朝活・夜活に! バクスタめぐりでエクササイズ!

東京ウォーカー

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明治維新150周年ならではのダイエット?


「最近、運動不足に悩んでいる」「効率よくダイエットしたい」。そんなあなたに新提案。仕事帰りや出勤前のちょっとした時間を使って、バクスタめぐりはいかが? 幕末の偉人の像、像すなわちスタチュー、幕末のスタチューだから略してバクスタ!

一定のエリアのバクスタにウォーキングを主体に会いに行くことで、偉人のエピソードを知ったり像の写真をコレクトするという知的好奇心を満たしつつ、ウォーキングで汗を流してスッキリできるという一石二鳥、三鳥のエクササイズ。NHK大河ドラマ『西郷どん』の登場人物や、ゆかりの深い幕末の偉人を知るチャンスにも。

ということで実践してきました! 今回は東京都内を舞台に、

●アフター5の夜活や朝活に現実的な「2時間」縛り

●エリア内のバクスタはウォーキングでめぐる

●次のエリアには電車かバスで移動

以上のルールで、いざバクスタめぐりに出発!

スタートはやっぱり旬の“あの人”<残り時間:120分>


東京・上野公園の西郷どんの像、つまりスタチュー。従えているのは、薩摩犬のツンだ。本当のツンは雌だったが、像の制作には雄犬をモデルにしたという。


今回のモデルコースでスタート地点に選んだのは、JR上野駅。上野のバクスタといえばもちろん西郷隆盛。駅の公園口を出て、東京文化会館と日本芸術院会館の間を歩くのが最短ルートだ。京成線の利用者は商業施設UENO3153を抜けると便利だぞ。

早足で4分で到着。まずは記事のための写真を撮影。明治31年(1898)12月18日に公開されたこの像を見て、西郷の三番目の妻だったイトさんが「うちの主人はこげなお人じゃなか」と思わず漏らしたのは有名な話。これは、顔が似ていないという意味か、像の着流し姿を批判したものか? 今も注目の的になっている。

バクスタめぐりでは、像を素通りするんじゃなく、立ち止まって写真を撮ったり説明板を読んだり、その人物に想いをめぐらせるのがポイント。とはいえ体が冷えちゃもったいない。次のバクスタを目指そう。

仁和寺宮こと小松宮彰仁親王の像。説明板が植え込みの中にあって近づけず、ちょっと読みにくい。デジカメやスマホのズームを使うことをオススメする。


西郷どんの像から上野動物園方向に向かうと、動物園と野球のグラウンドに挟まれる場所に、2番目のバクスタがある。小松宮彰仁親王の像だ。幕末好きには仁和寺宮のほうが通りがいいだろう。戊辰戦争では会津攻めの方面総督で、西南戦争の鎮定にも赴いた軍人皇族だけに、凛々しい軍服姿。西南戦争で討伐される側の西郷どんの像と、すぐ近くに建てられているのは奇縁だ。

さて、この宮様から大噴水のほうに歩き、スターバックスや寛永寺の根本中堂跡の先に進むと、3番目のバクスタ、ボードワン博士がいる。大きな通りから少し奥まった位置にいるので、見落とさないようにしよう。

上野公園の恩人ともいうべきボードワン博士。最初は手違いで弟の写真を元に造られ、2006年に改修された際、ご本人の顔になったことはナイショだ。


慶応4年(1868)5月の上野戦争で荒廃した上野のお山を、公園として整備すべきだと提案したのがこの博士だ。幕末の本にはボードウィンと書かれることが多いが、ここでは像の表記に従うことにする。博士はオランダ出身の軍医で、明治2年(1869)9月に襲撃された大村益次郎の手術の執刀医でもある。

以上が上野エリアのバクスタだ。ゆっくりめのウォーキングでも15分あれば回れるだろう。1つ1つの像で想いを馳せる時間によるけれど。さて、ここから上野駅の公園口に戻って、電車で次のエリアに移動!

東京の玄関口でバクスタ発見! <残り時間:98分>


電車に揺られること8分。東京駅に到着。目指すは丸の内口なので、広い構内で迷わないようにあらかじめ車中で調べておこう。駅の外に出ると、目の前に広がるバスターミナル。そこに彼がいる。

ビル街のまん真ん中にたたずむ日本の鉄道の父、井上勝。長州ファイブの一人で、勝手に戦隊カラーを妄想するなら、研究者タイプのグリーンかな?


幕末の長州藩から、イギリスに留学した5人の青年たち、いわゆる長州五傑。映画『長州ファイブ』でも有名な彼らの一人、野村弥吉がのちに井上勝となり、その像が東京駅前に立っている。藩校・明倫館や長崎留学、江戸の幕府の蕃書調所などで洋学を学んだ勉強家だ。

井上聞多(馨)や伊藤俊輔(博文)、遠藤謹助、山尾庸三と一緒にイギリスに留学し、途中井上や伊藤は藩の情勢変化で帰国するが、勝は残って勉強を続け、特に鉄道と鉱山のエキスパートになる。そして帰国後、新橋‐横浜間を皮切りに、大阪や神戸、京都、高崎、仙台、盛岡などに続々と鉄道を敷設。鉄道庁長官に上り詰めたまさに日本の“鉄道の父”なのだ。

この井上勝像から、東京駅の線路沿いに日本橋方面へ進むと、約10分で次のバクスタ、渋沢栄一に会える。

日本経済発展の父、渋沢栄一の像。取材で訪れた6月上旬は、周辺の橋の工事中だったが、像に近寄れるようにちゃんと配慮されていた。ありがたい。


数年前のNHKの朝ドラ『あさが来た』で注目が高まった渋沢栄一は、一般的には明治ニッポンの経済を発展させた実業家として知られているが、実は幕末期には過激でイケイケな志士だった。江戸で北辰一刀流を学び、攘夷派の志士たちと交流して高崎城の乗っ取りや横浜焼き討ちを計画したり。

ところが一橋家の用人・平岡円四郎と知り合い、将軍になる前の一橋慶喜に仕えると、それまでの攘夷思想をコロっと捨てて、慶喜の将軍就任とともに幕臣になると、なんとパリ万博の随員として渡欧。フランスをはじめ、ヨーロッパ諸国を訪問し、開国派になって帰ってきた。

その後は明治新政府の大蔵省に出仕するが、大久保利通と対立してすぐに下野。民間の実業家に転身して、銀行、ガス、鉄道、ホテル、保険、製紙、製糖、ビール業と、現在のナショナル・クライアント級に繋がる企業をバンバン創業。その業績から、資本主義の父とか日本経済の父と言われるようになった人物だ。ちなみに従兄の渋沢成一郎も実業家だが、前身は栄一以上にイケイケで、彰義隊を結成したり、榎本艦隊とともに蝦夷地に行って、箱館戦争で戦ったりしている。

丸の内エリアらしい、鉄道や経済のバクスタに別れを継げて、先を急ごう。そのまま東京メトロの大手町駅までウォーキングして、竹橋駅に向かう。

ジョグのメッカ、皇居エリアでバクスタ探し<残り時間:74分>


東京メトロ竹橋駅の1a出口を出て、皇居こと千代田城こと江戸城の北の丸公園方面へ登っていく。緩やかな上り坂で少しスピードを上げると、いかにも「体にイイことしてる!」感を得られてハイになってくる。

高速道路の入り口を過ぎて、東京国立近代美術館工芸館の脇に、北白川宮能久親王のバクスタがある。幕末期には輪王寺宮だった人で、佐幕派諸藩のシンボルになったことから、特に旧幕ファンに好かれている宮様だ。

北白川宮能久親王像。彰義隊や旧幕ファンにとっては、寛永寺の公現法親王、輪王寺宮としてなじみ深いお方。波乱万丈、とてもおもしろい人生を送った宮様だ。


鳥羽伏見の戦いで敗れた徳川慶喜の除名嘆願をしたり、江戸城の開城後は東北に行って奥羽越列藩同盟の旗印になったり、果ては東北諸藩が薩長政権に対抗すべく「東武天皇」として擁立したという研究もあったりして、異色異能の宮様としても人気が高い。

箱館戦争が終わって世の中が落ち着いた後も、プロイセンに軍事留学したり、そこでドイツ貴族の未亡人と結婚しちゃったりと、かなりアグレッシブな人だった。なにしろ系譜の上で孝明天皇の義理の弟にして、明治天皇の義理の叔父様だから、ある意味やりたい放題。明治になっても薩長を“あえて”悩ませてやろう、みたいな妄想も湧いてくる、とてもおもしろい生き方だった。

そのまま千鳥ヶ淵を抜けて、日本武道館の方に向かい、武道館を時計回りにウォーキングしていくと、一挙に3体のバクスタに出会える。

靖国神社の脇にすまし顔でたたずむ品川弥二郎。靖国神社の境内には、若き日の弥二郎が剣を修行した神道無念流・練兵館道場の碑もある。


まずは長州藩出身の品川弥二郎。松下村塾門下生で、高杉晋作や久坂玄瑞たちとともに吉田松陰に学んだ人。蛤御門の変や戊辰戦争で戦ったり、薩長同盟の席にもいて幕末史の重要シーンに絡んでいるのに、「これを成し遂げた人物だ!」というインパクトにはちょっと欠ける。

松陰センセイは、特に抜きん出た部分はないが、正直者で人情に篤い、と人格面を評価。いつも村塾グループや高杉、桂小五郎の近くをチョロチョロしていた、憎めない弟キャラとして、長州ファンに人気がある人物だ。

この品川弥二郎の隣にいるのが、薩摩藩出身の大山巌。今回のコースの最初のバクスタだった西郷隆盛の従弟だ。ちなみにあの上野の西郷どん像を着流しスタイルにしたいと提案したのが、この大山。しかし自分は馬上軍服の凛々しい姿の像になっている。

陸軍大将時代の正装で馬に乗った大山巌像。従兄の西郷さあは着流しにしたのに、お前はカッコ良く決めてるな、などと思ってはいけない。


NHK大河でもそろそろ描かれるはずの、文久2年(1862)4月の寺田屋騒動では、突出組と言われた過激派グループに属して、同じ薩摩藩士同士の殺し合いの現場に居合わせた。その後の薩英戦争でイギリスの圧倒的な軍事力を目の当たりにし、西洋砲術のスゴさに目覚めて江戸に留学。大鳥圭介に学んで大砲のエキスパートになり、戊辰戦争や日清・日露戦争で活躍。陸軍元帥に上り詰める人物だ。西南戦争では、従兄の西郷隆盛と敵味方に分かれて戦ったことを生涯悩み、鹿児島に行きたがらなかったという。

さて、品川・大山像から振り返れば、そこは靖国神社だ。その手前のヒジョ~に高いところに鎮座ましますのが、大村益次郎のバクスタだ。像そのものの大きさはともかく、台座がすごく高い。同じ目線の高さで撮影しようとすると、クレーンを使わなきゃムリ。脚立では足りない。ので、この大村像の写真はたいてい下から見上げる構図になるのだ。

高い台座の上で大村益次郎が見据えているのは、上野の西郷像だ、とよく語られる。誰か検証して、通信社のツイッターに教えてくれないだろうか?


“鬼謀”というべき天才的センスと、他者の及ばないほど豊富な西洋の軍事知識で徳川幕府を倒した男。第二次長州征伐、上野戦争、戊辰戦争と、時勢を維新に変える重要な戦争で、倒幕勢をことごとく勝たせた。

ちなみにこのスタチューは、明治26年(1893)に制作された「日本最初の西洋式銅像」といわれる。上野の西郷隆盛像を見据えるように建てられた、としばしば語られるが、西郷像の除幕式は前記の通り大村より後。建設計画は西郷のほうが早かったのか? 本当に西郷を見捨てているのか? 検証したいところがもう時間がない。竹橋駅を出てから30分近く経っちゃっている。遊就館や茶店での一杯に後ろ髪を引かれつつ、ラストスパートで最後のエリアへ!

こんな所にまさかのあの人!<残り時間:44分>


靖国神社から市ヶ谷駅までウォーキングして、都営地下鉄を乗り継いで御成門駅を目指す。所要時間は16分で、現地の活動限界まで10分あるかないかだ。電車を飛び下りて、芝公園沿いにあの人を目指す。ペルリ提督だ!

ペルリ提督の頭像。教科書でおなじみのあの肖像より、ちょっと若くてゴツい印象。近くには遣米使節団の碑もある。


言わずと知れた泰平の眠りを覚ました黒船の男、日本の扉をこじ開けたマシュー・カルブレイス・ペリー。この頭像は、ペリーの故郷であるロードアイランド州ニューポートから寄贈されたものだそうだ。あれ? でもなんでここにペリー? と不思議に思って後日調べてみたら、答えは遣米使節団にあった。

安政7年(1860)1月、徳川幕府の使節団がアメリカに派遣される時、使節一行が船に乗り込んで出発したのが、ここから近い竹芝だったのだ。その100周年の時、遣米使節団の碑が建てられ、アメリカから寄贈されたペリーの頭像も設置された、という経緯のようだ。簡単に言うと、「アメリカと開国」つながりってことで。

幕末当時、ペリーの強引さと奮闘がなければ、イギリスやロシアが主導権を握って開国していたかもしれず、倒幕や維新の形もまったく変わっていたかもしれないなあ、などと想い耽っているうちに、なんとタイムアップ!

なのですが、すぐ近所にあの人もいるからついでに行ってしまえ! と慶應義塾大学まで歩く。受付で訪問の主旨を伝えてから、キャンパス内を三田演説館目指して進むと、建物の脇にデン! と構える福沢諭吉先生の胸像。

本場慶応義塾のキャンパス内にある福沢諭吉の胸像。訪れる際には、大学の入口できちんと断わりを入れよう。


「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という『學問ノスヽメ』の書き出しはあまりに有名だが、これは最初に平等公平のことを言っている部分で、本当は続きがある。生まれた時点では人はみな平等だが、しかし現実には社会に賢愚、貧富、貴賤の格差がある。「されば賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとによりてできるものなり」と続いていて、学問に励んで物事をよく知る者が、貴い人となり自然と富も成せるのだ、と説いている。

いやあ、現代にもまさに通じるすごく良いこと言ってますね。この記事を書くために、実は初めてきちんと読んでみました『學問ノスヽメ』。みなさんにもおスヽメです。

第1回バクスタめぐりは11体!


ということで、縛りの2時間は少しオーバーしてしまったものの、頭と心は満たされて、体はスッキリしてとても気分がいい。みなさんもぜひやってみてください! 今回紹介したのはあくまでロバートが考えたモデルコースなので、自分好みのバクスタを探してコースを組んでみると、もっと楽しめますよ。

今週の『西郷どんナナメ斬りッ!』


35歳の若さで死んだ小松が、その短い生涯に成し遂げたことの大きさに比べて、同じ年齢に近づいた自分たちを顧みた瞬間の男性陣のカット。


幕末維新が大好きな俳優・声優・歴ドルたちが、NHK大河ドラマ『西郷どん』をもっと楽しみ、幕末のおもしろさをさらに発見するために語りまくるトーク動画です。今回は大河の第21回から、小松帯刀に注目! 幕末維新期の薩摩藩は、実は西郷隆盛でも大久保利通でもなく、この人がリードしていたともいわれる超有能な小松について語っています。そして、以前の動画で出た「日米修好通商条約は不平等だったのか!?」の宿題の前半戦もお届けです。お楽しみください♪

ボクらの維新通信社2018/ロバート・ウォーターマン(KUROFUNE-United)

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