みつけだせ!僕らの最高のマネージャー!!「福岡教育大学剣道部」

九州ウォーカー

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選手を支えるキラリと光る“最高のマネージャー”を発掘する連載。今回は“主務”という役割で「福岡教育大学剣道部」を支える伊藤三那子(いとう・みなこ)さんをご紹介します。

「今日までに痩せようと思ったんですけど、昨日バイト終わりにお寿司を食べに行ってしまいました」と笑う伊藤三那子さん


心も体も鍛える


まだ夜も明けきらない午前6時前。福岡教育大学の西門をくぐりキャンパスの坂を登り始めると、この早朝に、ただひとつ灯りのともる建物が見えてきます。剣道部の道場がある「修武館」です。近づくにつれて館内での熱気のこもった練習を想像させる勇ましい声も大きく聞こえてきます。「もう少し周りの民家に近かったら苦情来てますよね」と笑うのは剣道部部長をつとめる体育学の准教授、本多壮太郎先生。年明け1月5日から始まった『寒稽古』は4週間の長丁場。

【写真を見る】一般的には1週間から10日程度の『寒稽古』。福教大剣道部は4週間連日続く


強い踏み込みで足を痛めてしまう事の多かった伊藤さんだが「修武館」では怪我をしないと言います


「ウチの寒稽古は日本一長いと思います。この期間に“基礎”を固めていきます」板張りの道場は底冷えのする寒さ。道場内は剣士たちの真剣な眼差しで溢れていました。3年生の伊藤さんを含めて剣道部の女子部員は5名。大勢の男子部員に囲まれながら女子部員も同じ稽古内容をこなしていきます。

「もう一息、もう一息」が寒稽古のモットー


女子と剣道


幼い頃はディズニープリンセスに憧れていたという伊藤さん。お父さんの影響もあり地元の町の道場から中学高校そして今も剣道を続けています。「気付いたら木刀を振ってました。プリンセスになりたかったのに、なんでですかね(笑)」このお正月も元日には実家近くの道場、2日は出身高校を訪れたそうです。「お正月に高校に顔を出した時に、後輩の女子たちが『みなこさーん!』って寄って来て色々悩みを打ち明けてくれるんですよ。女子は少ないから、同じ経験をしている子たちには頑張って欲しいなぁ、と思います」

伊藤さんは教育学部初等教育教員養成課程で学ぶ3年生


「大学に入った頃、授業に行く時、私服で教室に行きたいのに、朝練とかあるとジャージにすっぴんで行かなきゃいけないんですよ。それがなんか悲しくって。せっかくお母さんが、大学生になるからって服を買ってくれたり、お化粧品を買ってくれたりしたのに... みんなオシャレしてるのに。女子にとっては過酷です(笑)」

防具が臭くなる問題


剣道といえば面や小手といった防具が臭くなってしまう...という定番の悩みがあるのでは?

「あ、でも、授業で剣道をしてる一般生の方が臭いです!剣道部員は臭くなるのが分かっているから、乾燥室で防具をしっかり乾燥させて、あとは芳香剤とか香りのビーズとかを入れまくって、消臭スプレーをフル活用します」

九州学生剣道連盟会長の角師範(中央)の厳しい眼差し


なるほど!だから意外とそんなに臭くないんですね?

「いや、臭いですよ(笑) 。ただ、みんな自分なりの対策があるので。何にもしていない一般生よりは臭くないんです(笑)」

剣道が教えてくれること


ここまで、“女子にはキツい” “防具が臭くなる”と、マイナスな面ばかり聞いてしまいましたが、伊藤さんが剣道を続けてきた理由。それは、一般的なスポーツにある「楽しさ」や「達成感」とは一味違う、“剣道がもたらしてくれるもの”にあるそうです。

「部活動を厳しいところでやって来てない人を見ると少しガッカリしてしまったり...剣道基準でしか判断出来なくなってしまってます(笑)」


「剣道は武道なので、スポーツではないんですよね。例えば、面一本入って『よっしゃー!』ってガッツポーズしてしまったら、それは取り消されるんです、試合では。『打って反省、打たれて感謝』っていう言葉があるくらいで、自分を戒めて、相手を慮る心が求められるんです。自分がそれを出来ているのかは難しいんですけど、最終的に求められるのは『人間形成』で、そういう部分が好きです。カッコいいと思います」

今年の2月の昇段試験で四段を目指す


「楽しさ」や「試合での勝敗」とは異なる充実感をもたらしてくれる剣道。張り詰めた緊張感が漂う寒稽古での伊藤さんの凛々しい姿に、剣道という武道に魅せられてしまった想いをひしひしと感じました。

伊藤三那子さんの『ここが最高!』


伊藤さんが剣道を続けてきたことで得た、もっとも大きな財産は「人と繋がれたこと」

「正直『楽しい!』と思える瞬間は無いかも知れません。でも続けてきたし、辞めてしまいたくはないです」


「中学から高校と進学する度に、剣道を辞めることも考えました。中学校の時は女子が1人でしたし。でも、やっぱり人との繋がりを切りたくなくて。剣道を通して色んな人に出会って、その人たちとの縁が切れてしまうのが寂しいんですよ。色んなものを得られたので。始めた時からどんどん拡がっています。それこそ剣道を通して外国人の友達が出来るとは思ってなかったです。すごい人生経験が出来ていると思います」

ピンクの刺繍が施された伊藤さんの竹刀袋


人との繋がりを最大の喜びにしながら、剣道を通して確実に『人間形成』を続けている伊藤さん。その一途な姿が最高です!

道場に集う


伝統のある道場。壁一面にかつて在籍した部員たちの名前が掲げられている


福教大剣道部の道場は一般にも開かれた場。「仕事行く前に来られる方もいらっしゃいますし、退職された方が来られる事もありますし、一桁の歳の子から、70、80を越えた方まで、国籍も様々です。どなたでも来てください!」(本多先生)

剣道を愛する想いで繋がる人の輪の中で、伊藤三那子さんの毎日は続いていきます。

将来は地元に帰って小学校の先生を。仕事をしながら、道場でかつての伊藤さんのような子供たちを指導出来れば、と考えている


山本真己

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