“東の軍艦島”になるか?東京湾に浮かぶ明治の人工島「第二海堡」

東京ウォーカー(全国版)

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第二海堡は“東の軍艦島”になるか?


大きく崩壊している箇所も


第二海堡の観光方式は、長崎県の端島、通称「軍艦島」と類似している。個人での上陸はできず、船会社・旅行会社が催行する上陸ツアーに参加する必要があるためだ。天候条件などで船が出せず、ツアーが中止になる恐れがあるのも共通している。

だが、観光の見どころはずいぶんと異なる。軍艦島にはかつて住民が生活していた住居や施設が今なお残されており、構造物の多さでは第二海堡をしのぐ。一方、第二海堡には完成当初から今に至るまで、基本的には民間人が立ち入ることができなかった施設であること、100年ほど前の土木技術を結集して作られた人工島という由来がある。さらに、破壊され施設のほとんどが朽ち果てている一方で、灯台やソーラーパネルなど、現在活用されている施設が島内に点在する光景は、第二海堡ならではの非日常感と言える。

滑り出しは好調、課題は催行スケジュール


今回同行したツアーには、平日にもかかわらず20名以上が参加した。船の定員や島内のガイドの都合上、一度の催行で動員できるのは約30名ほど。クラブツーリズムによれば、ツアー申込者は好調な滑り出しを見せているという。

だが、課題がないわけではない。一番の課題は、催行スケジュールが不確実ではない点だ。東京湾海堡ツーリズム機構の公式サイトでは、各旅行会社の第二海堡上陸見学ツアーのスケジュールを掲載している。だが、6月14日時点で掲載されている予定は7月末まで。観光地ではない第二海堡の場所柄、旅行会社のツアースケジュールが承認されるまでに時間がかかり、先々の予定を発表できないためだ。ツアー参加者にとっては、ツアー参加までの準備期間が短く、予定が立てづらいというデメリットに繋がる。

また、ツアーの催行は天候などの影響にも左右される。海が大荒れなら船が出せないため、第二海堡に上陸することができない。また、島内には屋根のある場所が存在しないため、気温の上がる夏には熱中症などのリスクも伴う。

クラブツーリズムによれば、ツアー催行までのスパンについては国土交通省などと調整を続けているという。また、夏場のツアーについては気温が比較的低い早朝ツアーを検討している。

【貴重写真】初公開の「第二海堡」島内を一挙撮影


軍艦島や、「監獄ホテル」として生まれ変わろうとしている奈良監獄など、明治から昭和にかけての遺構や廃墟はいまや観光の定番ジャンルとして認知されている。そうした廃墟観光のオールドルーキーと呼べる第二海堡。クラブツーリズムでは、横須賀・猿島も合わせて巡るツアーも催行している。もともと軍港として観光人気のある横須賀の街や猿島と第二海堡を組み合わせたプランが今後増えていく可能性もある。都心から日帰りで行けるというアクセス性の高さがあるだけに、ツアースケジュールの課題がクリアされれば、東京湾の新たな観光名所となるだろう。

国分洋平

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