常連になりたい!福岡コーヒーカタログ<六本松エリア編>

九州ウォーカー

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茶人のもてなしの心を喫茶に落とし込む「珈琲ひいらぎ」


創業47年の「珈琲ひいらぎ」は福岡の喫茶でも古参の一つ。以前は護国神社前で営業していたが、ビルの建て替えのため21年1月まで仮店舗で営業中だ。仮店舗といえども、扉を開ければ以前と何ら変わらぬ凛とした空間。壁にはマイセンやリチャードジノリなどヨーロッパの名門をはじめ、希少な大倉陶園のものまで美術品のようなカップがずらりと並び、まさに壮観。カップを選ぶひと時、そして繊細な口当たりを楽しむことも「ひいらぎ」の魅力の一つだ。

珈琲ひいらぎ / 最初に好みの濃さや苦味、酸味を尋ね、好みに合わせて抽出する


店主の小山元成さんは、京都宇治の製茶園の出身。「お茶の文化の中で育ったから、お客様を迎えて送り出すまですべてがもてなしだという茶人の考え方が基本。生花を生けることやコーヒーを淹れる所作、味わい、すべてを大切にしています」と小山さん。

【写真を見る】珈琲ひいらぎ / 「ブレンド」(950円・税込)。酸味はあるが尖っておらず、苦味はあるが雑味を感じない。カップは旧東ドイツのSPドレスデン製


抽出の作業を行うのは客の目の前。粉を見ると驚くほど多く、とても粗い。ミルに手を加えてさらに粗くしているそうで、1分ほどで湯を落としきる。「コーヒーの厚みを出しつつクリアで雑味のない味にしたくて創業時からこの手法です」と小山さんは言うが、これはまさに最新のエアロプレスなどのレシピにも通じる考え方。それを40年以上前から、自分の舌だけを頼りに導き出した感覚に恐れ入る。また、濃いめを希望すればグラム数を増やして抽出もゆっくり行うなど、客本位のサービスを徹底している。

珈琲ひいらぎ / BGMはクラシックのなかでもバロックのみ。イムズには息子が営む「Koyama Coffee」がある


[珈琲ひいらぎ]福岡県福岡市中央区六本松3-11-41 えいりんビル2F / 092-731-1938 / 11:00〜22:30 / 月曜休み(祝日の場合翌日)

日本一の焙煎士が蓄積した“最高”を味わう「COFFEEMAN Roasting & Planning Café」


16年2月開店と聞くと、まだ約3年半しか経っていないのかと思うほど、街に溶け込んでいる。開業当時から、「まずはこの街に根付きたい」と話していたオーナーの江口崇臣さんの芯はずっとブレていない。

COFFEEMAN Roasting & Planning Café / 焙煎機に向かう江口さん。将来的には焙煎スタッフも育成していきたいと話す


江口さんは「豆香洞コーヒー」で焙煎の腕を磨き、自身も14年のジャパン コーヒーロースティングチャンピオンシップで日本一の栄冠を獲得した、国内トップクラスの焙煎士の一人。「競技会に出場する一番の理由は自身の技量や知識で足りない部分を客観視するため。なので、日本一はあくまでも副産物」と江口さん。その考えに基づき“日本一”を生かしたプロモーションは積極的に行っていない。

COFFEEMAN Roasting & Planning Café / 「3.8」が浅、「5.0」が中、「6.4」が中深と、数字で焙煎度合いを表現したブレンド。シングルオリジンは常時2種を用意


さらに「日本一を獲得して、通販をやっていないのは僕ぐらいかと。開店してからずっとですが、目の前のお客様に最高のコーヒーをお出しすることに注力しています。と言えば聞こえはいいですが、今の僕の技量だと、これが精一杯というのが本音です」と笑う。輝かしいタイトルをもつ焙煎士の“本気”が詰まった同店。特に浅~深煎りの4段階を用意するブレンドが柱で、どれもバランスに秀でている。まずは好みの焼き加減のブレンドで、江口さんの焙煎の技術に触れてほしい。

COFFEEMAN Roasting & Planning Café / 屋号にも掲げているように喫茶スペースはコーヒー選びのプランニングの場として活用


[COFFEEMAN(コーヒーマン) Roasting & Planning Café]福岡県福岡市中央区六本松4-5-23 / 092-738-7051 / 8:00~20:00 / 月曜休み(祝日の場合営業)

飲む人の暮らしをイメージして豆を焼く「Saredo Coffee」


約6年前に護国神社そばにオープン。オーナーの権藤恒一(ごんどうこういち)さんは“シアトル系”のコーヒーショップに10年勤めたバリスタだが、独立を機に焙煎にも着手。今では定番ブレンド3種類、シングルオリジン7種類に、月替りで登場するシーズナルブレンド1種類の常時11種類の豆を焼いている。

Saredo Coffee / ブレンドは100g580円(税込)、600円(税込)の2プライス。カフェインゼロのデカフェの豆も販売


そんな同店が目指すのは“日々の暮らしに寄り添う店”。飲む人を主役とし、暮らしの中でのさまざまなシーンを想定する。特に、飲み飽きないようブレンドした甘い余韻が特徴の「まろやか」、スイッチを切り替える時にピッタリな香ばしさ重視の「ほろにが」、スイーツと一緒に楽しんでもコーヒーの個性が負けないマンデリン使用の「ごほうび」の3種類の定番ブレンドは、同店のコンセプトを体現している。

Saredo Coffee / コーヒーゼリーの上に生クリーム、コーヒーグラニータをのせた「コーヒーパフェ」(700円・税込、コーヒー付き+380円・税込)。甘さはかなり控えめ


カフェ利用にも力を入れ、スイーツは10種類以上と豊富だ。コーヒーと相性のよい焼き菓子のほか、「ドリンキング・アフォガート」(650円・税込)など、コーヒーを使ったスイーツも用意する。なかでも、販売開始から2300本以上を売り上げている、自宅用の「アイスコーヒーリキッド」(850円・税込)で作る「コーヒーゼリー」(650円・税込)はコーヒーが苦手な人にもおすすめの一品。コーヒーの風味は残しながらも、すっきりとした味わいに仕上げている。大濠公園や舞鶴公園などからほど近い同店。散歩がてらテイクアウト利用するのもおすすめだ。

Saredo Coffee / テーブル席とカウンター席を備える店内。店があるのは警固から六本松に抜ける別府橋通り沿い。テラス席もある


[Saredo Coffee(サレド コーヒー)]福岡県福岡市中央区六本松3-11-33 エステートビル1F / 092-791-1313 / 11:00~20:00(LO19:30) / 水曜休み 

コーヒーの伝道師が作る純なる一杯「三和珈琲館」


六本松の交差点から桜坂方面へ向かう城南線の入口付近。グリーンの看板が目印だ。1974(昭和49)年、店主の井手一博さんが、世界中から選りすぐった豆を自家焙煎で提供する喫茶としてオープン。

三和珈琲館 / 「いいコーヒーは体にもいい」と提唱してきた井手さん。81歳になった現在でもゴルフでエージシュート(年齢以下の打数でまわること)を達成し、身をもって証明する


創業以来、豆の純粋なおいしさだけをカップに落とし込むことを大切にしている。そのため、生豆の状態で2回、焙煎後も2回にわたりハンドピックで欠点豆を取り除き、1粒の雑味も混じらない、最後の1滴までおいしい一杯を目指す。「いいコーヒーとは、1口目に香ばしく、2口目に強い甘味を感じ、3口目にまろやかな味わいと爽やかなあと味が残るものです。三和で飲んでコーヒーの概念が変わったという方もたくさんいらっしゃいます」と井手さんは語る。

三和珈琲館 / 店の片隅では常に豆の選別作業を行っている


生涯をコーヒーに捧げる井手さんらしいエピソードも。ある時、皇室で提供されているコーヒーの種類を耳にし、「もっとおいしいものを味わっていただきたい」と一念発起。そして豆、焙煎共に最高品質のコーヒーを作り上げ、皇室に数年間贈り続けた。そのインドネシアのセレベスカロシをベースとするブレンドは、「エンペラーズ・ブレンド」と名付けられ店で飲むことができる。そんな井手さん自らが教える「コーヒー教室」(2000円・コーヒー2杯付き・要予約)も開催。コーヒーの深淵な世界をのぞいてみよう。

三和珈琲館 / カウンターにはマイカップをキープしていた名残が。福岡市西区の今宿に2号店もある


[三和珈琲館(サンワコーヒーカン)]福岡県福岡市中央区六本松4-1-14 / 092-711-8735 / 10:00~21:30 / 年末年始休み 

コーヒーハンターが誘う未知なる喫茶体験「Mi Cafeto 六本松店」


世界各国、3000近くのコーヒー農園を知る男。世界最高品質の豆を追い求め“コーヒーハンター”という異名を持つJose.川島良彰氏は、コーヒー界では知らぬ者のいないレジェンド。その川島氏が、“コーヒーはフルーツである”ということを知ってほしいと、17年9月に九州初となる店を六本松にオープンした。

Mi Cafeto 六本松店 / ルイスポールセンの照明をはじめ、レザー張りのカウンターなど内装や器には徹底的にこだわり、上質な空間を演出


ミカフェートのコーヒー選びは栽培環境の優れた畑を探し出すことから。精選方法も銘柄ごとに果肉除去・乾燥などの工程を生産者と話し合い、もっとも美味しくなる方法をとる。豆のグレードや保存方法もまた独特。本物のコーヒーを作るためにはワイン同様、土壌のよさ、作り手の品質管理が重要。明確な品質管理基準のピラミッドを作り、その全てのグレードで美味しいコーヒーを提供する。保存する方法は酸素が透過しにくく、アロマ(香り)を維持するシャンパンボトルや特殊なペットボトルを採用している。

Mi Cafeto 六本松店 / その日の気温によっても抽出方法を微調整する


淹れるのは独自の認定資格を持つバリスタ。抽出は150㏄の抽出量に対し、ペーパードリップとしては多めの20gの豆を使用。雑味の元となる微粉を茶こしでこし、ウェーブフィルターを使い高温の湯で淹れることで、豆の個性的な香りを際立たせる。コーヒーが気に入ったらワインショップさながらのコーヒーセラーもチェックを。自宅でも世界を旅するような体験ができるだろう。

Mi Cafeto 六本松店 / コーヒーが並ぶガラス張りのセラーは壮観


[Mi Cafeto(ミ カフェート) 六本松店]福岡県福岡市中央区六本松4-2-2 六本松421 1F / 092-406-7441 / 11:00~19:00 / 水曜休み 

研究熱心な職人とコーヒー談義を「Fusuku Coffee」


名刺に書かれた肩書きは“株式会社賦句珈琲 代表取締役”。店主は、永遠のコーヒー少年ともいえる賦句孝司(ふすくこうじ)さん。ハンドドリップの抽出技術を競うジャパンハンドドリップチャンピオンシップでは、スタッフも含め2度も九州予選で1位に輝き、全国で3位入賞を果たすなど、コンスタントに結果を出している。

Fusuku Coffee / 豆の状態が見やすい朝の光の中、ハンドピックを行う賦句さん。福岡大学理学部化学科発の「コーヒーラボ」と共同で、コーヒーの抽出や味の研究も行う


「抽出ってお湯が豆を透過する際のスピードがかなり重要。豆にガスを多く含む深煎りは粉にした時にお湯が通る“道”ができるのでゆっくり注ぎ、逆に浅煎りは膨らみにくいので勢いをつけて攪拌させるんです」と賦句さん。しかも日によって豆の膨らみ方は変わるので、片時もドリッパーから目を離さない。

Fusuku Coffee / ブラジルやグアテマラ、エチオピアの豆を使った「フスクブレンド」(500円・税込)。小石原の鬼丸雪山窯に特注した「香るカップ」で提供する


通常、カウンター内にあるエスプレッソマシンもここでは客席側に置かれている。それは「ラテアート体験」(3000円・税込※要予約)を体験した客は、いつでもそのマシンを使って自分で抽出し飲めるため(1回250円、ミルク使用300円・各税込)。また、ペーパードリップも定番のハリオV60をはじめ、ボナビータなどマニアックなものからも選べる。「コーヒーについて語り合いたい」という賦句さんの願いを形にした空間だ。新しいコーヒーの扉を開けてみよう。

Fusuku Coffee / お得なコーヒー回数券も販売


[Fusuku(フスク) Coffee]福岡県福岡市中央区谷1-12-30 / 092-406-7745 / 7:00~18:00 / 水曜休み 

暮らしの中に“おいしいコーヒー”を「トモノウコーヒー」


警固の「焙煎屋」出身の友納 理(とものう さとし)さんが営む「トモノウコーヒー」。古株の豆売り専門店で、コーヒー好きなら一度は名前を聞いたことがあるはず。

トモノウコーヒー / 物腰が柔らかい友納さん。18年前の開業時からコーヒーに対する思いはぶれない 


店があるのは目立つ場所ではなく、しかも看板に“自家焙煎”と掲げていない。理由は、コーヒー豆を気軽に買えるようなスタイルでありたかったから。友納さんは「僕は日常的に、気軽に豆を買いに来てもらえるような店にしたかった。そんな思いもあり、パッケージも明るい黄色にしたりして、とにかくカジュアルに楽しめるものということを前面に打ち出しました」と振り返る。

トモノウコーヒー / 生豆、焙煎後のハンドピックは基本と話す


専門店で豆を買い、家で楽しむ、現在では当たり前のスタイルをスタンダードなものにした店という意味でも“同店の存在なくして、福岡のコーヒー”は語れない。今もコーヒーを暮らしの一部に、という思いは変わらず、最も安価なハウスブレンドで100g550円と手ごろ。

“引き算の焙煎”と話すように、焼くことでどれだけの味わいを残すかに重きを置く友納さん。削ぎ落とす作業がなんでも難しいといわれるクリエイティブのセオリーを考えると、ますます同店の豆の味わいに興味がわく。

トモノウコーヒー / 明るい黄色のパッケージは開業時から変わらない


[トモノウコーヒー]福岡県福岡市城南区鳥飼5-13-11 1F / 092-851-1134 / 10:00〜19:30 / 日曜休み 

丁寧に、そして軽やかにもてなす“マスター”「そふ珈琲」


開業から7年、昼間は近くの女子大生から国内外の観光客、そして夜は常連と一見客が入り混じって憩うサロンのようなにぎわいを見せる。きちんとした材料を使って丁寧に作られたコーヒーやスイーツ、そして心地よい店内やサービスが調和した喫茶を、多くの人が求めていたことに気付かされる。

そふ珈琲 / 内装や調度のセレクトはイスの蒐集家として著名な永井敬二氏が手がけた


マスターの吉田大祐さんは岡山の名店「エスプリ珈琲店」で修業。修業店にならいブレンド名は「ほろにが」「かろやか」「にがみ」「さんみ」とひと目で味わいがわかるように。

また、以前は88℃の湯で淹れていたが近年はそれを少し下げた。「ブラックで飲まれるお客様も増えたし、もう少しマイルドな味にしたくて」と小さな課題を見つけては微調整を欠かさない。客と目線を合わせて会話できるようにカウンター内部を掘り下げたり(吉田さんは長身)、液が前に飛ばないようサーバーを手前に向けて注ぐなど、コーヒー以外の心配りも随所に。一度訪れたら、人々を虜にする理由がわかるはず。

そふ珈琲 / 「ほろにが」(500円・税込)と「プリン」(350円・税込)。スイーツは高級フレンチ「ラ・ロシェル」で菓子を担当していた妻の信乃さんの手作り


[そふ珈琲]福岡県福岡市城南区別府1-3-11 / 092-407-6474 / 13:00〜22:00 / 水曜休み 

九州ウォーカー編集部

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