ケンタッキーがなぜ「食べ放題」店を作ったのか本部に聞いてみた 日本上陸50年の意外な狙いとは?
東京ウォーカー(全国版)
ケンタッキーの50年、“赤字続き”の日本上陸当初から続く信念

来年2020年に、50周年を迎える日本ケンタッキー・フライド・チキン。その始まりは、1970年に開催された大阪万博に出店したことにあるというが、最初は逆風続きだったそう。
【新井さん】「今でこそ全国に1130店舗を展開していますが、50年前にオープンした1号店から3店舗目くらいまでは赤字続きでした。当時の日本にはまだ素手で食べるという文化が定着していない上に、フライドチキンというカタカナの食べ物になじみがなくなかなか受け入れていただけなかったそうなんです。ただ”食べてみたら絶対においしいとわかってもらえる”ということを当時の創業メンバーは信じていたので、時には無料で試食してもらったりしながら少しずつファンを増やしていって4店舗目ができた頃くらいから手応えを感じ始めたそうです」

「4店舗目から出店形式を変えたと聞いています。アメリカのモータリゼーション文化にならい、日本でも郊外の車が止められるところに店舗を作ったのですが、当時の日本はまだ一般家庭の車の所有率も高くなく、来店のきっかけを狭めてしまっていたそうです。そこで4店舗目は車がなくても行ける、いわゆる商店街の一角にオープンしたのですが、その結果“一回食べてみよう”という方が気軽にお越しいただけるようになり、リピーターが生まれ、ケンタッキーの認知度が広まったといわれています」
世の中にケンタッキーが広まった理由のひとつに、「クリスマス」との相性もあったという。

【新井さん】「1974年からクリスマスの施策も始めました。日本人がなぜクリスマスにKFCに行くようになったかは諸説ありますが、ひとつは日本にいた外国人が日本に七面鳥がいないから仕方なくKFCのフライドチキンを食べたという話から。もうひとつは日本KFC当時の社長がクリスマスイベントにサンタクロースの格好をしたところ、みんなが喜んでくれたのでこれはチャンスだと思って、クリスマスはケンタッキーで、という施策を仕掛けたという話です。いずれにしても西洋の文化がどんどん取り入れられていくタイミングで、KFCが良い提案が出来たということかなと思います。それから約10年後の1985年にはパーティバーレルが誕生しています。創業から15年で、今と同じように” クリスマスといえばケンタッキー”というブランディングが定着したのは、ケンタッキーが認知度を広げる上で大きなきっかけだったかなと思います」
「クリスマス=ケンタッキー」は日本だけ!? 50周年を機に“特別感”から脱却し身近な存在を目指す

【新井さん】「実は、クリスマスにこんなにケンタッキーが混雑するのは世界中で日本だけの特殊な事例。あまりの物珍しさに、日本を訪れた海外の方がクリスマスに行列ができているケンタッキーの写真を撮っている光景も見られるほどです」
「ただ、50周年を迎えるにあたり、その伝統的なクリスマスブランドが逆に確立しすぎてしまったことは課題だと感じることもあり、もっと“日常的な存在”になりたいなと思っています。ケンタッキーといえば、クリスマスやお正月など”ハレの日”に食べるものというイメージが強く、現状は年間2回くらいの利用頻度というお客さまがすごく多いです。これからは、ブランド全体を元気にしていくこと、もちろん“ハレの日”にも楽しんでいただきながら、お客さまにとってもっと日常的にご利用いただける存在になれるよう、まずはケンタッキーのチキンのおいしさに気づいてもらうためのきっかけづくりをしていきたいなと思います。今回の南町田グランベリーパーク店のオープンは、そのためのレストランスタイルなのです」

新井さんは、「ケンタッキーのコールスローサラダをチキンに載せるとさっぱりしておいしい」「スープカリーとチキンもいいですよ」「お酒のおつまみに」…と、意外なおいしさを取材陣に紹介してくれた。体験型店舗「KFC Restaurant 南町田グランベリーパーク店」は“特別なお店”ではあるが、伝えたいことは、“特別でない日”の家庭での楽しみ方だった。50年目で盛り上がるケンタッキー、2020年はフライドチキンの新しい楽しみ方に挑戦してみてほしい。
於ありさ
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