現代の感覚に合う着物スタイルも提案してくれる「ヲジマヤ」
東京ウォーカー(全国版)
円頓寺商店街の名前の由来にもなっている圓頓寺の目前に建ち、120年以上この地で営みを続ける「きもの工藝 ヲジマヤ」。沖縄、与那国島の涼しげな織物「ドゥタテ」という着物を着て出迎えてくれたのは、五代目の伴野丘一さん。この町に生まれ育った生粋の「円頓寺っ子」であり、商店街の今昔を見守り続けてきたひとりでもある

「私が子供の頃の円頓寺は、“大人の遊び場”という雰囲気でしたね。パチンコ店からビリヤード場、釣り堀までなんでもあってとにかくにぎわっていました」と感慨深げに話す。

毎月第1土・日曜に開催される「着物日和」など商店街全体での取り組みが功を奏し、一時陰り気味だった街に、今再び活気が戻りつつある商店街。「円頓寺ってちょっとレトロな雰囲気でしょ?実はとても着物が似合う町だと思うんです。そういうシチュエーションのなかで昔から呉服屋をやらせていただいているわけですから、着物のことならなんでも協力しますよ」と伴野さんは語る。
円頓寺への出店は当時のステータス
「ヲジマヤ」のルーツをたどると、愛知県一宮市の造り酒屋に行き着く。創業時は酒造りを生業としていたが、1891(明治24)年に起こった濃尾地震により、酒蔵が倒壊。初代が一念発起し円頓寺に移り住み、呉服屋を創業したのだという。

「造り酒屋から呉服屋への鞍替えは異例なことだと思いますが、繊維業が盛んな一宮にあったことも背景にあるのかもしれませんね。その点、実はよく分かっていない部分も多いのですが、“円頓寺に店を構える”というのは当時ステータスだったと聞いています」。かつて名鉄瀬戸線の終着駅があり、大須と並ぶ一大繁華街であった円頓寺の町。その華やかさが伝わるようなエピソードだ。
老舗の格式を守りつつ、新しい着物との付き合い方も提案
ヲジマヤは円頓寺商店街に現存する店舗の中では、最も長い歴史を有する老舗。「伝統的な織物の文化を残していきたい」と店主が語るように、結城紬や黄八丈など美しい着物を京都から仕入れている。なかには車一台購入できそうな価格の一反も多く、思わず目を見張る。

その一方でかわいい動物やカラフルな果物のイラストが描かれた帯など、思わず手に取りたくなる商品にも力を入れているという。「日常的に着物を着る時代ではないので、若い方にも気軽に親しんでいただけるよう心掛けています。伝統的な着物にポップな帯を合わせるなど、新しい着物の楽しみ方も提案していますよ」と伴野さん。

店先には和をモチーフにしたポップな手ぬぐいなど小物もディスプレイされており、敷居が高いと思われがちな老舗の呉服店のイメージを和らげている。
「ドレスコードではなく、もっと自由に着物を楽しんで!」
円頓寺商店街では毎月第1土・日曜に、「着物日和」というイベントを開催。着物を来て商店街内の協賛店舗を利用すれば、サービスや割引を受けられるというものだ。レトロな雰囲気が漂う円頓寺商店街はもちろん、古い町並みが残る四間道(しけみち)界隈も着物での散策がよく似合う。

「『着物日和』のように着物に親しむ機会があるということは、とても素晴らしいことだと思います。町歩きはもちろんですが、美術館やお芝居、歌舞伎、落語など、“行きたい場所”に着物を着て出かけていただきたいですね。結婚式などドレスコードがあるときに着物を着ることが多いと思うのですが、“自由に着る”ことで楽しみが格段に広がりますよ」
ヲジマヤでは比較的カジュアルに着られる着物も販売しているので、伴野さんのアドバイスを頼りに、日常に着物を取り入れてみてはどうだろう。
※きもの工藝 ヲジマヤはAmexとJCBの地元を応援するプログラム「SHOP LOCAL」参加店です
【構成=CRAING/取材・文=安田淳(しらかべ企画社)/撮影=小塚清彦(ホープクリエイティブ)/ウォーカープラス編集部】
CRAING
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