北海道ゆるっと鉄道旅~花咲線4:東の果て、納沙布岬で花咲ガニを味わう

北海道ウォーカー

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東へ、東へと進む花咲線の旅。最終回の今回は茶内駅から終点の根室駅に向かいます。車窓には荒涼とした原野や牧草地が広がり、さいはて感いっぱい! 日本最東端の駅、東根室駅を過ぎるとほどなくして終着の根室駅に到着。

根室駅前からバスに乗り換えてさらに東へ向かい、北海道本土の最東端に位置する納沙布(ノサップ)岬へ。北方領土を望む岬では花咲線の旅のシメに、根室の名産である花咲ガニを味わいます。

東根室駅にやってきた根室行の列車


最東端の駅は根室駅ではなく東根室駅


根室駅のホーム端には日本最東端の駅ではなく日本最東端の“有人駅”であることを示す案内があります


茶内駅を出発した根室駅行きの列車は、広大な牧草地が点在する中を東進。白黒模様の牛が草を食む様子や、緑の大地に寝そべる姿が時折車窓に現れます。厚床(あっとこ)駅を過ぎると牧歌的な風景から荒涼とした原野の風景が目立つようになりました。

別当賀(べっとが)駅を過ぎ、クマザサなどに覆われたゆるやかな丘の起伏を縫うように進みしばらくすると、右手車窓がぱっと開けます。目の前には太平洋の大海原が! 人工物がほとんど見当たらない海岸線と、建物などがない荒涼とした原野が広がる風景は、さいはて感いっぱい!花咲線のハイライトシーンの一つです。

原野と海が車窓に広がります(別当賀~落石間)


落石(おちいし)駅を過ぎると終点まであと一息。牧草地と原野が広がる風景から街並の風景に変わると、日本最東端の駅として知られる東根室駅に到着。線路はこの付近で大きくU字を描くようにカーブをして西に進むため、最東端の駅は終着の根室駅ではなく東根室駅になります。

東根室駅では乗降が終わるとすぐに発車。そのため、最東端の駅の証を眺めたり写真を撮ったりするなら車窓から。根室駅行きの場合はホームがある進行方向右側が狙い目ですよ。ただ、一部の列車は2018年11月末までの期間限定ですが、定期列車が観光列車に早変わり。ホームに降りて記念撮影できるようにと東根室駅で約2分停車し、途中の別当賀~落石間などの絶景区間で減速運転もしますよ。

最東端の駅の証と駅名表示を車窓から。ほんの一瞬のチャンス!


もし最東端の駅でゆっくり写真を撮りたいなら、列車の本数が少ないので根室駅と東根室駅間の片道をタクシーで移動するのがベスト。タクシー料金は概ね1000円少々です。ただ根室駅にはタクシーがいますが東根室駅にはいないので、事前の手配が必要です。

東根室駅前にも最東端を記す証があります


東根室駅を出発し、街並が広がる中を2、3分進むとまもなく終点、根室駅に到着します。そろりそろりと、ゆっくりホームへ入る列車。改札口の目の前付近に静かに停車しました。

ホーム一面のみの根室駅。中央の点字ブロックの右側が改札口です


かつては札幌駅や函館駅までの長距離列車も発着していましたが、現在は釧路駅行の普通列車と快速列車が合計6往復発着します(2017年7月撮影)


さらに東、本土最東端の納沙布岬を目指して


納沙布岬周辺の風景


旅行で根室駅まで来たら、きっと多くの人がさらに東、北海道本土の最東端である、納沙布岬まで行きたくなりますよね。ぜひ行ってみましょう!

納沙布岬へは、根室駅前にあるバスターミナルから発着する路線バスか、定期観光バスを利用して行くことができます。駅前ターミナルから納沙布岬までの所要時間は約44分。はじめの10分くらいは官公庁や住宅、学校などが連なる市街地の中を走りますが、その先は車窓右手が海、左手が原野という風景に変わり、時折漁師さんの家らしき建物が点在。根室駅では青空が見えていたものの、岬へ近づくと時折霧が現れたり霧が晴れたりの繰り返しとなり、濃霧の中で霞んで見える小さな漁港が妙に幻想的に映ります。霧に囲まれた珸瑶瑁(ごようまい)地区を過ぎると、間もなく納沙布岬に到着。

納沙布岬バス停から岬までは歩いて2、3分です


帰りのバスの時間を意識しながら最東端観光を楽しみましょう


霧に囲まれたバス停で降り、岬のほうへ向かって歩きます。海辺に来たら、なんとラッキーなことか、サーッと霧が晴れて青空が見えてきました! 岬の天気は変わりやすいようです。花咲線沿線の地域は夏でも冷涼な気候の土地柄ですが、特に海に囲まれた納沙布岬は風が強いことが多く、体感温度が低くなります。夏でも長袖は間違いなく必須です。

断崖の上にある岬には、「納沙布岬」「最東端」などと記した案内碑や標柱が多数立っています。行政が作ったもののほか、各種団体が設置したと思われるものです。これらの背後には海が広がり、水平線上に北方領土の一角、歯舞(はぼまい)群島や国後(くなしり)島がくっきり見えます。さまざまな想いをはせつつ、しばし眺望を楽しみます。

岬から東方向を眺めた様子。歯舞群島の島々がいくつも見えます。左寄りの水面から小さく上に伸びているところが、本土から一番近い歯舞群島の貝殻島にある灯台です


岬から北を眺めた様子。国後島の島影が遠くに見えます


白くてカワイイ形をした納沙布岬灯台(2018年末頃まで、斜面の崩落個所などの工事のため灯台敷地に入ることができません)


根室の名物味覚、花咲ガニを味わおう


岬の眺望を楽しんだ後は、納沙布岬バス停の目の前にあるカニ専門店「カネサク 浜出商店」で、朝茹での花咲ガニを味わいましょう!夏の漁期の頃は毎朝その日売る分を生簀から上げて、塩茹でして販売しています。

お店はバス停の目の前、すぐ近くにオーロラタワーがあります


前浜の花咲ガニを手に、「塩は“赤穂の塩”に限る。冷めても苦味が出ないんだ。とにかく塩加減が大事」と語る店主の浜出勇さん


例年7月から8月くらいまで、地元の浜であがった花咲ガニが店頭に並びます。ロシア産は大きいけれど味は大味、地元のものは身がしまっていて美味しいそうですよ。

生簀にいる花咲ガニを出してもらいました。黒っぽい色をしています


茹でると鮮やかな真っ赤に! 朝茹で花咲ガニは大きさによりますが、1杯2000~3000円くらいです


オーダーすると、花咲ガニが丸ごと1杯ドーンと出てきます。で、どうやって食べればいいのでしょう…? ご安心を。浜出さんが食べ方を教えてくれます!

殻の割り方や切り方もていねいに教えてくれました


食べ方を教えてもらいながら身の上話も。

「このへん(納沙布地区)の人たちは7、8割が島の引揚者とその子孫でないかね」

そう語る浜出さんも、歯舞群島の志発(しぼつ)島出身。目の前に見える“近くて遠い島々”のデリケートな問題を身近に感じます。そんな真面目な話をしつつも、メインの話はカニの食べ方。カニのプロが直伝するカニの食べ方は無駄がなく、細いツメの先までしっかり食べきることができました。

浜出さんの朝茹で花咲ガニは、カニの甘さが引き立つほどよい塩加減で、とにかくジューシー。これは旅のシメにピッタリ! この味を求めて花咲線に乗って旅をしてもいいくらいです。地方発送もしているので、自宅で味わうこともできますよ。

むいた身をカニミソがつまったカニの甲羅にのせるとカニミソと身が混ざり合い絶妙な美味しさ!


4回にわたって紹介してきた花咲線の旅はこれにて終了。みなさんもぜひ、最東端を目指して列車の旅を楽しんでみてください!

カネサク 浜出商店 ■住所:根室市納沙布85 ■電話:0153・28・3176 ■営業時間:6:00~17:00 ■休み:不定

※駅や列車、お店の紹介内容は2018年8月現在の情報です。

川島信広

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