「親の持病やアレルギーがわからない」患者情報の記入ができない娘…父が倒れた夜、娘が直面した「知らないこと」
東京ウォーカー(全国版)
母の介護の記録など、自身の体験をコミカルな漫画で描いてきたキクチさん(
kkc_ayn
)。コミックエッセイ「父が全裸で倒れてた。」では、母を看取ってから約2年後、今度は父が病に倒れた出来事を描いている。母の介護と看取りを経験したことで冷静に対応できる場面がある一方、一人っ子として頼れる家族がいないなか、父に関するさまざまな決断を迫られることになる。今回は、無事に病院へ搬送された父の処置を待つ間に起きた出来事を紹介する。
父の笑顔に安心する一方、不安は消えなかった
偶然にも、父が普段からお世話になっている病院へ搬送されることになった。ひとまず病院に到着したことで安堵するものの、父の容体は依然として予断を許さない。意識が朦朧とするなか、キクチさんと目が合った父は、ホッとしたようににっこりと笑う。しかし、すぐに眠ってしまった父を見て、キクチさんの心には大きな不安が残った。
「父は意識が朦朧としている中、私と目が合ってにっこりと笑うと、すぐに眠ってしまいました。私もにっこりと笑いましたが、内心は不安が大きくてうまく笑えてなかったような記憶があります」父の無事を願いながら、キクチさんは病院で待ち続けることになる。
何もできずに待つ夜
病院に到着してからも、すぐに状況がわかるわけではない。キクチさんが初めて看護師から声をかけられるまでには、1時間ほどかかったという。救急の待合は静まり返り、ほかの患者の咳だけが響いていた。
「私は携帯の充電が少なくなっていて、モバイルバッテリーもなかったので、なるべく携帯も使わないようにしていました。ぐるぐると不安だけが頭の中でいっぱいになって、孤独を感じながら待っていました」
何もできず、ただ待つしかない。救急車が到着するまで、搬送先が決まるまでと続いてきた「待つ時間」は、夜の病院でひとりになったことで、さらに長く感じられた。そして、待っている間にもキクチさんは別の困難に直面する。病院で父について尋ねられても、離れて暮らして久しいため、すぐには答えられないことが多かったのだ。
「一緒に暮らしていない」ことで立ちはだかる壁
母を自宅で介護し、看取った経験はあるものの、父の入院手続きは今回が初めて。しかも、父に関する情報を記入する場面では、同居していないからこその難しさが浮き彫りになった。
「一番困ったのは患者情報の記入です。本人、もしくは普段から同居していないとわからないような質問事項ばかりで困りました」。生活習慣や持病、アレルギーなど、健康診断の問診でも聞かれるような項目に加え、家系図についても記入を求められた。父の家系には複雑な部分があり、把握できていないことも多かったという。
「ただでさえ頭がパンクしそうなのに、さらに脳に負担がかかりました。家系図も、父の家系が少し複雑で把握できてない部分も多かったので『これは何のために必要でどこまで書いたら良いんだろう』と悩みました」と語る。
親が倒れたとき、子どもだからといって何でも知っているとは限らない。離れて暮らしていればなおさらだ。「父が全裸で倒れてた。」では、そんな現実を、キクチさんならではの淡々とした語り口と、時折クスリと笑える描写を交えながら描いている。今後、父との出来事がどのように描かれていくのかにも注目したい。
■取材協力:キクチさん(@kkc_ayn)
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