「浦霞」の名前の由来は昭和天皇の行幸にあり。宮城県塩竃市「佐浦」
東京ウォーカー(全国版)
伝統と真摯に向き合いながら酒に親しんでもらう取り組みも
佐浦では、塩竈の本社蔵と東松島市の矢本蔵の2つの工場で酒造りをしている。
小野寺さんは「今年はこういう酒をつくります、というイメージを早めに伝えて、蔵人の意思統一を図っていくのが大事。酒造りはさまざまな役割があるので、どうしても自分の仕事を中心に見てしまいがちですが、担当外の人とも協力して、話し合いながらつくることが大切ですね。チームワークがよいと、よい酒ができるものなんですよ」。
小野寺さんが今挑戦しているのは、乳酸を添加せず、昔ながらの手法で酒母をつくる「生もと(きもと)という酒造りだ。「平野杜氏の時から取り組んでいた酒母づくりの手法をベースにした、新しいチャレンジです。どんな酒になるか今から楽しみです」と顔を緩ませた。

佐浦では、日本酒に親しんでもらうための取り組みもさまざまに行っている。
ひとつは1999(平成11)年から行っている『うらかすみ日本酒塾』だ。日本酒の歴史や製造工程などの講義をはじめ、料理と一緒に味わう試飲体験や酒造り体験もできる。
「浦霞のファンになってもらいたい」と季節の酒を味わってもらうイベントも開催。酒だけでなく地域の食も楽しんでほしいと、フレンチレストランや和食店などとコラボした食事会も開く。
「お酒は一年を通して楽しめるもの。日本酒の食文化に親しむことで、次世代につなげられると思っています」と佐浦さん。
「最近では、若い女性を中心に、日本酒のファンも増えてきました。従来のお酒はもちろんですが、日本酒につけた梅酒、ゆず酒、苺酒など、今までの概念から一歩踏み出したお酒もつくっています。
浦霞で使う米は、9割が宮城県産です。地元産の原料を使い、地域性を表現した酒造りとともに、最高品質を目指した酒もつくりたいと思っています」。
春の霞のような、おだやかで心地よい酒。浦霞らしさを残しながら、多くの人に好んでもらえる酒を目指して、今日も真摯に酒と向き合っている。

※KADOKAWA刊『会いに行ける酒蔵ツーリズム 仙台・宮城』より
栗原祥光
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