高校野球連載 第10回/オリックス・バファローズ澤田圭佑投手が経験した大ピンチのマウンドとは?

関西ウォーカー

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“高校野球大好き”な著名人が甲子園の魅力を語るスペシャル連載「”ワタシ”が語る甲子園~100年の熱狂ストーリー~」。情報誌「関西ウォーカー」と連動してスタートしたWEB版連載では、誌面に掲載しきれなかった未公開トークを含むスペシャル版を前後編で掲載。

連載第10回目は、かつて大阪桐蔭で甲子園春夏連覇を成しとげた、オリックス・バファローズの澤田圭佑投手のインタビュー(後編)をお届け!

オリックス・バファローズの澤田圭佑投手


大ピンチで立ったマウンド。その時の心境を語る


―12年は夏の大会まで練習試合でほぼ負けなしでしたが、センバツの結果がチームとして大きな自信となっていたのでは?

澤田「負けたのは6月の招待試合1試合だけでした。センバツを終えてから、チームが勝つパターンがある程度決まっていましたね。ミスをしなければ勝てるのも分かっていたし、自信を持って戦えていたので、今すぐ夏の大会が始まっても勝てるという雰囲気はありました」

―ただ夏の大阪大会決勝の履正社戦は、10-1と大量リードしていたはずが8回に追い上げられ2点差。そんなピンチの最終局面での登板もありましたね。

澤田「前年の夏の決勝戦で藤浪(晋太郎)が投げて負けたので、この試合は藤浪に託すと聞いていました。序盤に肩の準備はしていましたが、4回が終わって9-1でリードしていたので、自分の出番はないと思っていました。実際、肩を作り終えても『着替えてベンチで応援しとけ』と言われましたし。そうしたら終盤に急に追い上げられて…」

優勝したセンバツや、春の大阪大会、近畿大会で実際に使用したというお気に入りのグローブ。袋に入れて寮で大事に保管しているそう


―8回途中に藤浪投手が捕まったところで交替しましたが、どんな心境でマウンドに立ちましたか?

澤田「実はあの時、ベンチ前で2球キャッチボールしたところで『行って』って言われたんです。『え?何も準備していないのに?』って戸惑いましたよ。『大丈夫?』と聞かれましたけど、大丈夫ではなかったです(笑)。調子はよかったですけど、交替した場面は満塁で長打を打たれたら逆転。相手にも勢いがありましたし、もう開き直るしかなかったですね」

―ゲームセット直後は号泣していましたが、試合中どんなことを考えながら投げていましたか?

澤田「普通はあんな場面で抑えられないですよ。『ここで打たれたら自分のせいで夏が終わってしまう』とか『また怒られる』とか、いろんなことを考えました。『打たれたら、もう本当にゴメン!』って、そう思って投げるしかなかったです」

―夏の甲子園の3回戦、済々黌(熊本)戦でも、まるでアウェイのような相手の大応援団の中で先発マウンドを任されましたが…。

澤田「あの試合は本当に大変でした。自分たちのベンチの上の席にも済々黌を応援する人がいて、自分が抑えるたびにヤジを飛ばされるんです。自分は4回にホームランを打ったんですけど、その時も結構なヤジが飛んできて、内心イライラしていました(笑)」

―夏の甲子園では勝ち上がるごとに藤浪投手の調子が上がり、決勝戦は完封。チームメイトとしてどうでしたか?

澤田「やっぱり藤浪はすごいなって思いましたね。対戦相手も強かったですが、先に点を取れば負けないという気持ちはありました。大会の後半は藤浪の調子がよくて、自分の出る幕はないなと思いました。『肩を作って来い』と言われても、『今日本当に自分は投げるのかな?』と思いながらブルペンに行っていましたし…。もうベンチで見ているだけでいいかなって」

「心臓は強い方だけど、もっと技術が欲しいです」と、プロの世界で新たな目標に向かって練習を重ねているそう


―西谷浩一監督の信頼も厚く、数々のピンチの場面をまかされた澤田投手。あらためて振り返ると、あの2年半はどんな時間でしたか?

澤田「高校野球はしんどいことが多かったですが、勝った時にはしんどさを超えるなにかを得ることができました。そういう体験が高校生の時にできたのはよかったです。得るものは喜びだったり、例えばプロだったらお金だったり、人それぞれだと思いますけど、やったらやった分だけ自分に返ってくるというシステムを体にたたき込まれた2年半でした。厳しさや大変さもありますけど、それ以上に得るものが大きかったですね」

―今年も大阪桐蔭には注目の選手がたくさんいますね。やはり後輩たちの活躍は気になりますか?

澤田「自分が高校野球をやっていた時から、もう6年もたつんですね。早いな~。藤浪に後輩の甲子園の試合を一緒に見に行こうって誘われるんですけど、なかなか行けなくて。でも、今でも結果は結構気になります」



〈今回の語り部〉

澤田圭佑…1994年4月27日生まれ。オリックス・バファローズの投手。大阪桐蔭では3年時に甲子園春夏連覇を達成。立教大では通算22勝をあげ、4年時は主将も務めた

沢井 史

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