【漫画】いじめの犯人は慰めてくれていた幼馴染。その秘められた理由とは?切ないストーリーとラストに衝撃
本業の息抜きに始めた漫画。画面の情報量を減らし、伝えたいことを表現
1、2年ほど前から、本業のイラストレーターの仕事の息抜きとして漫画を描き始めたというかもみらさん。「いじめっ子がトラックに轢かれる話」は、男子学生2人の隠れた本心と、それがすれ違う様子を描いている。実は描かれた時期は違うが、「認知症になった恋人」「君の幸せを願っています」という、今作と同じ世界観の作品も。これらの作品はどのように誕生したのだろうか。

「描くテーマについて深く意識したことはないのですが、私は話を考えるときはいつも、そのときのコンディションに左右される性質です。3作品はそれが共通していたのかなと。ちなみに3作品とも、すごくお腹が空いていたときに考えた話です(笑)」
繊細な物語なのですごく考え込まれたうえで描かれているのかと思いきや、意外にも自然体で描いているかもみらさん。空腹時に生まれた漫画だというのも、なんとなくギャップがあって面白い。

作品には「何回読んでも同じ量の涙が出る」や「表現や表情がすごい」など、ストーリーだけでなく登場人物の感情が伝わるイラストにも心打たれたというコメントが。漫画を描くときのこだわりについて聞いてみた。
「描き込みすぎて伝えたいことが伝わりにくくならないよう、できるだけ画面の情報量を減らすことを心掛けています」

創作活動を行うときは取材でインスピレーションを
漫画内に説明はほとんどないが、読者はだんだんと2人の本心に気付かされていく。自分を見てほしくて黒山をいじめていた白沼と、白沼への思いに気付きつつも「友達」と呼ぶ黒山。最後までお互いの気持ちが交わらない、同性同士の恋愛の物語と衝撃のラスト。「あのときこうしていれば」と考え、何度も読み返したという人も。

そんな緻密なストーリーや表現で、読者の心を打つ作品を生み出すかもみらさん。イラストや漫画など、創作活動に影響を与えているものはあるのだろうか。
「影響とは違うかもしれませんが、イラストを含め、創作活動を行う際には取材に行くことが多いです。写真を撮りに行ったり、資料館に足を運んだりといろいろですが、やはり実際に目にすると強いインスピレーションを受けることができます」


最後にかもみらさんは、「これからもたくさん絵を描きたいです。いつも読んでくれてありがとうございます!」とコメントをくれた。登場人物の思いを繊細に描くかもみらさんの作品を、これからも楽しみにしたい。
取材・文=松原明子