。だからそういう経験ができる子どもたちを増やしていきたいという夢があります。仮にトップになれなくても、いろいろな競技に挑戦できる環境をつくれるようにしたいと思っています」

撮影=薮内努(TAKIBI)/取材・文=MCタツ

浅野祐介/ウォーカープラス編集長

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