北海道ゆるっと鉄道旅~函館本線“八の字”巡り1:北海道の鉄道の起点は函館駅

北海道ウォーカー

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北海道の函館駅から森駅の間は、鉄道旅を楽しみやすい区間。なぜなら、JRのお得な切符が複数使える区間なんです。

北海道内すべて乗り降り自由となる「北海道フリーパス」はもちろん、JR北海道とJR東日本の一部区間や道南いさりび鉄道線などを利用できる「三連休東日本・函館パス」や、函館市電やバスなども利用できる「はこだて旅するパスポート」でも、函館駅と森駅の間は有効期間内なら自由に乗降できます。このほか、季節限定で発売される「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」も利用可能。

両駅の間には新函館北斗駅や大沼公園駅など、旅行や観光に便利な駅もあるので、函館周辺の観光をするには便利な区間です。

駒ケ岳をバックに小沼湖畔を走る特急列車スーパー北斗(大沼駅~仁山駅間)


今回から4回に分けて、函館駅から森駅までの間の鉄道の旅を紹介します。

路線が分かれたりくっついたりする!?“八の字”路線


ところで、この周辺の地図や路線図を見たことがありますか?ご覧になればわかるとおり、この区間は八の字を描くように途中で路線が分かれています。

北海道新幹線の終着・新函館北斗駅より一つ函館駅寄りの七飯駅で路線が二手に分かれ、片方の路線は新函館北斗駅を経由して北上、もう片方の路線は途中駅がないまま北上し、両路線は大沼駅で合流。さらに大沼駅で再び二手に分かれ、片方は観光名所がある大沼公園駅を経由し、もう片方は太平洋側へと大きく迂回し、森駅で合流します。

大沼駅~仁山駅間を走行する普通列車。一見複線のようですが、手前が新函館北斗を経由する路線で、奥が経由しない路線。単線が2つ並んでいる区間です


どの区間も正式な路線名は「函館本線」ですが、七飯駅から新函館北斗駅を経由せず大沼駅に至る区間は通称「藤城(ふじしろ)線」と呼ばれ、大沼駅から太平洋側を迂回する区間は通称「砂原(さわら)線」と呼ばれています。かつてSLが全盛期だった時代、急勾配の区間を緩和するため、また輸送力をアップさせるため、迂回路線としてこの両線が造られました。

せっかくなので、函館駅を起点に大沼国定公園などを観光しつつ森駅まで行き、別ルートを通り八の字を描くように函館駅まで戻ってみましょう!まずは起点となる函館駅へ。

北海道の鉄道の旅の起点は函館駅


連絡船のイメージを醸し出したデザインの函館駅の駅舎


北海道の鉄道旅のはじまりは函館駅からが理想。というのも、函館駅は長らくの間、北海道の鉄道の玄関口だったからです。かつては青函連絡船と北海道内各都市を結ぶ長距離列車の接続駅として、近年までは青函トンネルを介し本州からの特急列車と札幌駅行の特急列車の乗換駅として賑わいました。

函館駅に並ぶ特急列車スーパー北斗


2016年3月に北海道新幹線が開業すると、本州と北海道の鉄道の接点は新幹線の終着駅である新函館北斗駅へと移りました。現在函館駅に発着する定期列車は、函館駅と札幌駅を結ぶ特急列車「スーパー北斗」と新函館北斗駅で新幹線と接続する快速列車や普通列車の「はこだてライナー」、函館本線と道南いさりび鉄道の普通列車です。

はこだてライナー(左)と臨時特急列車「ニセコ」号


旧江差線を引き継いだ道南いさりび鉄道は隣の五稜郭駅が起点ですが、列車はすべて函館駅から発着しています


本州と行き来する列車が発着しなくなったものの、函館駅と周辺には今なお北海道の鉄道の起点である証や風情が残っています。北海道の鉄道旅のスタートにふさわしい駅であることに変わりありません。

函館本線の普通列車。かつてはこの先へ線路が伸び、青函連絡船の桟橋へとつながっていました


函館駅構内には、ここが函館本線の起点であることを示す「ゼロキロポスト」があります


青函連絡船の歴史と想い出がいっぱい


函館市の観光名所「八幡坂」からの眺め。正面の海に浮かぶ大きな船がかつての青函連絡船、函館市青函連絡船記念館摩周丸です


函館駅の歴史や北海道の鉄道史を振り返るうえで、青函連絡船の存在は外せません。青函連絡船は、1908(明治41)年から1988(昭和63)年までの間、青森駅と函館駅を結んでいた鉄道連絡船。青森駅では上野駅発の特急列車や夜行列車などと接続。函館駅では札幌駅をはじめ稚内駅、網走駅、釧路駅行など道内各地へ向かう長距離列車と接続していました。現在は本州と北海道の行き来は航空機利用が多いのですが、昭和40年代までは青函連絡船を介した鉄道利用が一般的でした。

青函連絡船の大きな特長は、客室下の車両甲板に線路が敷いてあり、貨物列車の貨車をそのまま積み込むことができたこと。青森駅も函館駅も線路が桟橋まで直結していて、摩周丸など津軽丸型連絡船という連絡船は一隻あたり貨車48両を積み込むことができました。

青函トンネルが開通し津軽海峡線が開業すると航路は廃止されましたが、使用されていた船を現在も見ることができます。それが、函館駅前の函館朝市の隣にある「函館市青函連絡船記念館摩周丸」です。

函館市青函連絡船記念館摩周丸は陸地に設置されているのではなく、現在も海に浮かんでいます


館内の見学、つまり船内の見学をすると、保存展示されている座席や桟敷などに座ったり寝転んだりできるほか、操舵室や甲板に立ち入ることも可能。青函連絡船に関する歴史や技術などについての詳細な解説や模型などもあり、かなり見応えあり!

乗船したことがある人にとってはかなり懐かしく想い出深く感じられますし、乗船経験のない人にも新鮮に映るはずです。函館駅から始まる鉄道旅の前に、ぜひ見ておきたいスポットです。

当時の普通席を展示。グリーン席も展示されています


これを見て懐かしいと感じる方、いるのでは?黒い四角い枕もありますよ。いい場所を確保するため、青森駅や函館駅で列車を降り、駆け足で桟橋へ向かいましたよね


操舵室の様子。眺め良好!


次回、“八の字”路線の鉄道旅を楽しむべく、函館駅から大沼公園駅まで行き、大沼国定公園で観光名所を訪れてみます。

函館市青函連絡船記念館摩周丸 ■住所:函館市若松町12番地先 ■電話:0138・27・2500 ■営業時間:4月~10月8:30~18:00(入館17:00まで)、11月~3月9:00~17:00(入館16:00まで)、12月31日~1月3日10 :00~15:00(変更、または休館になる場合あり) ■休館日:4月上旬の一週間程度(船舶検査と特別清掃のため)。そのほか悪天候時や修繕工事などにより臨時休館あり) ■入館料:一般(おとな)500円、小学生~高校生250円、幼児・未就学児無料

※掲載内容は2018年10月現在の情報です。

川島信広

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