【WEB連載：はーこのSTAGEプラスVol.12】大注目！イケメンちゃうけど、いっぺん見たって！「梅棒」大阪公演

【「梅棒」って知ってる？】

多分、知らんよね。でも今、ギョーカイで大注目の、男ばかり12人のダンスチーム。ダンス、確かにダンスやけど、カテゴリーとしては演劇やね。オリジナルの物語を、シーンごとに繰り出すJ-POPの音楽に乗せ、ジャズダンスで表現する。基本的にセリフはなし。しゃべらなくても、セリフが聞こえるように感じるんだな、これが。観てるだけでわかる、伝わる、笑える、泣ける。“ダンス×J-POP×演劇”とゆ～、新たなエンタメの登場だっ！

【これまでの「梅棒」】

もとは、日本大学芸術学部演劇科にいた伊藤今人（いとういまじん）が、ジャズダンスサークルで出会ったメンバー5人と2001年に結成。Mr.Children「彗星」でサッカー部の恋愛と青春を、ゆず「REASON」で父娘の愛情を、大黒摩季「熱くなれ」で火の用心（笑）をと、1曲約5分で描く。09年以降、“演劇×ダンス”を武器にダンスコンテスト荒らしを続け進撃、12年に日本一に。同年、初の舞台公演「スタンス」で演劇界デビューし、満員御礼の大好評。14年の「ウチの親父が最強」で、ギョーカイ人が食いつき、パルコ劇場でも公演した。同年11月の「男なら、やってやれ！！」は、大阪でHEPホールを完売させ、福岡にも参上。14年に年間総動員数10,000人を達成し、勢いを増して、いま快進撃中！

【今の「梅棒」】

伊藤今人が作・総合演出。メンバーは、ダンサー、俳優、デザイナー、商社マン、カメラマンらで構成。物語は青春もの、スポーツものが梅棒によく似合う。創作は、伊藤が最初に台本のプロットを作り、曲を決め、振付はみんなで。ストリートダンス、ミュージカル系のジャズダンス、おもしろい振付、きれいな振付など、メンバーそれぞれが得意とする振付を曲のテイストに合わせて担当を振り分け、場面を創作、伊藤が全体を調整して作り上げる。今回、8月にキャンペーンで来阪、話を聞いた。

「基本的に5分間のダンスショーが創作のメインでした。ダンスの世界ではセリフが使えないので、1曲のJ-POPでパフォーマンスを見せる時には、なるべくわかりやすい、ストレートな題材が大事だったんです。ボクらは少年ジャンプの黄金期に育ち、漫画やアニメなどから大きく影響を受けているので、中学2年生の男の子が想像するような世界そのもの。J-POPもアニメの主題歌とかで一緒に覚えていました。必ずしも曲が先行ではないんですが、まず1番使いたい曲があって、そこから物語がぶわ～っと広がって行くことが多いです。演劇が1時間半あって、その間ずっと曲が鳴っていると思っていただければ」

【「クロス ジンジャー ハリケーン」のこと】

4回目の公演のタイトルは「クロス ジンジャー ハリケーン」。物語は、とある島の住人たちが集う神社が舞台。そこへ、都会から人間関係に傷ついた若く美しい女性がひとり旅でやって来るが…。恋と友情の青春物語を、J-POPのヒット曲に乗せ、ノンストップで踊り魅せる。

「今回はスパイスとして、しゃべるシーンを入れています。約1時間半の作品にJ-POPは、ジュディ・オングから今の若い子がキャ～って言うような曲まで23曲。幅広い世代に、誰にでも受け入れられるエンターテインメントが僕らの特長のひとつだと思っているので。これまで客演や女性キャストを入れて3回公演までやってきたんですが、4回目の今回は初めて12人の男性だけ、梅棒のメンバーだけでやります。交じりっけのない梅棒らしさを感じていただけると思いますよ。女役も当然男がやりますし、バカバカしくてくだらないけど、熱くてちょっとグッとくるみたいな、男の子ならではの熱さを感じてほしいです」。

【ダサかっこいい、マジかっこいいダンスにキャ～！】

芝居のオープニングをダンスで盛り上げる。物語の途中で急にダンスが入る。そういう演劇でよくあるダンスの使い方ではなく、演劇と音楽とダンスがめっちゃ自然に融合する。そして、わかりやすいし、おもしろい。活躍している人気のダンス集団は数あれど、どことも違う魅力がある。「まったく違うのは、イケメンじゃないところ（笑）」と伊藤。

これまでは1人が何役も演じてきたが、今回は基本的にひとり1役。12人のメンバーの中からお気に入りの誰かが見つけられる、いい機会だ。お客さんは、キスシーンで「キャ～！」。ダンスファンが多いからか、盛り上がりがハンパない。こういう舞台、関西人は好きやね、絶対。百聞は一見にしかず、ま、いっぺん観て！

「舞台は初めて、ダンスは初めて、という人でも楽しめるのがウチらの強み。友達をふわっと誘って来てください。親子でも、親子孫の三代でもぜひ！（笑）」

【取材・文＝演劇ライター・はーこ】