ホラーが苦手でも楽し!「貞子vs伽椰子」白石監督に聞く

関西ウォーカー

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6月18日から公開中の映画「貞子 vs 伽椰子」。Jホラーの2大キャラクターが激突するとあって、注目を集めている。今回はトークイベントで大阪を訪れた白石晃士監督に、映画について話を聞いた。

―公開から約1週間、ネットでの反応も上々のようですが、手ごたえはいかがですか?

白石 わりと予想された反応ですが、私としてはもっと伸びてくれたらいいなと。これからもっと追い上げてたくさんの人に見ていただけるとうれしいですね。

―この作品を撮ることになった経緯は?

白石 エイプリルフールネタで「貞子vs 伽椰子」があるかも、というネタが出されて、それをやるなら「私でしょ」と思っていました。でも、本当に来るとは思っていませんでしたよ。オファーをいただいたときはよくぞ私を選んでくれた、という感じで「よし!」と思いましたね。

―その時にはどんな作品にしようと思っておられたのですか?

白石 お話をいただく前から、ちゃんとホラー映画にはしなきゃいけないと思っていました。貞子3Dはアトラクション性が強く、貞子3D2はファンタジー性が強い印象でしたが、それをちゃんとホラーのテイストに引き戻す必要性を感じていました。

なおかつ「貞子 vs 伽椰子」というこのタイトル自体がお祭りなので、ホラーテイストはありつつ、お祭りを入れなければならない。タイトルを聞いたときにいろんな人が「何だそれ、おもしろそう」と思う、テンションの高まりがそのまま映画になっているような感じがいいなとは思いましたね。このあたりは貞子と伽椰子の対決に向けて、みんな「待ってました!」みたいになって、対決の瞬間「よッ!」とこぶしを握りたくなるような、テンションの高さを出したいと考えていました。

―二人の対決の構想はどのように決まったのですか?

白石 私が携わる前の企画段階で既にプロットがあり、両方が対決して消滅するプランが考えられていました。そのあたりの原型は生かしつつ、物語を作っていきました。

―元の企画に監督テイストが加味されたわけですね。その他に、監督テイストが強く出ているところはありますか?

白石 人間のキャラクター作りですね。登場人物はみんな結構好きなキャラクターですが、中でも大学教授の森繁(甲本雅裕)が好きですね。呪いのかかった女子学生の相談相手になるけれど、助けるというよりは自分の文化的関心で動いているところが人間的で好きです。甲本さんは森繁のキャラクターやセリフについてどんどん意見を出してくれて、セリフを書き直したりして、今の形になりました。そのおかげで彼のキャラクターがすごく面白くなりました。間違いなくふくらみましたね。

―そのほかのキャラクターも個性的でした。(呪怨の)俊雄君はコミカルな要素が強まったように見えましたが。

白石 特にコミカルな意図はありませんが、これまでの俊雄君より少し大きくなっています。これは子役が彼しかいなかったからですが、今回の俊雄君は今までよりアクティブに人に襲いかかります。私自身が俊雄君は結構動き回って激しく攻撃するキャラクターだと思っていたのですが、過去にはそういうことはありませんでした。完成後に「俊雄がずいぶんアクティブに動きますね」って言われて、激しく攻撃するのは思い込みだったみたいです(笑)。

―経蔵・珠緒コンビはネットでもイラストをアップしている人がいたりして、人気ですね。

白石 あの二人はアニメチックなキャラだと認識されるようで、アニメ好き、マンガ好きな人がオリジナルのシチュエーションでイラストを描いたりしていておもしろいですね。もともと(手塚治虫の)ブラックジャックとピノコをイメージしていたのでそういうこともあると思います。スピンオフとか、KADOKAWAさんに企画があれば、ぜひアニメにしてほしい。その場合、私はキャラクターの印税が入ったりするのかな。監修とかさせていただければうれしいですね。

―ヒロインの有里を演じる山本美月さんは「監督からホラー映画の見せ方の基本を教えてもらった」と話していました。例えば、手に髪の毛が付いたら、いったんそれを見せてから叫ぶとか。

白石 ホラー映画にはどうしても手続きというか、情報の出し方、順番があるので普通の芝居だけでやっているとお客さんとのコミュニケーションが取れなくなります。情報の見せ方の順番があるので、そこを伝えました。また、心でおびえていても表面に出ていないと、それほど怖がっていないように見えてしまう場合があります。芝居はお客さんとのコミュニケーションなので、終盤の呪いの家のシーンなどはかなりオーバーに叫んでもらったりしました。

―どのような演技指導をされたのですか?

白石 もともとあまり細かい指導はしませんが、その場面について「どう思いますか?」と聞いて、彼女の自然な気持ちの流れを大切にしながら、それをエンタテインメントとしてお客さんとコミュニケーションがとれるような内容に調整するよう努めました。これは山本美月さんの場合だけでなく、だれでもそのようにしています。

―4DXでも上映されてますが、その演出はどのようにされたのですか?

白石 韓国の4DXのプログラムを作る会社に任せて、劇場でチェックして細かい部分を調整してもらったぐらいで、ほぼそのままでも素晴らしい出来栄えでした。見終わったら「あれはやりすぎでしょ」っていうぐらいテンションが上がります。「揺れすぎでしょ」とか「雨降らしすぎでしょ」とか(笑)。最初にユニバーサルのムービングロゴが出てくるんですけど、それに合わせて椅子が動くんです。「ここまでやるの?」という感じで最初から笑っちゃいました。

―劇場でしか体験できない演出ですね。最後に、読者にメッセージをお願いします。

白石 童心に帰れる映画だと思います。映画を見て、キャッキャいって楽しんでいただければうれしいですね。怖い部分は怖いけど、ある意味ちょっとした冒険映画だとも思っているので、そういう気持ちで楽しんでいただければ。ホラーが苦手な人でも楽しめる内容になっているので、ぜひ食わず嫌いせず見てください。

―ありがとうございました。

【取材・文=関西ウォーカー編集部 鳴川和代】

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