【漫画】現役の僧侶が描く漫画から、仏教の教えを学ぶ。「1日1日を生きられていることが奇跡みたいなもの」/ヤンキーと住職
お経はお葬式で読まれるもの?本来は日常生活でいつでも読むべきもので、人間のさまざまな悩みに対する解決方法が説かれている



高校時代、友人が突然亡くなったことがきっかけで、仏教に興味を持ったヤンキー。お経と言えば「お葬式」が真っ先に浮かんでくるが、そもそも最初からお葬式で読まれることを想定されたものなのだろうか。作者の近藤丸さんに聞いてみた。
「いえ、お経はインドの言葉で『スートラ』と呼ばれるもので、分かりやすく言えばお釈迦様(釈尊、釈迦牟尼)の教えをまとめたものです。目覚めた人(仏陀)の言葉です。お釈迦様は相手の悩みに合わせて、さまざまな苦しみ解決方法を説きました。これを『対機説法』といいます。だから、沢山のお経が残されているのです。8万4000もの教えがあることから、『八万四千の法門』などと言われることもあります」
お経は決して亡くなった人だけのものではなく、あらゆる悩みや苦しみの解決方法が説かれているのだそう。ではなぜ生きている人のためのお経が、お葬式で亡くなった人のために読まれるようになったのだろう。
「お経と一口に言っても、書いてある内容はとてつもなく幅広いです。ものすごく簡単にざっくり言うと、あらゆる人間に対して『大切な事に目覚めてくれ』と書かれています。ですからお経は、本来は『生きている者が、どんな時でも聞くべきもの』として残されているのです。つまり、ことさらにお葬式の場で読むことを想定されたものではありません。
ただ、人が死にゆく葬儀の場はある意味、人生で最も大切な場。そこで仏様の教えを聞くことが、仏教の伝統の中で大事にされてきました。仏教徒は、亡き人をしのびお別れをするという儀式を通して、仏様の教えを聞く縁を頂いてきたのです。そういう意味でやはり別れの場、悲しみの場がお経を聞く機縁となることが多くなりますね。しかしお経は本来、日常生活の中で、いつでも読ませていただくべきものなのです」