ムーミン抜きでスタートの「メッツァ」 異例づくしの施設が目指す“テーマパーク2.0”
東京ウォーカー(全国版)
外に開かれた観光施設
ムーミンや北欧のライフスタイルという施設のコンセプトとは別に、メッツァは地方創生推進事業という側面も持っている。メッツァの所在地である飯能市とは、当初フィンテックグローバル株式会社と地方創生に関する基本協定を結び、開業に至るまで共同で事業を推進。その子会社のムーミン物語がメッツァを運営しているが、同社はさらにこれを進めて埼玉県と観光分野における連携協定を締結し、相互に連携して埼玉県の観光振興に取り組んでいる。民間事業でありながら、地域の観光産業の要となることを求められているわけだ。さらに集客上の戦略からも、メッツァという施設単独での集客を理想にはしていないと西山氏は話す。

「おでかけ先を選ぶ際、人は“潰しがきく”ところに行きたいものなんです。『あの施設が混んでいたら、近くにある別の施設に行こう』というのが自然なユーザー心理です。逆に言えば、地域そのものをにぎやかにすれば、結果としてメッツァもにぎわう。これからの時代の観光ビジネスとして挑戦的に取り組んでいます」
ムーミン物語が想定するメッツァの滞在時間はおよそ5~6時間。メッツァビレッジのみの場合では2~3時間程度という想定だ。一日中遊んで過ごすという従来のテーマパーク像とは異なる。周辺地域との気軽な相互回遊は、エリアの半分が入場無料というメッツァだからこそできる提案だ。
「天覧山や飯能河原をはじめ、トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園など、いいスポットがいっぱいあるので、周辺の観光情報はウェブをはじめメッツァ側からも紹介をしていこうと考えています。さらにメッツァは埼玉県とも観光協定を結んでいるのですが、そこで実現できればと現在考えているのが、飯能市はもちろんのこと、川越市との相互送客です。飯能市を中心に、埼玉で遊ぶ際の拠点にメッツァがなれたらと思います」
自分たちのストーリーを楽しんでもらう「テーマパーク2.0」
固定観念にとらわれないアイデアが盛り込まれたメッツァ。それを象徴するのが、ペット同伴での来場可という点だ。来場無料エリアであるメッツァビレッジだけでなく、ムーミンバレーパークも同伴可にする意向だという。
「テーマパークでペット同伴可というのは、従来の考えで言えばありえないことでした。ですが現代では、ペットも家族の一員であるという意識が根ざしてきています。少子化で子どもがいない家庭では、それこそペットを子ども同然に見ていることも当たり前になってきました。メッツァは家族で来てほしい施設を目指しているので、そういった点も現代の価値観に合わせていこうとしています」

来場者の生活に寄り添おうとする施設のあり方は、メッツァが掲げる「余白と、暮らす。」というメッセージに集約されている。魅力あるコンテンツを揃えつつも主張することなく、来場者の受け皿となろうとするメッツァを、西山氏は“テーマパーク2.0”と呼ぶ。
「既存のテーマパークは、自分たちで作り上げた物語の中にユーザーを招いて、“他人の物語”の面白さを伝えるという構図です。ただ現代では、SNSをはじめ“自分の物語”を語れるインフラが整ってきていて、自分の感じ方を発信することにトレンドが急速に移ってきています。
だからメッツァでは、100人いたら100通りの捉え方ができるようなコンテンツを揃えようとしています。そこから、多様なユーザー体験を提供できる次世代の“テーマパーク2.0”を目指しています」
開業2日目の11月10日、メッツァビレッジの来場者は早くも1万人を突破した。これまでにない開かれたテーマパークに期待が高まる。

国分洋平
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