ダスキンが教える!家庭でできるノロウィルス対策

東京ウォーカー(全国版)

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冬場の感染症は多くの人にとっての心配の種だ。中でも下痢や嘔吐を伴うノロウイルスは、インフルエンザと並び寒い季節の代表とも言える感染症。嘔吐や下痢に加え腹痛や発熱を伴い、発症しても有効な薬がないのが特徴だ。誰でもかかる恐れがあるノロウイルスによる胃腸炎だが、正しい知識を持っている人はそれほど多くはない。

11月8日、東京都江戸川区の輝きベビー保育園 篠崎で、ダスキンによる「ノロウイルス対策セミナー」が開催。ダスキンで衛生管理のスタッフ教育担当を務める小林英明氏と、済生会横浜市東部病院の十河剛氏がノロウィルス感染症の特徴や発症した場合の対処方法を語った。

ダスキンによる「ノロウイルス対策セミナー」が開催


もっとも多い感染経路は「人から人」


ノロウイルスの感染経路として「食べものにあたる」というイメージを持っている人は多い。だが、実際には感染経路の多くが人から人への感染で、食品媒介による感染は「飲食店などで一度に複数人が同時発生し、それが報道されるため印象深いのではないか」と十河医師は言う。ノロウイルスは非常に小さく、乾燥に強いウイルス。また、わずか10~100個程度のウイルス粒子で感染するとされる。ウイルスは感染者の糞便や嘔吐物に含まれているため、たとえばトイレで水を流すことで空気中に飛び散った粒子が口に入ることでも感染してしまうのだという。また、乾燥した吐物の中にもウイルスは残っているため、その飛沫でも感染することがある。もちろん、ウイルスに汚染された食品や、手指を介した接触感染も決して少なくはない。人から人への伝播集団発生のもっとも多い感染場所は保育所で、小学校や老人ホームなど子どもや高齢者のいる場所も感染は多いが、現実にはどこでも感染のリスクがあるというのが実態だ。

また、症状がなくなっても、1週間から1ヶ月程度はウイルスを糞便中に排出しているのがノロウイルスの特徴だ。「感染しても症状が発症するのは全体の約45%で、不顕性の感染者も同様にノロウイルスを排出します」という通り、身の回りに発症している人がいなくとも感染してしまうケースも十分にありうるのがノロウイルスの怖さの1つだ。

ウイルスを持ち込まないためにはやはり「手洗い」


では、ノロウイルスにはどう対処すればいいのか。「感染拡大を少しでも防ぐには手洗いだが、意外と人は手をくまなく洗えていないのが実態」とダスキンの小林氏は話す。

「ノロウイルスにアルコールや石鹸はあまり効果がなく、手洗いではウイルスを洗い流してしまうことが重要です。ですが、爪や親指のまわりを洗えていない人が多い」という通り、日本ユニセフ協会の2018年手洗い実態調査によると、手洗いで98.5%の人が手のひらを洗うのに対し、親指のまわりは18.0%、爪に至っては13.5%しか洗えていないという結果が出ている。

【写真を見る】手洗い後の汚れの残留をチェックする実験。白い部分が通常の手洗い後に汚れの残っている部分


一方、様々な場所の汚染状況を数値化して確認するATP清浄度測定をダスキンが行ったところ、保育園・家庭ともにもっとも清浄度の指標が悪いのがテーブル。保育園では手すり、おもちゃがこれに続き、家庭内ではトイレ、入り口と、手が触れる場所ほどATP清浄度測定の数値が高いという。

手洗いのポイントとして小林氏は「爪ブラシ」の使用を推奨している。ハンドソープで手の隅々までしっかりと洗ってから、爪ブラシを使って爪を磨くように洗うことで爪もきれいにすることができるという。だが、爪ブラシも衛生環境によっては菌が付着するため、定期的な手入れや交換が必要となる。

食品や調理器具は加熱殺菌食毒を


アルコールでは効果のないノロウイルスだが、加熱することによって失活化(消毒)は可能だ。ウイルスが手指に付着する経路となりやすいキッチンまわりでは、調理器具で85℃で1分間以上の加熱、布巾・タオルも85℃で1分間の煮沸、食品は85~90℃で90秒以上加熱することで失活化が期待できるという。

また、次亜塩素酸ナトリウムもノロウイルスの失活化に有効だ。ドアノブやカーテン、リネン類や日用品は塩素濃度200~500ppm、トイレや浴槽は塩素濃度300ppm以上の次亜塩素酸ナトリウムで浸すようにペーパータオルで拭くことが身の回りの消毒方法の1つとされている。だが、次亜塩素酸ナトリウムは金属腐食性があるため、消毒後のふき取りが必要だ。

適切な処置で拡散を防ぐ


予防を万全にしても感染する恐れがあるのがノロウイルス。感染・発症者が身の回りで出た場合は、嘔吐物の適切な処理が重要となるという。

小林氏によると、嘔吐物処理で準備すべきものは、塩素濃度1000ppm以上に調整した次亜塩素酸ナトリウム、大量のペーパータオル、大きなポリ袋2枚、さらに処理担当者の汚染を防止するための手袋、マスク、ガウンやエプロン、シューズカバー。手袋とシューズカバーは二重で着用するのが望ましい。消毒用の次亜塩素酸ナトリウムは、家庭用の塩素漂白剤約10ml(ペットボトルのキャップ2杯分)を、約500mlの水と混ぜ合わせることで作ることができる。

処理者の防護と、処理者以外の汚染された室内への立ち入りを禁止することも重要


具体的な手順は次の通り。まず、感染防止用品を着用した後、消毒液に浸したペーパータオルで嘔吐物を囲むように敷き、その後追加のペーパータオルを汚物上部にも被せ、消毒液を飛び散らないようにかける。

次に、折りたたんだペーパータオルや厚紙で、敷き詰めたペーパータオルを周囲から内側に向かって拭き取り面を織り込みながらぬぐい取る。ぬぐい取ったペーパーはあらかじめ入り口を広げたポリ袋(一次回収袋)に入れ、その中に消毒液を浸る程度に入れる。

シューズカバーや使い捨て手袋は汚染物が付着している恐れがあるため、外側の1枚を脱いでこの場で一次回収袋に入れ、袋の口を固く閉じてもう1枚のポリ袋(二次回収袋)にしまう。

嘔吐物をペーパータオルで囲む。この際、見える範囲よりも広めに囲むのが重要


さらに、汚物を取り除いた床面をペーパータオルで覆い、ペーパータオルが十分濡れるよう消毒液を注ぐ。そのペーパータオルを二次回収袋に入れたら、新たに消毒液に浸したペーパータオルで拭き、その後水拭き。拭き取ったペーパータオルも二次回収袋に入れる。

処置後は、シューズカバー、手袋、エプロンの順に外側が内側になるように脱ぎ、最後にマスクを外し、二次回収袋へ。袋の内側を触らないように袋の口を固く結んで閉じる。最後にしっかりと手洗いとうがいをするという流れだ。

ポイントは、嘔吐物は一見すると気付かないほど広範囲に広がっている点。消毒液による新たな飛び跳ねや、目には見えないところでの付着を避けることや、吐物処理後の広範囲の消毒が必要となる。汚染された室内の移動の際は、消毒液を浸したペーパータオルをあらかじめ敷いた出入口を作り、移動の前に必ずその上を通ることでより安全を確保することができるという。

嘔吐物処理のための装備を常備しておくことも重要


ノロウイルスは年間を通して感染するが、特に11月から流行がはじまり、12月から1月にかけてピークを迎える傾向がある。これからの季節に備え、少しでも感染リスクを下げる生活を心がけたい。

国分洋平

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