北海道ゆるっと鉄道旅~函館本線“八の字”巡り3:森駅の名物駅弁「いかめし」を現地で味わおう

2018年11月10日 10:00更新

北海道ウォーカー 川島信広

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函館本線の函館駅~森駅間の「八の字」区間を行く列車の旅。3回目となる今回は、大沼公園駅から森駅へ向かい、森駅からは鹿部駅経由で新函館北斗駅まで進みます。途中の乗換駅、森駅では名物駅弁「いかめし」は外せません!

森駅の名物駅弁「いかめし」は、夏の一時期は駅ホームでの立ち売りもしています

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駒ヶ岳を眺めながら普通列車でのんびり森駅へ

海に面した森駅。背後に見える駒ケ岳を囲むように、右側山麓に大沼公園駅経由の路線があり、左側山麓に鹿部駅経由の路線があります

大沼公園駅から森駅行の普通列車に乗車。大沼公園駅を出てほどなく鉄橋を渡ります。右に大沼湖、左に小沼湖が見える絶景ポイント。でも、鉄橋を渡るのはほんの数秒、シャッターチャンスはほんのわずかなので写真を撮りたい人は発車と同時にカメラを手に待ち構えましょう。

駅員さんに見送られながら大沼公園駅を出発!

この区間は特急スーパー北斗や貨物列車も走る幹線で、列車本数が多いものの単線です。そのため、途中の駅や信号場では列車の交換待ちや通過待ちとなることがよくあります。普通列車の場合は待ち合わせや通過待ちで10分近く停車することも珍しくありません。

静かな無人駅でしばし停車。踏切の音が鳴りディーゼルエンジンの轟音が聞こえてくると、特急「スーパー北斗」があっという間に駆け抜けていきました(赤井川駅にて)

無人駅を静かに発車すると、車窓の右手には駒ケ岳の雄姿が見え隠れするようになりました。山麓には草原や農地が広がり、西部劇か大河ドラマでも見ているかのような風景。少し離れて見ると、列車の窓はさながら劇場のスクリーンのようです。

この日は山頂に雲がかかっていました。残念!

駒ヶ岳駅を過ぎると、今まで続いた登り坂から一転下り坂に。エンジン音の唸りも聞こえず走りも軽やか。駒ヶ岳の山麓を左右に曲がりながら一気に下り、森駅へと進みます。高原のような山麓の車窓風景がいつしか海辺の雰囲気に変わり、右手に鹿部経由の線路が見えてくると森駅に到着です。

森駅付近と駅構内は車窓右手に海が見えます

海辺に面した森駅

森駅名物いかめしは、期間限定で懐かしい立ち売り販売もあり!

森駅といえば「いかめし」。これは誰が何を言おうと外せません!駅弁とはいえ、現在は現地での販売よりも全国各地の百貨店の催事などでの販売がメイン。自宅近くの街で開催されていた催事で購入したことがあるという方も多いのでは。

森駅名物のいかめし(780円)。1折にいかめしが大きめなら2個、小さめなら3個入っています

いかめしを製造しているのは、森駅近くにある「いかめし阿部商店」。かつて旅館業を営んでいたいかめし阿部商店が、1903(明治36)年に森駅が開業したことで、駅構内での販売業を開始。当初は幕の内弁当などを販売していましたが、1941(昭和16)年よりいかめしを販売。当時、森駅周辺の海では海にザルを入れるだけでイカが入ると言われたくらいイカが豊漁でした。余るほどとれるイカをどうにかしようと考え、誕生したのがこのいかめしです。

生イカの胴に生米(うるち米ともち米の混合)をつめ、甘辛いタレで炊き上げただけというシンプルなものながら、現在まで続く大ヒット・ロングセラーに。1943(昭和18)年に旅館業は廃業したものの、駅構内での営業は継続。列車が着くたび、多くの人たちがいかめしを買い求めました。

列車の窓越しでいかめしを購入。現在駅弁をこのように買える風景は、日本国中見渡しても珍しいのでは?

ただ、平成に入ると長時間停車の列車が少なくなったうえ、特急列車は窓が開かないのでホームでの立ち売り販売は厳しい状況に。さらに2018年2月、いかめしを販売していた駅構内のキヨスクが閉店。現在はホームを含め駅構内での販売は基本的にしておらず、駅前にある「柴田商店」にて購入することができます。

森駅の駅前にある柴田商店。昭和一桁の時代からレトロな雰囲気が絵になります

ところが、長年続いた駅弁文化を絶やしたくないという製造元の意向から、毎年夏のお盆時期に限り採算度外視で駅構内での立ち売り販売を実施。普通列車でのんびり旅をする人や森駅に帰省で訪れた人にとって、これは本当にありがたい!期間限定とはいえ、うれしくもあり懐かしくもある駅弁の立ち売り風景を楽しめますよ。

停車時間わずか1分弱、窓が開かない特急列車では当然売れませんが、下車客の中には「あーっ、いた!会えてよかった!」と歓声が上がり買いに来る人もいました

ちなみに、いかめしの売り子さんは地元では「えきぼん」と呼ばれているそうです。これからも毎夏、えきぼんに出会えるといいですね。

いかめしを食べながら新幹線駅、新函館北斗駅へ

森駅で買ったいかめしを食べながら普通列車の旅を満喫

函館駅から森駅まで北上してきましたが、ここで折り返し。行きとは別のルートを通って南下します。これから通るルートは、渡島砂原駅や鹿部駅経由で大沼駅へ至るルート。行きに通った大沼公園駅のルートとは大沼駅で合流します。夏期などに臨時特急列車の一部が走ることもありますが、通常の旅客列車は普通列車のみ。運転本数も少ないので、事前に下調べをして計画を立てて乗車したいルートです。

森駅を出発した1両編成の普通列車。ボックス席に1~2人程度の乗車率です

森駅を出発するとすぐに、大沼公園駅経由の路線が右手に分かれていきます。しばらくの間は車窓の左右に住宅や農地などが点在。小さな無人駅を小まめに停車していきながら進みます。通り過ぎていく駅の多くが、古くから残る木造駅舎で、かなり“味”があります。列車本数が少ないのでうかつに途中下車もできませんが、時間が許すなら途中下車してタイムスリップしたかのごとく、のんびり昔の風情を味わいたいです。

渡島砂原駅の駅舎。昔懐かしいレトロな雰囲気がいっぱい!

地図を見ると海に近い印象ですが、残念ながら車窓からは海は見えません。かわりに右手に駒ヶ岳が時折見え隠れします。鹿部駅付近からは山あいを分け入り森の中を進みますが、銚子口駅を過ぎるとだんだんと左右の視界が開けてきます。農地や牧草地が広がり、高原を走っているかのような雰囲気。取材した日はあいにくの天候にて叶わなかったのですが、天気がよい日は右手に駒ケ岳の姿が綺麗に見えます。

右手に大沼公園経由の路線が見えるとほどなくして大沼駅。この先も路線は二手に分かれますが、片方の路線は下り専用区間。函館方面へ向かう上り全列車と下り旅客列車の多くは、これから通る新函館北斗駅経由の区間を通ります。

大沼駅を出てすぐ、右手車窓には小沼湖が広がります

小沼湖が見えなくなるとトンネルに入り、抜けると山あいを下りはじめます。少しずつ視界が開けてくると、車窓左手には木々の間から広い平野が見え、遠くには海に突き出た函館山の姿も。仁山駅を過ぎ、山から平野へと下りてくると新函館北斗駅に到着します。

新函館北斗駅に到着した普通列車。函館駅発のはこだてライナーが到着するのを待って出発します

今回はここまで。次回は新函館北斗駅を紹介します。

いかめし阿部商店(いかめし製造元) ■住所:森町御幸町112 ■電話:01374・2・2256 

柴田商店(いかめし販売店) ■住所:森町本町32 ■電話:01374・2・2797 ■営業時間:9:00~18:00前後※開店時間が遅くなる場合もあり ■定休日:不定

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