ムーミン抜きでスタートの「メッツァ」 異例づくしの施設が目指す“テーマパーク2.0”
東京ウォーカー(全国版)
2018年11月9日(金)、埼玉県飯能市に北欧のライフスタイルを体験できる施設「メッツァビレッジ」がオープンした。この施設は、ムーミンの物語をテーマにした「ムーミンバレーパーク」とともに、テーマパーク「メッツァ」を構成するエリアの1つだ。
2019年3月に開業するムーミンバレーパークにさきがけての開業となったメッツァビレッジ。そこで気になるのは、「ムーミン」抜きでメッツァを部分開業することを選んだ理由だ。その背景には、従来のテーマパークとは一線を画した“次世代型テーマパーク”としての思惑があった。
北欧の街を再現“しない”テーマパーク
「ムーミン頼みにならず、メッツァビレッジのみで施設を成立させるのが狙いの1つです」と語るのは、同施設を運営する株式会社ムーミン物語の西山祐介副社長だ。テーマパークの手法としては異例とも言える部分開業の大きな狙いは、メッツァビレッジの施設としての性格にあった。
ムーミンバレーパークはムーミンというコンテンツを生かしたロイヤリティビジネスだが、キャラクターの著作権がかかわる分、企画をテーマパーク内に反映させるには一定の時間がかかる。一方、メッツァビレッジでは運営母体であるムーミン物語の意思を即座に取り入れることが可能となる。メッツァビレッジ単体で評価される期間を設け、ユーザーに求められるコンテンツを模索するのが狙いだ。
メッツァビレッジには、北欧ブランド雑貨や工芸品などのショッピングを楽しめるマーケットエリアをはじめ、北欧風の飲食を堪能できるレストラン、ワークショップ、湖面の散歩を満喫できるレンタルボート、季節や様々なブランドによるイベントが楽しめる。そのメッツァビレッジの最大の目玉は「湖と森」だという。
「北欧の街を再現しようという気持ちはあまりないんです。ほとんどの人が『一度来たから満足』となってしまいかねないからです。数日後にまた訪れたくなるような間口の広い施設を目指しています」
その言葉を裏付けるように、宮沢湖畔に造られたメッツァは、もともとあった植生を極力維持する方針で開発が進められている。湖のほとりには、フィンランドとは縁遠いイメージの桜の木が残されており、入居するショップでも、隣接した狭山市の名産品・狭山茶の専門店をはじめ、地元の食材を使ったグルメや埼玉土産などが提供される。北欧テイストの穏やかな雰囲気が漂いながらも、日本ならではの景観や文化が各所に取り込まれているのが印象的だ。
メッツァビレッジで開催されるイベントやワークショップからもその意図がうかがえる。開業後最初のイベントでは、北欧クリスマスとしてモミの木のディスプレイや北欧の妖精・トントゥを手作りするワークショップを開催するほか、特定日にはフィンランドからサンタクロースが来日する。その一方で、冬のメッツァの景観を生かし、チームラボによる光のアート「チームラボ 森と湖の光の祭」が12月1日(土)から2019年3月3日(日)まで行われるなど、北欧というテーマを生かしつつも、そこだけにとらわれないイベントも企画している。
「北欧ではこういう休日の使い方があるということが、メッツァで過ごす時間の中で伝わるような施設になれればと考えています」と西山氏が話すように、北欧らしさよりも、そこに流れる時間の魅力そのものを届けようというのがメッツァのコンセプトと言える。
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