影山貴彦のテレビのホンネ。柔軟なしなやかさが魅力、新しき京都「京都知新」
関西ウォーカー
本来の目的(点)から新しい線や面が広がる。しなやかで新しい京都の魅力を感じる
語り尽くされた感もあるエスカレーター「右寄り」、「左寄り」問題。何より記しておく必要があるのは、現在安全面から推奨されている乗り方は、片側に寄らず、手すりを持って「歩かない」スタイルだ。事故を防止するためにも、是非浸透して欲しいと強く願うが、片側に立ち、急ぐ人のために一方を空ける人が依然多い。
多くの地域で「左寄り」だが、関西では「右寄り」が一般的なのは、皆さんご存じだろう。だが京都駅、および周辺駅等のエスカレーター事情は少し違う。京都では、かなりの確率で「左寄り」スタイルを見かける。海外を含め、遠方から京都を訪れる人がいかに多いかということだろうか。
大阪も多くの観光客が訪れるが、新大阪駅や大阪駅で「左寄り」に出くわすことはあまりない。先日、「大阪では右側に寄るんですよ」と、「左寄り」して乗っていた観光客に、わざわざ教えていた女性がいた。大阪の人らしい?自己主張の強さが出ているようで面白かった。京都の人は敢えてそんなことは言わず、前の人が左に立っていれば、素直に倣っている。ひょっとして京都の方が柔軟なしなやかさを有しているのかもしれない。
新しい京都を紹介する「京都知新」という関西ローカルの番組がある。本編12分だが中身は濃い。古き伝統が脈々と続く京都で、新たな挑戦を続け次の時代を担う職人や作家の仕事をクローズアップしている良質の番組だ。見逃し配信で、放送後1週間は視聴可能だ。先日、番組で紹介された黒染師の方のお店を訪ねようと思って出かけたが、途中、興味をそそる多くの魅力的な場所に遭遇してしまい、なかなか目的の店までたどり着けなかった。だが、それもまたとても楽しかった。本来の目的(点)から新しい線や面が広がる。京都はそんなしなやかな魅力にも溢れた町だと思う。

【著者プロフィール】影山貴彦(かげやまたかひこ)同志社女子大学 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」(実業之日本社)、「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。

関西ウォーカー
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