「私、この若さなのに大人用のオムツ買ってばかり…」母を看取って約2年、次は父が倒れた…親の介護の現実
東京ウォーカー(全国版)
母を看取ってから約2年。今度は父が病に倒れた。自身の病気や家族との出来事を漫画に描いてきたキクチ(
@kkc_ayn
)さんによるコミックエッセイ「父が全裸で倒れてた。」では、親の老いと死に直面する現実がつづられている。母の介護と看取りを経験したキクチさんは、父の異変にも以前より落ち着いて対応できるようになっていた。しかし、一人っ子として頼れる家族がいないなか、次々と決断を迫られることになる。今回は、父の危険な状態を医師から告げられ、集中治療室(ICU)への入院が決まる場面を紹介する。
父の危険な状態を告げられ、頭をよぎった後悔
血液検査に加え、皮膚科や眼科の診察も受けた父。検査の結果、当直医から非常に危険な状態であることを告げられる。疲れ切ったキクチさんに突きつけられたのは、状態の悪さを示す「重」という評価と、「数字だけで見たらいつどうなってもおかしくない」という厳しい現実だった。
「正直『そんなにヤバイ状態で生活していたのか』とショックを受けました。倒れる直前に体調が急激に悪化したのかもしれませんが、とはいえ『やっぱりもっと早くに病院に連れて行くべきだった』『私がもっと早くに駆けつけてあげられたら』と後悔の気持ちが大きかったです」とキクチさんは振り返る。
さらに、父が亡くなった場合に何をすべきかまで考えなければならなかった。「この時は悲しさを感じる余裕が無かった気がします」と語るように、目の前の状況を受け止めるだけで精いっぱいだったのだろう。
大人用オムツを買いながら感じた、やりきれなさ
入院が決まり、看護師から大人用オムツを買ってくるよう頼まれたキクチさん。父の命が危ぶまれる状況でも、必要なものを用意しなければならない。買い物をするふとした瞬間に現実へ引き戻される一方、助成金の対象になる可能性を考えてレシートを保管するなど、生活に直結する対応も欠かせない。
「オムツを買いながら『またこの感じか…』と自分の人生に落胆していました。周りの同年代はこんなこと経験している人がいないのに、私はもう2回目。すごく虚しかったです」と当時の心境を明かす。
それでも、キクチさんは気持ちを切り替えようと考えた。「でも考えてみれば、親の介護は遅かれ早かれこれはみんな経験すること。私はそれが少し早いだけ。せっかく2年前に母の看取りで色々学んだんだから、それを活かして後悔しないように対応しよう、そしてその経験を伝えていこう!と考えることにしました」と、過去の経験を今後に生かそうとする思いを語っている。
「無理をしない」と決めていても、見えない未来への不安
父が倒れているのを発見してから約6時間。食事も睡眠も取れないまま、キクチさんは翌日の昼にも入院手続きのため病院へ戻らなければならなかった。これから先、一人で父を支えていけるのか。母の介護と看取りを経験したからこそ、無理を続けることの危うさも身に染みていた。
「母の介護と看取りで、無理をすると身体的にも精神的にも潰れることを経験しました。だからこそ、父に何かあったときは『絶対に無理をしない、頼れるサービスは使う』と決めていました」とキクチさん。しかし、実際に直面した状況は想像を超えていた。
「ですが、まさか『生きて帰って来れる場合』と『亡くなる場合』の2パターンを同時に考えるとは思いもしませんでした。そしてどちらの場合になっても、このさき私がやるべきことはたくさんあり、それを考えるだけでもが未来が真っ黒に塗りつぶされていく感覚がありました」
ICUへの入院が決まり、いったん帰宅するところまでが描かれた「父が全裸で倒れてた。」。親の命に関わる重大な局面でも、介護には買い物や手続きなど現実的な用事がついて回る。キクチさんは、苦しい状況を淡々と描きながら、ときに思わずクスリとする場面も交え、親の老いと死に向き合う日々を伝えている。
■取材協力:キクチ(@kkc_ayn)
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