ディズニー・ハロウィーンの20余年の歴史、ハロウィン熱狂には惑わされず「誰もが安心できる場所」貫く

東京ウォーカー(全国版)

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イベント企画を担当する、オリエンタルランド リゾートクリエイト部の矢野奈保子氏


近年、10月の終わりともなれば、渋谷や池袋、川崎におけるハロウィンの過熱ぶりがテレビで報じられ、飲食店でもハロウィンフェアが展開されるのが当たり前となった。そんな昨今のハロウィン市場の盛り上がりに対し、20年以上前からハロウィンイベントを打ち出していた場所がある。それが、東京ディズニーリゾートだ。今や東京ディズニーリゾートでも、『ディズニー・ハロウィーン』は、一大イベントのクリスマスに肩を並べる存在感に成長している。そこで、株式会社オリエンタルランド リゾートクリエイト部の矢野奈保子氏に、東京ディズニーリゾートにおけるハロウィンイベントの移り変わりを振り返りながら、昨今のハロウィン市場や、その盛り上がりなどについて、どのように捉えているのか話を聞いた。

「受け入れてもらえるか…」不安を胸に1997年にスタートした『ディズニー・ハロウィーン』


1997年 東京ディズニーランド ハッピーハロウィーン・パンプキンパレード(c)Disney


20年前、日本人は10月31日をどのように過ごしていただろう? おそらく、街がホラーコスプレイヤーであふれかえっている光景など誰も想像もできなかったのではないだろうか。一方、日本においてまだまだ文化が浸透していなかったハロウィンを、東京ディズニーリゾートではいち早く取り入れていた。ハロウィンプログラムが開始されたのは、今から22年前、1997年10月31日のこと。なぜ、日本では認知度が低かったハロウィンを取り入れようと思ったのだろうか。

 


「1997年当時は、『ディズニー・ハロウィーン』は、今のような季節イベントではなく、10月31日にトゥーンタウンでのみ行なわれる単日プログラムでした。当時の担当者によると、東京ディズニーランドのオープン初年から行なわれていたクリスマスイベントが好評だったこともあり、社内では『1年の中でもっといろいろな東京ディズニーランドの楽しみ方ができたらいいよね』『クリスマス以外にも“季節“を感じられるイベントはないだろうか』と、ハロウィーンの実施に至ったようです」

1997年 東京ディズニーランド(c)Disney


記念すべき第1回は、10月31日にトゥーンタウンでのみ、とかなり限定的に開催された『ディズニー・ハロウィーン』。当時は、事前に募集した参加者が、仮装パレードやフォトロケーションを楽しみながら、「トリック・オア・トリート!」とあいさつをして楽しんでいたという。

しかし、このディズニー・ハロウィーンの実施にあたり、当時オリエンタルランドの社内では、不安の声も上がっていたという。

「クリスマスを過ごす人が一般化していたのに対して、ハロウィーンの浸透具合は一般化しているとは言い難い状況でした。だから、まずはハロウィーンを知ってもらうところから始まりました。そういう意味では、秋を感じてもらうイベントにハロウィーンを選んだことは、かなり挑戦的な選択だったと思います。当時の担当者たちは、参加する方に楽しんでいただく方法を模索しながらも“本当にうまく行くのだろうか”と不安な気持ちを完全にぬぐいきることはできなかったといいます」

開始から20余年。クリスマスと肩を並べる人気イベントに成長した理由とは


仮装ゲスト 撮影:2003年(c)Disney/Pixar


しかし、そのような不安とは裏腹に、初回の開催から3年後の2000年、ディズニー・ハロウィーンは1か月にわたって開催されるイベントとなった。その後、2002年からは展開エリアを拡大し、パレードもスタート。ハロウィンの理解促進を図ることを目的とした、「トリック・オア・トリート」や仮装ゲスト受け入れ、スタンプラリーやフォトコンテストを開催するなどのイベントを通し、徐々にその認知度を上げていき、昨今では東京ディズニーリゾートの1年を語る上で欠かせないイベントにまで成長した。今年も『ディズニー・ハロウィーン』は10月31日まで実施中。今年は東京ディズニーシーのイベントが一新され、「ダークで妖しいハロウィーンの祝祭」をテーマにした新ショーを公演中で、10月後半に向けて更なる盛り上がりを見せている。

「『ディズニー・ハロウィーン』は、昨今ではクリスマスに肩を並べる存在にまで成長しました。実際に当社の決算を見てみても、ハロウィーンイベントの盛り上がり以降、10~12月期の数字の伸びはかなり大きい印象です。」

今でこそ、参加する人も増えたハロウィン。しかし、一昔前までは目立つことや仮装をすることそのものに抵抗がある人が多かったのも事実である。そのような逆風の中、東京ディズニーリゾートにおいて、仮装しながら楽しめるハロウィンを広められたのは、いったいなぜなのだろうか。

「あくまでも東京ディズニーリゾートの中での話なのですが、やはりパークで大好きなディズニーキャラクターになりきって過ごせるということは、東京ディズニーリゾートでしかできない楽しみ方だからだと思います。実際に、仮装でパークを楽しめる日にはたくさんの方が訪れますから、仮装ゲストの受け入れ日数は近年増加傾向にあり、2017年度からはイベント期間中、毎日仮装ゲストを受け入れることに踏み切りました。ハロウィーンイベントの盛り上がりに呼応するかのように10~12月期の決算は、他の期と比べて、かなり大きな数字をマークしている印象です」

ハロウィンイベントの過熱には惑わされず「ディズニーでしか楽しめないハロウィン」を追求



2009年からは東京ディズニーシーでもハロウィンイベントをスタート。およそ3年周期でプログラムを時代に合わせて一新。22年の月日の中で、『ディズニー・ハロウィーン』が姿を変えてきたのと同じように、日本におけるハロウィンの立ち位置もかなり大きく変化した。10月にもなれば、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、飲食店ではハロウィン限定のスイーツや食品が並び、バラエティーショップでは当たり前のように仮装アイテムが販売され、毎年10月31日には全国各地で思い思いのハロウィンイベントが開催されるのが珍しくなくなった。このような市場の盛り上がりを受けて、『ディズニー・ハロウィン』は今後どのようになっていくのだろうか。

「日本におけるハロウィーン市場そのものが盛り上がっていることは、もちろん認識しております。しかし、ハロウィーン市場のトレンドを直接的にディズニー・ハロウィーンに取り入れようとは思っておりません。それよりも、市場の動きを把握した上で『東京ディズニーリゾートでしか楽しめないハロウィンとは何か』ということを日々追究しております」

あくまでも市場の過熱ぶりとは切り離し、ディズニーでしか楽しめないハロウィンを追究していると明かす。最後に、“ディズニーらしいハロウィン”とは何なのかを教えてもらった。

多様化するハロウィンシーンの中でも、「誰もが安心できる楽しさ」を提供したい


2019年、東京ディズニーシー(編集部撮影)(c)Disney


2019年、東京ディズニーシーではプログラムを一新。「ダークで妖しいハロウィーンの祝祭」をテーマにしたプログラムを開催している。

「誰もが楽しめるハロウィーンであるということが、キーポイントだと思います。昨今のハロウィーンの盛り上がりを見ていると、お子さまにはお子さまの、大人には大人の楽しみ方があるなと感じるのですが、私たちが提供したいのはあくまでも年齢層やターゲットを絞らずに誰もが安心して楽しめる場所。だからこそ、過去実施したヴィランズがテーマのイベントにせよ、今年の東京ディズニーシーの新イベントのように“ダークで妖しい”というテーマであるにせよ、ただ怖いハロウィーンではなく、ディズニーらしいハロウィーンというのを意識しています」

今年は美しい海の魔女が登場。ミッキーが囚われてしまい…(c)Disney


「また、昨今では私服をディズニーキャラクター風に着る“ディズニーバウンド”や、お友達とのリンクコーデ、アトラクションに乗ることよりもお写真を撮ることを目的に来園する方が増えるなど、ハロウィーンの楽しみ方の広がりも感じています。気軽に仮装を楽しむ方から、本気でキャラクターになりきる方まで、“訪れた方の目的を限定せずに楽しめるハロウィーン”をこれからも提供し続けたいです」(矢野氏)

(c)Disney

於ありさ

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