「お母さん、必要ないって言われたの?」辞職直後、グサリと刺さった息子の言葉。日々を支える“必要”の気持ちについて考える【作者に聞く】
看護師でありシングルマザーであるまゆんさん(
@mayun4311
)。彼女の著書「自閉スペクトラム症の太郎とやさしい世界」は、自閉スペクトラム症で特別支援級に在籍する息子・太郎くんとその周囲の人々の心温まる暮らしを描いたコミックエッセイだ。「太郎くんの素直な一言で心が解きほぐされる」と反響が寄せられた本作から一部を抜粋・編集し、まゆんさんのインタビューとともにお届けする。
今回のテーマは「お母さん 必要ないって言われたの?」。
看護師を辞めたとき、息子から予想外の言葉が
看護師のまゆんさんは、長く勤めた職場を退職した。久々にゆとりのある生活になったが、そんなある日…太郎君がストレートな一言を。
「お母さん 必要ないって言われたの?」
それを聞いて、まゆんさんは自分の存在を「必要」という視点で考えるようになる。
まゆんさんが看護師をやめた頃は「業務量は多いもののそこまでの負担ではなく、むしろきつかったのは職場内の環境。もっと一緒に働き続けたいと思えるような頼もしい仲間たちからも『辞めないでほしいけど、このまゆんさんの状況をみたら”辞めないで”なんて言えないです』という言葉や手紙を頂くような状況でした。笑顔も減って、職場でも後輩の前でボロボロ泣きました。終わりの合図でした」
そんな思いで退職してしばらく経った頃、太郎くんから「必要とされてないの?」という発言が。「核心を突かれました。イラストにもあるように、ダイレクトに的を得たことを言われたと思い、心が痛みました。『必要とされているか、いないか』という考えを潜在的に持ってはいたものの、表には出していなかったので、太郎の『視点』は鋭いと思いましたね」