フィギュアスケート 今季期待のジュニア女子選手【後編】

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「トリプルアクセルの確率を上げたい」紀平梨花


トリプルアクセルで注目を集める紀平梨花。ショートプログラムの演技


トリプルアクセルへの挑戦が報道され、一躍注目を集める存在となった紀平梨花。その期待がプレッシャーになっていないかと案ずるのだが、本人は「注目されることは特にプレッシャーではありません。自分にできる限りのことをやるだけです」と意に介さない様子だ。今季、トリプルアクセルはフリー演技の冒頭で挑戦する。

「成功するかどうかはまだ分かりませんが、練習での確率も上がってきているので、成功するように頑張りたい」と意欲を見せた。

今回のショートプログラム、いつも以上に緊張したという。朝に公式練習がなく、久しぶりに滑る会場だったこともあり、6分練習でしか氷の感触を体験できなかったことが緊張につながったようだ。「冷静に6分練習に入れるように心掛けたい」と今後に向けてこの経験を生かしたいとのこと。

ショートプログラムは“ツィガーヌ”、初めて経験する、大人っぽい感じのプログラムだという。「振付のジェフリー・バトルに教えてもらったことをしっかり表現したい。もっと格好良く表現したい」とのことだ。

翌日のフリー演技、反省点の多い内容となってしまったようだ。トリプルアクセルについては、6分練習で綺麗に成功させたのだが、

「6分間の感じではコツがつかめて行けそうだと思ったんです。ただ本番で決めるのは難しい。もっと確率を上げて、ジュニアグランプリで決めたい」

本番でのアクセルの失敗の際、ゆがんだ感じの転び方をしてリズムが崩れたという。それが尾を引き、この日はミスの多い演技となってしまった。しかし驚くことに、トリプルアクセルによるスタミナの消耗は気にならないという。

「トリプルアクセルを入れることによるスタミナの消耗は心配していません。そこまで疲れないようになってきました。ただ、トリプルアクセルの失敗が気持ちを左右するところがあります。精神的な面を鍛えないといけないと感じています」

普通であれば、冒頭で大技を失敗するとかなりのスタミナを消耗するはずだ。それが気にならないレベルのフィジカルを既に身に着けているとすると、否が応にも将来への期待は高まる。そしてメンタル面の成長のためにどうすれば良いか、彼女はすでにヒントを掴んでいるようだ。

「アイスショーで学ぶことが多いと感じています。そこで学んだことを試合でも出せるようになりたい。緊張し過ぎても良くないし、あまり考えなさ過ぎても良くない。集中して、でも緊張もなく、ひとつひとつのジャンプをこなしていく、このやり方が自分に合っていると感じます」

ジャンプばかりに注目が集まっているが、伸びのあるスケーティングも素晴らしい。表現面でもアピールする


先週行われたジュニアグランプリ、チェコ大会。彼女は初出場にして総合2位と、素晴らしいデビューを飾った。トリプルアクセルの成功は次の機会へとお預けになったが、トリプルアクセル失敗の後も崩れることなく演技を立て直すことが出来た。サマーカップでの教訓を見事に生かした形だ。一躍世界でもその存在を知られることになった紀平選手。次の試合はジュニアグランプリ、スロベニア大会だ。是非とも、ファイナル出場を掴み取ってほしいものだ。

「イングリッド・バーグマンのように」岩元こころ


岩元こころ。ショートプログラムの演技


長身で所作の美しい選手だ。昨シーズン、インターハイで表彰台に上り、今季は人生初の海外派遣の機会を得ることが出来た。ただその初の海外試合、アジアントロフィーで怪我をしてしまったという。肘にバンテージを巻いて演技をする姿が痛々しかったが、「演技への影響はありません」という。

「このオフはジュニアグランプリの選考会に向けて猛練習を積みました。人生で一番きつい練習でした。でもそのおかげでロシア大会への派遣を勝ち取ることが出来ました」

初の海外試合、アジアントロフィーでは外国選手の逞しさに驚かされたという。

「氷のコンディションが悪かったんです。ガタガタだったり、一部溶けていたり。私は本番中に転んで肘に怪我をしました。でも韓国の選手はそんなコンディションでもミスをしなかった。見習っていきたいと思います」

今回のサマーカップは芳しくない結果だったが、「次につなげたい。ロシア大会に向けて万全にしていきたい」と前を向いた。「今までは何も考えずにジャンプを跳んでいた」という。どうやったら本番で跳べるか、考えて跳ぶようにしたいとのことだ。ジャンプに加え、スピンの取りこぼしもなくしたいという。

今季のプログラムについても話してもらった。

「ショートプログラムは“マラゲーニャ”。難しくてまだ表現できていません。今までと雰囲気をガラッと変えようと思い、この曲を選びました」「フリープログラムは“スペルバウンド”。呪縛、魅了、といった意味があります。自分に合った曲だと思います。観客にそういった雰囲気が伝わる演技をしたい。イングリッド・バーグマンの映画のような、そういう雰囲気を出したいと思います」

映画での、イングリッド・バーグマンの美しい演技をイメージしているという


このプログラムで使っている音源は、ピアノ協奏曲に編曲されたバージョンだが、彼女は原曲が使われた映画でのイングリッド・バーグマンの演技の美しさに思いを馳せ、演じているようだ。彼女の演技を観る機会には、そんな雰囲気、表現も是非味わってほしい。【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】

編集部

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