フィギュアスケート・全日本ノービスで見つけた未来のスター候補達 【ノービスA男子】

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圧巻の全日本ノービス4連覇!佐藤駿「憧れの羽生結弦を超えたい」


演技後半、情熱的な表現を見せる佐藤駿


昨年、3連覇を達成し、今年も春先まではノービス年代では絶対的な存在だった佐藤駿。その様相が変わってきたのはブロック大会の頃。近畿の片伊勢武、中部の佐々木晴也が急成長を見せ、その一方、佐藤駿は思うような演技が出来ずにいたのだ。ただそれは決して彼のコンディションが悪かったからではない。未完成のトリプルアクセルに試合で挑戦することにこだわったため、演技を崩してしまっていたのだ。そして迎えた最後の全日本ノービス。やはり4連覇へのプレッシャーはあったという。

「とても緊張しました。今までよりも皆がとても上手になっていて、追いつかれてきていたので大丈夫かな、と心配でした」

片伊勢選手、佐々木選手の急成長に「勝てないかも、という思いはありました」という。それも緊張につながったようだ。

練習での確率はまだ「五分五分」だというトリプルアクセル。それでも3月の北日本大会からずっと挑戦を続けてきた。ただ現状の仕上がりだと、大会4連覇を優先してトリプルアクセルを回避する選択肢もあったはずだ。

「トリプルアクセルを入れないと駄目だと思ったんです。先生にも『変えたら?』と言われたんですが、僕が『やりたい』と言って挑戦しました」

コーチからの回避の提案を拒否し、自分の意志で挑戦したのだという。その裏には強い思いがあった。

「羽生結弦選手を超えたいんです」

追いつきたい、のではなく、超えたい。その思いが彼を駆り立てたのだ。そして彼は全日本ジュニアでもトリプルアクセルに挑戦する。ノービス年代のうちにトリプルアクセルを成功させることは羽生結弦にも出来なかったことだ。だからこそ、頑張って今季のうちに降りたい、と語る。これから先、彼はどんな挑戦を見せてくれるのだろう。期待して見守りたいと思う。

悔しい出来栄えだったが、高い能力の片鱗を見せた片伊勢武


スタイルがとても良く、氷上で映える選手だ


近畿ブロックで100点超えを果たし、一躍優勝候補として臨んだ片伊勢武、しかし全日本ノービスの舞台ではいつもの平常心で演技をすることは叶わなかった。

「昨日の夜は心が痛くてあまり眠れなかった」と独特の表現でプレッシャーがあったことを打ち明けた片伊勢選手。「練習通り」と自分に言い聞かせて滑ったそうだが、「やっぱり本番という意識から、プレッシャーがいつもの演技をすることを邪魔した」という。「出来栄えは50点ぐらい」と自分の力を出し切ることが出来なかったことを悔やんでいたが、「そういうのを跳ね除けるような強い自分でありたい」と前を向いた。この経験を糧としてさらなる成長を見せてくれることだろう。

近畿ブロックに比べて進歩したのはループジャンプ。彼にとっては習得に最も時間がかかったジャンプであり、実はこの試合では「ループはダブルにすることも考えていた」という。「でも逃げては駄目だと考えて挑みました。その結果、試合本番で決めることが出来たんです」。全てのジャンプを得意なジャンプにしたいと語る片伊勢選手。ミスの多かった試合ではあるが、その中でまた一つ課題をクリアすることが出来た。

「全日本ジュニアではまだこのままでは駄目だ、と先生に言われました」

目標としていた全日本ジュニアへの推薦出場は勝ち取った彼だが、沢山の課題があることも痛感している。コンテンツシートを見たところ、納得の行かない点が多々あったようだ。

「結果は2位ですけど、全然嬉しくない。自分はもっともっと出来る。これをバネにして頑張りたい。全日本ジュニアでは最後まで思い切ってスピードを出した演技をしたいです」

この飽くなき向上心、必ずや実を結ぶ。それはそう遠くはないことだろう。

ミスはあったものの、着実な進歩を見せた佐々木晴也


プログラムの強弱を演じ分けることに気を配ったという。表現力も向上した


決して満足の行く演技とは言えなかった。いくつかのミスを犯した試合となってしまったが、スピードに乗ったスケーティングは目を惹くものがあり、そのおかげもあったのだろう、本人にとっても望外の高得点をマークし、3位に入賞することが出来た。

「中部ブロックでも2コケ1パンク、この試合でもミスが出てしまいました。1か月であまり変えることが出来なかった。そこはとても悔しい」

「練習からしっかりとジャンプを決めて、本番で練習通りの演技が出来るようになりたい」と今後への意欲を見せた。今季、向上したスケーティングについては、「クラブで円になって色んなステップを練習する時間があるんです」とクラブでの地道な練習の成果だと語る。

昨年の全日本ノービスでは2位に入る活躍を見せた佐々木選手、しかし今年の春から夏にかけては不調の時期があった。このことについては「実は靴が壊れてしまって、靴の種類を変えたところ調子を崩してしまったんです」と意外な原因があったことを話してくれた。今は全く問題ないようだ。

「今は悔しい気持ちもありますが、3位になってみると、この1年よく練習してきたな、と嬉しい気持ちもあります」

今回は佐藤駿の上手さを改めて痛感した試合となったようだ。ただ同時に「自分の演技が出来ればもっと近付ける」と前を向くことも忘れなかった。

「全日本ジュニアでは、自分の出来ることを全て出来るように、順位は10位以内を目指したいです」

そう意欲を見せた彼にとっては、佐藤駿との再戦だけでなく、同じクラブのライバル、壷井達也との対決も待っている。

「達也君は、去年のノービスまではいいレベルで戦っていたんですが、上手くなったな、遠い存在になったな、という気持ちがあります。ここから沢山練習して、差を縮めていきたい」

壷井選手からは「最近、ちょっと舐められてるんです。練習中に、『お前、真面目にやれ』とか言われるんです。自分も言い返せるように頑張りたい」

何とも微笑ましいライバル関係だ。こうしてクラブ内での切磋琢磨があることが、彼の成長にもつながっているのだろう。

※「ノービスアイスダンス、ノービスB」編に続く 【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image works)】

編集部

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