壇蜜、”銅像好き”を告白!日本美術への思いを語る

東京ウォーカー(全国版)

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――ちなみに、いま制作中のものはありますか。

ヤーガン族というすごく寒い地域なのに服を着ないで暮らしていた民族があるんですけど、その民族の人たちは体にペイントを施していて、その技術が素晴らしいんです。私はそれをスケッチして少しパロディーっぽく描くことをやっています。

フリクションの赤だけで描いているのですが、ウルトラ怪獣みたいな格好をしている人たちなので描きがいがあって面白いです。フリクションのインクで埋めていく瞬間とかがすごく楽しいですね。

壇蜜がフリクションで描いたヤーガン族


――今回音声ガイドをやってみた中で、日本の美術について発見したことはありますか。

昔の方は大きな使命や命を懸けてものすごくシビアな世界で作品に取り組んでいることが分かりました。もちろん好きで作っているというのもあると思うんですけど、それ以前に自分の命を削って産みの苦しみを作品にもぶつけながら描いているんだと感じました。

でなければ、作品はこういう風にたくさん生まれないし残らない。美術の表現をする人たちの生涯は、順風満帆な人生とはいえない方が多いですから、その苦しみが具現化したものなのかもしれません。

やはり命を燃やしてやらないと何でもいい結果は出ないと思いますし。私もそういう考え方は仕事に生かしているつもりです。ただ殿様から脅されることがないので、少し私の方が甘いと思います(笑)。

見返り美人図 菱川師宣筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵


――日本舞踊の師範でもある壇蜜さんからみて、日本舞踊と日本美術にある共通点とは何ですか。

正解がないところは、日本舞踊もこの世界も同じだと思います。実際に見ないと分からないと思いますが、白黒なのに派手、色とりどりなのに地味という世界観が日本美術にはあって、それは日舞の世界にもあるんです。背景も衣装も髪型も派手なのに目になじみやすく落ち着いたものに見えたり、「東をどり」と言って白と黒の着物に白塗りの化粧をしているだけなのに、周りが派手で華やかに見える。

日本舞踊の師範でもある壇蜜


作品と作者と受け取り手の人が持つ感じ方の違いに正解も不正解もない、それぞれが違う感じ方を持っていい世界という部分は、日舞と少し似ていると思います。

――では、混雑してしまうほど人気のある特別展で、上手に鑑賞して回る方法や工夫しているポイントがあったら教えてください。

気配を消すためになるべく地味な服を着ていくことを心掛けています。私の場合は、失礼でない程度に眼鏡をかけたり帽子を被ったりして、敢えて自分の気配を消すような施しをしています。

作品と自分だけの世界を作るために飾ってはいけないというルールを自分に課しているので、ヒールのような靴は絶対に履きません。すると、周りのざわざわした感じが気にならなくなるので、音声ガイドも利用しながら集中しています。

後は、意外とミュージアムグッズが気になってしまうので、お土産屋さんにいる時間を大切にしていますね(笑)。

「自分だけの正解を見つけに来て欲しいなと思います」


――来館者の方にメッセージをお願いします。

日本美術を知るチャンスなので、知りたいという気持ちを美術展へ足を運ぶ原動力にしていただければと思います。私は音声ガイドという形でささやかですが携わらせていただきました。損はして欲しくないと思っていますので、美術と作り手と受け取り手の中で、自分だけの正解を見つけに来て欲しいなと思います。

永田正雄

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