世界中を旅してたどり着いた富良野の地。「cafeゴリョウ」を営む夫妻の物語

北海道ウォーカー

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北海道・富良野の街はずれでカフェとゲストハウス「cafeゴリョウ」を営む澤井夫妻。会社を辞め、世界中を旅して回った二人の答えは、大自然の空気と風土に身を任せ、自分の時間で生きること。富良野で自由なライフスタイルを体感したいと、古い納屋を修理、改造して2008年にこの店を始めました。

森と畑に囲まれた山里に、赤い屋根の古びた建物がよく映える「cafeゴリョウ」


絶品の味と居心地がよい空間に加え、夫妻の人柄に惹かれ訪れる人が多いこのお店。どのような歩みでこの店を開くに至ったのでしょうか。そのルーツを紐解くべく、二人の物語を少し探ってみました。

世界を旅して回り、行きついた富良野という地


二人はかつて、関西地方でともにアパレル業に就き、休暇のたびに海外旅行をしていたそうです。何度も旅をしているうちに都会や観光地ではない場所で異文化にふれたいと感じ、やがて会社を辞め世界各地を巡る旅に出ました。

日本を離れること約2年。旧知の富良野在住の陶芸家から「夏、手伝いに来ないか」と一本のメールが入りました。南米で旅を中断し、ひと夏を富良野で出稼ぎして旅に戻ったものの、翌夏も声がかかり再び富良野へ。二度の訪問で感じたのは、自然に逆らわず生きる富良野の人たち。自分のペースで生活できる風土におおらかさと自由さを感じ、二人は富良野で期間を延長し、ひと冬過ごしてみることにしました。

この時地元の人に紹介されたのが、築約80年の倒れかけた納屋。二人の富良野生活は、壁と屋根を起こして立ち上げるところから始まりました。

改修した店内。軋む扉を開けると、四季の風景を額縁に飾ったかのような空間が現れます


この納屋をはじめて見た時、傾いた壁と屋根がまっすぐに建ち直ったら暮らしてみようと思ったそうです。地元の人に協力を仰ぎ、壁を押してみたもののうまくいかなかったのですが、壁を引っ張ってみたら壁がまっすぐに建ち直りました。

「あ、建っちゃった」

傾きが直るかどうかは半信半疑だったものの、壁がまっすぐになったのでここで生活することを決意。とはいえ、屋内でも霜ができるほど荒れ果てた建物。寒さと闘いつつ生活しながらコツコツと改修をしていくうちに春を迎えました。ひと冬を越せた自信と、この地の風土や人の魅力から、二人は引き続き改修を続けながらこのまま暮らすことに。

もしもどこかの地で定住するなら、世界中を泊まり歩き食文化にふれてきた経験を活かせるカフェと宿にしようと考えていたこともあり、改修を続けながらお店を開く準備も進めていきました。壁をまっすぐに建て直してから約1年後、2008年12 月に「cafeゴリョウ」をオープンしました。

世界の料理の数々を、富良野の素材で


日替わりごはん(900円)。この日は自家栽培の野菜を使ったトマトカレー


「世界各地で美味しかった料理を、自分たちが育てた野菜などでアレンジして再現したい」

そんな二人の思いから、カフェでは自家栽培の野菜などを世界各国の料理にアレンジ。トマトカレーやチリビーンズなどの「日替わりごはん」と「ゴリョウサンド」が定番メニューです。

やや深煎りでビターな味わいの自家焙煎コーヒー(400円)


コーヒーは世界各地で触れて気に入った東ティモール産の豆を使用。自家焙煎し、ハンドドリップで淹れています。

二人は今でも毎春、約1か月店を閉じ海外へと旅立ちます。各地で見聞きしてきた経験が、また店づくりに活かされる。そのサイクルが、10 年目を迎えたこの店を進化させ続けてきました。二人はきっと永遠に旅人なのかもしれません。

「caféゴリョウ」を営む澤井夫妻


二人はこう言います。「こういう生き方もあるんだなと感じる癒しのひと時になれば」。富良野という地に魅せられた二人に会いに来れば、あなたも新しい生き方が見つかるかもしれません。

cafeゴリョウ ■住所:富良野市上御料 ■電話:0167・23・5139 ■時間:11:00~20:00(LO19:30) ■休み:火曜 ■席数:22席(禁煙)

川島信広

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