「どうしようもない男をどう作るかが勝負」。舞台「トゥルー・ウエスト」で無学で粗雑な兄を演じる内野聖陽に直撃!

関西ウォーカー

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

舞台「トゥルー・ウエスト~本物の西部~」のキャンペーンで、内野聖陽が来阪。アメリカの劇作家で、映画「デンジャラス・ラン」に出演するなど俳優としても知られるサム・シェパードの名作だ。粗暴で無学な兄と、成功した脚本家で堅実な弟、そこにハリウッドのプロデューサーと母親が絡む4人芝居。5年ぶりに会った兄弟の葛藤と生き様が、不在の父親への思いを交えて激しくぶつかり合う。内野とガップリ四つで弟を演じるのは、TEAM NACSの音尾琢真。演出は、本作品のためにオフ・ブロードウェイで活躍するスコット・エリオットがニューヨークから初来日。7月、内野“まさあき”から内野“せいよう”へと呼び名を変えた内野が、作品への意気込みを語った。

Q:なぜ名前を変えたのですか?

「“せいよう”と呼んでいた人があまりに多すぎて。これは変えろと言われているのかな、と(笑)。“まさあき”って読みにくいみたいで、前から“せいよう”の方がいいな、と思ってたんです。みんなが一致する方がいいしね。でも、“ウッチー”って呼んでる人もいるし、“マサ”って呼んでる映画監督にも『そのままでいいです』って言いました(笑)」

Q:作品の印象は?

「企画を頂いた時、おもしろい会話劇だな、と思いました。短いセリフで進んでいく中で、兄弟の立場がめまぐるしく変わっていく。2人の会話の根が深いんです。シニカルだったり、持って回った言い方だったり。笑いながらイヤミを言い、傷つけ合う、心理作戦みたいなところがオモロイなと。兄と弟は極端に対照的なキャラだけど、一人の人間の中に同時に内在する性質みたいな感じもする。血液型のAB型みたいな。ほとんどコントのような掛け合いがあったりして、おもしろいんだけれど、芸術性と娯楽性への批判眼とか、ハリウッドのショー・ビズへの皮肉も込められたりして、見ていて飽きないと思いますね。アメリカの演劇の翻訳版だけれど、日本人に普遍的なところがいっぱい詰まってる。フーテンの寅さんのようなうっとうしい兄貴が帰って来て、兄弟で殺し合いになりそうな危険な瞬間があったり。捉え方としては、『トゥルー・サムライ』か? みたいな感じで捉えるとわかりやすいかなぁ(笑)。アメリカ産だけど、日本人のお客さんの心に届けたい。サムの描きたかったものは、客席に座って観た方が、よく見えるんじゃないかな」

Q:音尾さんとの共演はいかがですか?

「映像で2回一緒にやっていて、気遣いしなくていい人なので、徹底的にやるだけです。舞台でも共演は初めてですが、彼もTEAM NACSで舞台に慣れてるし、同じリングに上がっている者同士、戦いがいがあります。兄弟の表面に出ていない、2人の心の裏をえぐっていかないと。この作品は、笑える会話劇だけど、サム・シェパードのいろんなメッセージが読み取れます。そこが観る者をワクワクさせるんじゃないかと思うんです。見ごたえがあり、実におもしろかったと言われるような舞台にしたいので、今は台本の根っこの部分を執拗に探っています。リーの心の闇を探る時間はとても大事。観てる方が、スッと入っていけたけど、食後感がガツンと来たぜ、みたいな舞台が理想だねって言っているんです」

Q:では、リーへの取り組み方は?

「荒くれ男で、無学で武骨で、砂漠に住んでる泥棒同然の犯罪者。弟が持つ有名大学出の学歴や、品行方正さというものを一切持っていない“規格外”男。得体のしれない、ヘンな存在感のあるキャラクターなので、それをどう出せるか頑張りどころです。演出家からは、見苦しい性癖をもっとたくさん考えて、と言われていて(笑)。自分の中には、社会の規範にあわせて生きている自分と、どこか相容れない暴れ馬的な部分の両方がある。その、制御しきれない方のイメージを大きくして、肉体化していけばいいのかな、と考えています。ボクはオースティンのように受験勉強もして来たし、いい人も演じてきてますけどね(笑)。でも今回は、いい子じゃない部分を投影させてます。その辺はおもしろいところでもあり、クールな視点がいるところでもありますね」

Q:役作りが日常生活に影響しませんか?

「例えば、怒りっぽい役をやっていると、怒りっぽくなるというのはあります。導火線が短くなっていく思考回路を体得していくプロセスでもあるので。近くにいる人に迷惑かけるのは良くないけれど、役の細胞が育ってきた証拠だからね。役者って、日常生活で役のキャラがふと出て来ると言うのはよくある事じゃないかと思うんです。舞台の『ベガーズ・オペラ』や『エリザベート』の時は、フェロモンが必要でしたから、いかにすれば全身からエロスがにじみ出るかに腐心していました(笑)。どういう動き、どういう呼吸、どういう目の使い方。魅惑、誘惑、カモンベイビー!(笑)みたいな発想している時は、そうなっていきますね。」

Q:今回、楽しみにしていることは?

「旅公演!(東京・大阪・福岡・広島・名古屋・仙台・北海道を巡演)。全国で、大阪の劇場は反応が一番はっきりしてる気がします。お金払ったから楽しませてね、と積極的に楽しもうとする気持ちがストレートに伝わってくる。今回、大阪の人たちに、そこはかとないコミカルさが、どう受け入れられるかな。嫌われちゃったら、どうしよう(笑)。大阪で行ってみたいところは、通天閣の下あたりで、おじさんがいっぱいで飲んでるところ。そういう臭いや空気が東京には最近あまりないから、行ってみたい。それから箕面にある温泉。若い人があまりいなくて、おじさんが多いけど、確実にいいお湯。大好き(笑)」

Q:大阪で必ずすることってありますか?

「お店は、みんなと誘われたところに行って、あぁ美味しいねって。…必ず行くお店ってないですねぇ。川っぷちではよく走ってる。川っぷちに行って、ハードロック聞いて走ってます。劇場入る前とか、舞台がはねた後とか、飲みに行く前の時も。必ず毎日行ってますね。トレーニングと余剰カロリーを燃やすためです(笑)。筋肉使わないと、余計に疲れてしまうので、ちゃんと筋肉使って、疲労物質もちゃんと全部流す。逆に、それをやらないとダメですね。ボクはホテルに泊まる時、フロントの人に必ず聞くんです『川べり、ありますか?』って(笑)。ウェアも、マイスニーカーも、もちろん持ってきますよ」

【取材・文=ドルフィン・コミュニケーション】

この記事の画像一覧(全3枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

いちご狩り特集

いちご狩り特集

全国約500件のいちご狩りが楽しめるスポットを紹介。「予約なしOK」「今週末行ける」など検索機能も充実

お花見ガイド2024

お花見ガイド2024

全国1300カ所のお花見スポットの人気ランキングから桜祭りや夜桜ライトアップイベントまで、お花見に役立つ情報が満載!

CHECK!今が見頃の花見スポットはこちら

ページ上部へ戻る