母親への痛烈な叫び→「くたばれくそババァ!」物静かな娘、30年の苦劇に爆発させた“叫び”
東京ウォーカー(全国版)
ユーモアあふれる漫画を数多く手掛ける宮野シンイチ(@Chameleon_0219)さん。実際の夜逃げ案件をもとに描いた「夜逃げ屋日記」は、DVや家庭問題に苦しむ依頼者たちの現実を描き、多くの読者の心を揺さぶっている。今回は、その中から第20話のエピソードを紹介する。
母親の姿を“最後に見たい”と願った娘
依頼者の井上さんは、引っ越し作業を終えたあと、社長に「駅前を通ってほしい」と頼み込む。理由を尋ねると、そこでは母親が宗教のパンフレットを配っているというのだ。
社長は井上さんの意思を尊重し、作業用のワゴン車を駅前へと向かわせる。するとそこには、白い帽子をかぶり、笑顔で立つ母親の姿があった。車はゆっくりと通り過ぎ、そのほんの一瞬だけ、井上さんと母親の目が交錯する。
車内に響き渡った“魂の叫び”と狂気
その場を離れたあとも、井上さんは静かなままだった。しかししばらくすると、突然歯ぎしりを始め、「くたばれくそババァ!!」と叫び声を上げる。それは、30年間押し殺してきた感情が溢れ出した瞬間であった。
普段の井上さんを知る人間ほど、その叫びに強い衝撃を受けたという。宮野さんも「ものすごくびっくりしました。かなり物静かな人だったので。でも、それだけ溜め込んでいたものが多かったんだと思います。驚いたあと、ただただ同情していました」と当時の心境を振り返る。
さらに宮野さんは、駅前で見かけた母親の印象について「笑顔で幸せそうでした」と語る。しかし、その笑顔こそが逆に恐ろしく感じられたという。娘が人生を狂わされ、夜逃げを選ばなければならない状況に追い込まれている一方で、母親は何事もないように笑っていた。その強烈な対比が、作品全体に重苦しい空気を漂わせている。
逃げるしかなかった人々の事情、そして積み重なった感情が生々しく描かれる本作。井上さんの叫びは、多くの読者の胸にも深く刻まれるはずだ。
取材協力:宮野シンイチ(@Chameleon_0219)
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