【漫画】現役パティシエが描く青春ラブコメが話題!「お菓子作り」と「執筆」の二刀流。原作者に聞く両立のコツ、作品誕生秘話
『にゃん太とポメ子』の主人公は、スタッフの喧嘩から誕生!?
――本作『にゃん太とポメ子』の執筆を始めたきっかけを教えてください。
「実はあれは本能で書いたものです。本作の前の作品が恋愛ジャンルで1位を取れたのですが、いまいち自分の心に響かなかったので、思ったままに書いてみました。
学生時代や思春期に心が苦しくなる時
ってあるじゃないですか。他人にとっては些細なことでも、自分にとってすごく痛かったり。きっと誰もが感じたことがある経験だと思います。そんな気持ちを共感できるような作品を書こうと思いました」
――過去の経験から、家族さえも信じなくなってしまった主人公。このキャラクターはどのようにして生まれたのでしょうか?

「ちょうどこの作品を書く前、うちの
スタッフが友達と喧嘩をしたらしく『裏切られた、もう誰も信じない!』と言っていた言葉を聞いて、今作の主人公が生まれました。
子供の頃に受けたトラウマっていうものはなかなか忘れられないものです。そんなトラウマを抱えた主人公が、本当に信じられる人を見つけられるか?という思いで書きました」
――本作の主人公はWeb小説を書いています。吉岡さんもWebで小説を投稿されていますが、ご自身の経験を作品に反映させた部分などはありますか?
「これはあまり反映していません。なるべく小説のキャラは自分とは別の人格という位置づけで書いています。とはいっても、
自分も共感できる主人公にはしています。
自分の過去に起こった出来事ではないですが、自分が感じたことがある気持ちを反映させている部分はあるかも知れません」
――具体的にはどのシーンでしょうか?
「第1話の主人公がクラスメイトから糾弾されるシーンです。あれは自分が小学校の頃、男友達とじゃれ合っていてひょんなことから泣かせてしまって、いきなりクラスメイト全員から糾弾された出来事を元にしています」

「実際、ああいった場面になると何も反論できず、誤解も解けず、何もできないんですよね。次の休み時間にはみんな普通に接してくれましたが、人の怖さを知った瞬間でした」
――主人公は小説の読者“ポメ子”の感想メッセージを励みにしています。吉岡さんもこのようなご経験はありますか?

「あります。
感想は非常に励みになります
。書くのを止めてしまった作品も、感想が来て再開したこともあります」
――過去の経験から人と関わることをやめてしまった主人公。この境遇に読者から共感の声があがっています。本作にはどのようなメッセージが込められているのでしょうか?
「この作品のテーマは
『共感性』と『成長』
です。同じような気持ちを経験したことがある人はたくさんいる、ということを知って欲しい。読者同士で共感性を感じて欲しいと思って書きました。人生は長いのでいろんな出会いがあります。その中で自分が本当に信じられる人がきっと現れると思います」
「拗れた人間関係も少しずつ歩みよれば違った世界が見えるかも知れません。
誰も、何も信じられなかった男が徐々に成長していく姿を観てほしい
です」
――小説がコミカライズされたときの心境を教えてください。

「単純に嬉しかったです!自分が小説を執筆し始めたのは、3年前の39歳の時なので、他の人に比べたら遅いと思います。そんな自分の小説がコミカライズされるなんて、
人生いろいろあるんだな
としみじみ思いました。ですがこれでゴール、というよりも、商業の厳しいスタートラインに立ったんだ。という思いが強かったです。
新しくお店を出す感覚に近い
かもしれません。嬉しいけど、不安もある。そんな感じです」
――最後に、気になる今後の展開について、言える範囲で教えてください!
「コミックス版は遠足に向けての準備に入り、主人公とヒロインがどんどん仲良くなっていきます!お互い素直になれないけど、気になる存在。そしてだんだんと距離が縮まり…?あとは絶賛連載中の『電撃だいおうじ』本誌にてご確認ください!」
取材協力:吉岡浩太 撮影=奥西 淳二